栄養学

【栄養学】アミノ酸の基礎知識③BACC~最強の攻めの栄養素

2024年1月21日

アミノ酸の第2弾は「BCAA」です。

むしろ、第1弾にすべき最も愛されている栄養素(アミノ酸)でしょう。

BCAAは、「Blanched Chain Amino Asid」の頭文字をとったもので、日本では「分岐鎖アミノ酸」といいます。

必須アミノ酸(EAA)の中でも特に重要で、筋肉合成以外にも重要な機能が満載です。

アミノ酸の基礎知識に関する記事はこちらを参照してください。

EAAの中でも中心的な存在

必須アミノ酸(EAA)は、以下の9種類です。

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン
  • トリプトファン
  • メチオニン
  • リジン
  • スレオニン(トレオニン)
  • フェニルアラニン
  • ヒスチジン*

EAAは、体内で合成できないアミノ酸で、食事から摂取しないとなりません。 *ヒスチジンは、幼児期に合成できず、成人は合成できるので、幼児期のみ必須アミン酸とされてきましたが、成人でも不足することが確認されて1985年にEAAとして認定されたようです。

9種類のEAAの中の

  • バリン
  • ロイシン
  • イソロイシン

がBCAAです。

分岐鎖という共通の構造を持ち、特徴も似ています。

筋肉合成にはEAAすべてが必要ですが、BCAAには単独で効果を発揮する役割がいくつかあります。そのあたりを整理しましょう。

図:BCAA(バリン/ロイシン/イソロイシンの構造

出典:サプリメントまるわかり大辞典@桑原弘樹

BCAAの特徴

押さえておきたいBCAAの主要効果は、

  1. 強力なアナボリック作用
  2. 超回復
  3. 覚醒作用
  4. エネルギー源
  5. 筋肉代謝

あたりでしょうか。

強力なアナボリック作用

体内のアミノ酸の約30%で、グルタミンに次ぐ比率を誇ります(グルタミンを併せて約90%)。

アミノ酸の最大の役割は、筋肉合成ですが、その中でも最もアナボリック作用が強いのがBCAAです(さらにロイシンは最強)。

筋肉に過負荷を掛けた状態で効果を発揮し(飲んだだけでは効果は低い)

中級以上のウエイトトレーニーやパフォーマンスにおいて筋力が重要なコンタクトやコリュージョン系の競技には必須の栄養素(サプリメント)となるでしょう。

疲労回復(超回復作用)

上記とかぶりますが、トレーニングや練習後の筋ダメージからの修復(合成)に優れています。

また、グルタミンほどではないにしろ、筋分解の抑制効果もあるので、合わせて超回復しやすく、疲労回復を早める効果があると考えられます。

ただし、疲労回復に最も重要なのは糖質なので、トレーニング後であれば糖質を併せて摂取することを強くお勧めします(さらに、その後の食事は超重要)。

覚醒作用(高い集中力)

睡眠物質であるメラトニンの前駆体であるトリプトファンを(相対的に)消す作用があるので、覚醒作用があり、高い集中力を発揮できると言われています。

ただし、私自身はその理論には懐疑的です。その理由は下記記事を参照して下さい。

BCAAとトリプトファンの関係に関する記事

エネルギー源になる

タンパク質やアミノ酸は、過剰に摂取すると脂肪になったり、尿として排泄されますが、BCAAはエネルギー源として活用されます。

これはBCAAが単独で発揮できる重要な効果です。

あと一押しや持久力(特に糖質枯渇時)が向上すると考えていいでしょう。

筋肉代謝

大抵のアミノ酸は肝臓で代謝されますが、BCAAは筋肉代謝です。

効果という意味では、いささか語弊があると思いますが、筋肉代謝ということは、肝臓代謝ではないので肝臓の負担は掛からないというメリットもあります。

グルタミン(小腸代謝)とともに肝臓に負担を掛けないアミノ酸です。

最適な比率は?

筋肉合成において、特にロイシンは重要なようです。

そこからもBCAAの黄金比率は

ロイシン(L):イソロイシン(I):バリン(V) = 2:1:1

と言われています。

さらにそれを改良して山本義徳氏は、LIV845という製品を開発し、バリンの比率を少々上がて商品化したとのことです。比率を

ロイシン:イソロイシン:バリン = 8:4:5

にし、効果は上がったと思われますが、この比率自体での製品は、LIV845しかないのかもしれません(詳細は、山本氏の著書をお読みください)。

ただし、L:I:V = 2:1:1に近いので、あまり気にしなくてもいいのではないでしょうか。

すべてに100(max)の効果を求めるのは厳しいので、大枠を押さえて70~80でいいと思います。

飲み方・頻度

基本的な飲み方は、やはりトレーニング・練習前(30分ほど)になるでしょう。

さらにトレーニングや練習が長い場合は、30~40分ごとに追加摂取するといいのではないでしょうか。

さらに、トレーニング・練習後は、ホエイプロテインにBCAAを加えると疲労回復効果が上がるかもしれません。

身体の大きさや運動・トレーニング強度にもよりますが、一般的には都度5g程度が妥当です。

 

私の場合は、

ウエイトトレーニングやランニング、水泳、ゴルフ等運動前(10g程度)のみです。

トレーニング頻度も下がり、ワークアウトも短いので、現状はこれで十分かと。

ちなみにグルタミンとホエイプロテインは常飲しています(トレーニングをしない日でも間食・補食として)。

グルタミンに関する記事はこちらを参照して下さい。

まとめ

必須アミノ酸であるBCAAの効果は

  1. 強力なアナボリック作用
  2. 超回復
  3. 覚醒作用
  4. エネルギー源
  5. 筋肉代謝

強力な筋合成作用のほか、超回復に優れ、トレーニング中に高い集中力を維持できる等、最強の攻めのサプリメント(エルゴジェニックという人もいます)です。

さらなる筋力向上、競技パフォーマンスを狙うトップアスリートには、最重要の栄養素かもしれません。

引用・参考文献

・基礎栄養学第4版@田地陽一

・アスリートのための最新栄養学(上)@山本義徳

・サプリメントまるわかり大辞典/サプリメント健康バイブル@桑原弘樹

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