脚部・臀部の代表的な種目である「スクワット」「デッドリフト」はビッグ3のひとつでありますが、男性人気断トツのNo1.である「ベンチプレス」と比べると人気面では圧倒的に負けています。
しかし、重要度は「ベンチプレス」を遥か凌駕するもので、特に「スクワット」は「King of Exercise」の称号を持つ優れた種目です。
今回は脚部・臀部のプログラムについて考察したいと思います。
以下の、「脚部・臀部のプログラムデザイン」および「負荷と回数設定」は前回・前々回と被る部分もありますが、やはり上半身と下半身では違うので是非目をお通しください。
上背部のトレーニングに関する記事はこちらを参照してください。
胸部のトレーニングに関する記事はこちらを参照してください。
脚部・臀部のプログラムデザイン
脚部・臀部は、特に重要なので、週に1回は過負荷を掛けたい部位です(負担を考えると週1回で十分かもしれません)。
トレーニングにどれだけ時間を費やせるかによって、プログラムは変わってきます。
- 全身プログラム
- 上半身プログラム
- 上背部プログラム
トレーニング頻度の関する記事はこちらを参照してください。
全身プログラム
週1~2回、ウエイトトレーニングを行うことができるのであれば、できる限り全身の筋肉に負荷を掛けることになると思います。
大筋群を中心にプログラムを組むことになると思うので、「胸部」「上背部」「肩部」のコアエクササイズと一緒に行うことになります。
1回で全身のトレーニングを行うのは、効率は良いですが、疲労度も高く、後半の種目は中々鍛えきれないデメリットがあります。
特に「スクデッド」のダメージは大きいので、基本は最初に行いますが、その後のエクササイズの質や量は下がってしまい、また、最後に持ってきても「スクデッド」の質量は落ちてしまい最適とは言えません。
できれば、分けて行うことを推奨します。
それでも、中々ウエイトトレーニングに時間を取ることができない持久系種目のアスリートやフィットネス目的の方は、このパターンが多いかもしれません。
コアエクササイズに関する記事はこちらを参照してください。
下半身プログラム
週に2~3回、トレーニングできるのであれば、上半身と下半身に分けるスプリットルーティンを用いることになると思います。
下半身に絞るので、全身プログラムよりも下半身の種目を多くすることができます。
「脚部」を細分化して「大腿四頭筋」「ハムストリング」、「臀部・殿筋群」、「下腿部」等になりますが、脚部・臀部は下半身の中でも最重要なので、前半に行う方が多いと思います(それが正解です)。
エクササイズの配列・順序に関する記事はこちらを参照してください。
ベンチプレスやロウイング等、上半身種目が無いので、全身プログラムよりは効果が高いですが、「大腿部・四頭筋」「ハムストリング」「大殿筋」と人体の中でも特に大きな部位なので、疲労度は上半身エクササイズの比ではありません。
これが下半身種目が不人気である理由のひとつでもあります。
私自身もスクワットの日は朝から緊張し、いかにしてさぼるかを考えてしまうほどです。
上半身種目に比べると種目数は抑える傾向に有るのではないでしょうか?
