【栄養学】トレーニング前のトリプトファン摂取はマイナスに働くか?

ウエイトトレーニング全般

トリプトファンは、必須アミノ酸の一つで、脳内でセロトニン、さらにはメラトニンに変換されることは知られている。これらの物質は、運動やトレーニングには不向きとも言われるが、それを考察したい。

セロトニンとメラトニン

セロトニンは、脳三大神経物質の一つで、ドーパミンやノルアドレナリンの調整役でもあり、感情の安定を司る物質である。運動中においては攻撃性が抑制されるまたは中枢神経の疲労に関係すると言われていて、運動には不向きとも考えられている。

セロトニンの代謝物であるメラトニンは、睡眠ホルモンとして有名である。

トリプトファンとBCAA

トリプトファンは、BCAAとライバル関係?にあり、不遇のEAA(必須アミノ酸)とも言える。BCAAはEAAのエース格で、最も重要なアミノ酸(異論は無い)であり、効果の一つに集中力や覚醒作用と言ったものがある。

トリプトファンとBCAAは同じ血液脳関門を通り、BCAA濃度が高ければ、相対的にトリプトファン濃度は下がり、脳に行きにくくなる。上記にも触れたが、トリプトファンはセロトニン、さらにはメラトニンに代謝される。セロトニンは安定、メラトニンは睡眠や眠気を誘発するのでトレーニングには適さないという考えがあり、そのため、その前駆体であるトリプトファンが脳に無ければトレーニング効果が上がるという考えである。確かにこの説は有力ではあるが、完全には実証されていないようである。

トレーニング中のセロトニンおよびメラトニン分泌

トレーニング中に、メラトニンが脳内に入っていたらトレーニング効果が落ちるということには異論は無い。それからも夜中のトレーニングというのは適さないのかもしれない。

セロトニンに関しては、少々異論がある。セロトニンは、精神の安定というのが主効果であるが、パワーリフティング指導員の講習受講の際、石井直方先生の生理学の講義があり、その資料の中に、セロトニン神経は「冷静な覚醒状態」と表現されている。ちなみにノルアドレナリンは「情動やパニック」、ドーパミンは「鎮痛、強い心理的抑制、うつ状態」とある。

さらには、朝、目を覚ました時には頭がすっきりしないのは、セロトニンが不活性だからとも書かれている。セロトニンが活性するにつれて、頭がすっきりして、爽快になるということである。

このことからもセロトニン自体には「覚醒作用」があり、トレーニング効果を落とすものでは無いと考えられる。

さらには、トリプトファンからセロトニン、メラトニンに変換されるのはそれ相応の時間がかかるはずなので(下記参照)、トレーニング前にトリプトファンが脳内に入っていてもさほど影響はないのではないかと推測する。

セロトニンを分泌させる2つの方法

交感神経の活性化とともに、セロトニンの分泌も増えると考えられるが、人為的にも可能である。一つは日光を浴びること。そうすることでセロトニンが分泌し、さらにその14~15時間後にメラトニンに変化する。このことからも、朝起きて規則的な生活を送ることは健康上必要となる。

もう一つは、リズミカルな運動をすること。エチケットの問題もあるが、ガムを噛むとセロトニンの分泌は活性化する。ウォーキングやランニング、ヒンズースクワットなども効果があるだろう。

まとめ

以上から、メラトニンはともかく、トリプトファンとセロトニンは直接、トレーニング効果を落とすことは無いのではないだろうか。ただし、トレーニング中はセロトニンの「冷静な覚醒」ではなく、「興奮状態」のアドレナリン、ノルアドレナリンの方が重要であれば、それらを調節するセロトニンは邪魔な存在かもしれない。

引用・参考
・アスリートのための最新栄養学@山本義徳
・スポーツ栄養学@鈴木志保子
・サプリメントまるわかり大辞典@桑原弘樹

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