機能解剖学

【機能解剖学各論】骨盤の構成と構造(キーポイントは寛骨の捉え方)

2020年6月13日

前回は脊柱の構造を説明しました。今回は、骨盤(Pelvis)の構成と構造についてです。特に寛骨にフォーカスしました。

まずは、「機能解剖学の基礎」を押さえてください。

骨盤(単Pelvis or 複Pelves)の構成~寛骨・仙骨・尾骨

  • 寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)2個
  • 仙骨1個
  • 尾骨1個

骨盤と言うと、寛骨の形を思い浮かべると思いますが、その寛骨に脊柱に構成体でもある仙骨と尾骨を加えたものが骨盤です。

206個の骨となると寛骨で数えることになりますが、実際には、「腸骨」「恥骨」「坐骨」に分けて考えた方が良いです。

寛骨(Hip bone)

寛骨(hip bone)は、上は仙骨、下は恥骨結合に付着し、左右一つずつ(計2個)あります。十代後半までは軟骨結合で三つ(さらに左右にあるので計6個)に分かれていますが、成人(18歳以降)になるころに、骨結合で一つとなります。

股関節を成す寛骨臼で3分割されます。

  • 腸骨(Ilium):上部→Iliumは覚えておくべき英名です。「ilia-」「ilio-」の形でよく出てきます。
  • 恥骨(Pubis):下部前部
  • 坐骨(Ischium):下部後部

腸骨

腸骨は、寛骨の上部にあたります。第5腰椎と腰仙関節を成し、仙骨と仙腸関節を成します。最初に押さえておくべき部位は、腸骨稜と腸骨棘

腸骨稜は、腸骨筋や中殿筋等の起始にあたり、触診でも使用される部位です。また腸骨棘は、前後上下に計4つあります。

  • 上前腸骨棘(ASIS)
  • 下前腸骨棘(AIIS)
  • 上後腸骨棘(PSIS)
  • 下後腸骨棘(PIIS)

腸骨棘は「Iliac Spine」でISと略せます。上下前後は下記の通り

  • 上→Superior
  • 下→Inferior
  • 前→Anterior
  • 後→Posterior

方向を表す用語の詳細はこちら

ASISは大腿筋膜張筋や縫工筋の起始、AIISは大腿直筋の起始であり、重要部位です。PSISも腰痛のキーワードになる部位です。

恥骨

寛骨の下部前部で、恥骨結合(軟骨)を介して左右に分かれます。まず覚えるべき部位は、

  • 恥骨陵→腹直筋や外腹斜筋の停止でもある
  • 恥骨枝→内転筋群の起始となる

部位の説明はこの記事の最後にまとめてあります。

坐骨

寛骨の下部後部で、絶対に覚えないければならないのは、ハムストリングの起始でもある「坐骨結節

坐骨の坐は「座」では無いので要注意。

骨の部位に関してはこちら

覚えるべき骨の部位・ランドマーク(復習)

赤マーカーは、今回出てきた部位です。重要部位で今後もよく出てくるのでなるべく早く覚えましょう!

 

骨の部位
名称意味・定義
頭(とう),head丸まった先端部分
体(たい), body骨の本体となる部分
底(てい), base骨の底面となる部分
頚(けい), neck長骨で頭と体の境となるくびれの部分
突起(とっき), process突き出た部分
棘(きょく), spineトゲ上に尖っている部分
尖(せん), apex細く尖った先端部分
結節(けっせつ), tubercle骨の表面がこぶ状に盛り上がった部分
切痕(せっこん), notch切れ込んでいる部分
溝(こう), groove神経・血管・腱などが通る細長い溝
孔(こう), foramen骨を貫通する孔(あな)
口(こう)腔への入り口
腔(くう), cavity骨内部の空間
洞(どう)骨の内部にある大きなくぼみ
窩(か), fossa骨の表面の一部が浅くくぼんだ部分
顆(か), condyle骨の一部がこぶ状に盛り上がった部分
稜(りょう), crest骨の表面の一部が山の稜線のように盛り上がった部分
隆起(りゅうき), eminence隆起した部分
蓋(がい)蓋をかぶせるように空間をふさぐ骨
弓(きゅう), arch弓のように弯曲したアーチ状の部分
縁(えん), border面を分ける縁
面(めん), plane/surface縁を境に分けられる平面な部分
粗面, tuberosity骨の表面でザラザラした粗い部分
関節面, joint surface別々の骨同士が連結する面
転子, trochanter大腿骨にある大きな突起
角, angle
端, end骨の末端部分
包(ほう)器官の一部の空間を包み込んでいる部分
鞘(しょう)ひも状のものを包んでいる覆い

引用:骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典@岡田隆

まとめ

  • 骨盤
  • 寛骨
  • 腸骨
  • 恥骨
  • 坐骨

・身体運動の機能解剖@Thompson/Floyd
・骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典@岡田隆
・筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典@荒川裕志
・運動療法のための機能解剖学的触診技術(上肢編)@林典雄
・骨単・肉単@河合良訓(監修)

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