筋力が重要な競技選手は、上記のデメリットは有りますが、練習やその他のコンディショニングを考慮すると、下半身プログラムとして実施する方が多いと思います。
スプリットルーティンに関する記事はこちらを参照してください。
脚部・臀部プログラム
週3回以上トレーニングを行えるのであれば、より部位を絞ったスプリットルーティンが可能になります。
週5回程度取れるのであれば、脚部・臀部に特化したプログラムも可能でしょう。
下半身に週2回ほどトレーニングできるなら「スクワット」と「デッドリフト」を分けて行ったり、同時に行う場合でも「スクワットHard」+「デッドリフトEasy」やその逆パターン等も考慮できると思います。
「スクワット」と「デッドリフト」の主働筋・協働筋はかなり重なっているので、ハムストリングを主働筋とする「ルーマニアンデッドリフト(RDL)」を第1補助種目に置くことも考えられます。
ボディビルダー・フィジーカー・パワーリフター等バーベル競技選手やヘビートレーニー、さらには特に筋力が重量な競技選手(投擲やアメフト・ラグビー等)はこのパターンが多いと思われます。
負荷と回数設定
負荷と回数に関しては、
- 筋肥大期
- 筋力・パワー向上期
では、設定を変える必要があります。
負荷と回数設定に関する記事はこちらを参照してください。
筋肥大期
胸部に限らず、ウエイトトレーニングで最も重要な筋肥大期の負荷は、8~10RM(70~80%1RM)あたりです。
しっかり効かせて、できる限りオールアウトすることが重要になってくるでしょう(真のオールアウトは相当のレベルでないと難しい)。
ただし、スクデッドの身体負担はかなり大きいので、ジュニアやシニア、フィットネス等は、6回ベースにすることもあります(私は最近肥大期でも6回ベースです)。
*ジュニアやフィットネスは、負荷は減らして回数は多くした方がいいかもしれませんね(10回程度)。低体力者はできる回数からですかね?(継続することが重要)。
筋力・パワー向上期
脚部・臀部の主働筋は、大筋群の中でも特に大きい「大腿四頭筋」「大殿筋」「ハムストリング」となるので、高負荷を扱うことができます。
競技や目的にもよりますが、積極的にMax(1RM)を狙うこともできます。
脚部・臀部の種目紹介
代表的な胸部の種目を5つ紹介します。
- バックスクワット
- フロントスクワット
- デッドリフト
- レッグランジ
- ルーマニアンデッドリフト(スティッフレッグDL)
- レッグプレス
- レッグエクステンション
- レッグカール
- カーフレイズ(説明割愛)
各種スクワット
King of Exerciseの称号を持つ最強のエクササイズです。
最強であるがゆえに、その身体負担も最強で非常にきつい種目です。そのきつさからスクワットから逃げてしまう人も多数います。
しかし、スクワット無しのウエイトトレーニングは、厳密にはウエイトトレーニングではないのかもしれません。
スクワットが強い人は、本当に尊敬されます(^^♪
重複しますが、そのトレーニング効果は抜群で、バリエーションも豊富です。
担ぐ場所による分類
- バックスクワット
- フロントスクワット
バックSQとフロントSQに関する記事はこちらを参照してください。
深さによる分類
- フルスクワット
- パラレルスクワット
- ハーフスクワット
- クォータースクワット
スクワットの深さに関する記事はこちらを参照してください。
足幅による分類
- スタンダードスクワット
- ワイドスクワット
- ナロースクワット
スクワットのスタンス(足幅)に関する記事はこちらを参照してください。
デッドリフト
下半身エクササイズのTwo Topの一翼です。ビッグ3のひとつでもある重要種目です。
ただし、主働筋・協働筋はほぼスクワットと被るので(大殿筋:四頭筋比率が変わる)、個人的にはスクワットを行っていれば導入しなくてもいいのではないかと思っています。
簡単にスクワットとデッドリフトを比較してみましょう。
デッドリフトの方が優れている点
- 挙上重量
- 大殿筋の関与比率
- クイックリフトに繋げやすい
デッドリフトに関する記事はこちらを参照してください。
スクワットの方が優れている点
- 可動域
- 腰痛リスクの低さ
腰痛に関する記事はこちらを参照してください。
デッドリフトは、血圧が最も上がる種目でもあるので注意したいところです。
実際、私はこの血圧の問題や腰痛リスクがあるため(高血圧や腰痛持ちではありませんが)、デッドリフトは導入していません。
若い人、特にアスリートは是非導入してください。
レッグランジ
スクデッドに比べ、軽量であるため腰椎リスクが少なかったり、片脚エクササイズであるため、スクデッドでは鍛えきれない中殿筋や大殿筋上部等に負荷を掛けられる優れた種目です。
デメリットとしては、片脚であるがゆえに倍の回数が必要となり、場合によってはスクデッド以上の身体に負担が掛かります。そして疲労度も高いです。
私の中では、準コアエクササイズです。
レッグランジに関する記事はこちらを参照してください。
ル―マニアンデッドリフト
デッドリフトに代わり、ビッグ3にいれてもおかしくない重要な種目です。
デッドリフトと比べると
- ハムストリングの関与が高い(主働筋です)
- ハムストリングのストレッチ種目である(上記と被りますが)
- 腰痛リスクが低い(デッドよりも軽量)
軽量であれば、(ストレッチとして)毎日実施できる(むしろ実施してほしい)種目です。
私の下半身日のトレーニングは、RDLで始まりRDLで終わります。
ルーマニアンデッドリフトに関する記事はこちらを参照してください。
ルーマニアンデッドリフトに関する記事2はこちらを参照してください。
レッグプレス
主働筋・協働筋がスクワットと同様の代表的なマシンエクササイズです。
スクワットに比べると、効果は落ちると言われていますが、マシンであるためフォーム習得も容易く、スクワットよりも身体負担が低いので、人によってはスクワット以上の効果を出すこともできます。
私自身は行うことはないですが、準コアエクササイズと考えている重要種目です。
レッグプレスに関する記事はこちらを参照してください。
レッグプレスに関する記事2はこちらを参照してください。
レッグエクステンション
代表的な大腿四頭筋のマシントレーニングです。
身体負担も低く、効かせやすいので人気があるかもしれません。
出力も高いので、モチベーションも高くなるかもしれませんが、実はモーメントアームからも過出力にもなりやすいので膝の傷害には気を付けなくてはなりません。
レッグエクステンションに関する記事はこちらを参照してください。
レッグカール
レッグエクステンションの拮抗エクササイズです。
ハムストリングは、四頭筋の1/2~2/3程度の出力しかないので、暴走しやすい四頭筋のブレーキングマッスルとして、より重要視しましょう。
レッグエクステンションに比べると力が出にくいので、モチベーションは低下しやすいかも知れませんね。
レッグカールに関する記事はこちらを参照してください。
プログラム例
やはり、下半身の主役は「スクワット」となるでしょう。
人体最大の大殿筋や四頭筋は、実は中々All Outできない部位なので、石井直方教授は著書で、
スクワット6セット、できなければスクワット4セット+レッグプレス2~3セット必要と書かれていますが、これはかなりハードです((+_+))
部位として考えると
- 大殿筋と四頭筋は、スクワットまたはデッドリフト、レッグプレス
- ハムストリングは、ルーマニアンデッドリフトおよびレッグカール
- 下腿三頭筋は、カーフレイズ
あたりが王道でしょう。
私自身のプログラム
私自身も上記を中心にプログラミングすることが多く、年間を通して種目はほぼ変えず、時期により負荷や回数に変化を付けます(筋肥大・筋力向上等)。
- スクワット(たまにデッドリフト)
- ルーマニアンデッドリフト
補助エクササイズとして
- ルーマニアンデッドリフト
- フロントスクワット
- ブルガリアンスクワット
メインは、スクワット3セット(重量は時期により1~8RM)のみです。余力があるときやスクワットがあまりにも不甲斐ない(スクワットはそれだけメンタルが重要)場合、ル―マニアンデッドリフトを2~3セット入れます(基本8RM)。
むしろ、下半身種目は、プレ種目として補助系に力を入れており、上記種目を1~2セット、最大可動域を心がけています。
まとめ
脚部・臀部のプログラムデザインは、以下の3つのプログラムに組み込まれることになるでしょう。
- 全身プログラム
- 上半身プログラム
- 上背部プログラム
初級者や持久系競技選手は、週1回の全身プログラムに、中級者以上のトレーニーや筋力がより重要なアスリートは、下半身プログラムやさらに細分化した「大腿四頭筋・臀部メイン」「ハムストリングメイン」のスプリットルーティンが有効です。
条件設定(負荷と回数)は、基本的には
- 筋肥大期
- 筋力・パワー向上期
に分け、よりベターな効果を狙っていきます。レベルや目的により内容は変わっています。上半身種目に比べると、身体負担が大きく中々追い込めません。
結果、質・量ともにやや落とし目から入り、徐々に上げていきましょう。
脚部・臀部の代表的な種目
- スクワット(バックorフロント)
- デッドリフト
- ルーマニアンデッドリフト
- レッグランジ
- レッグプレス
- レッグエクステンション
- レッグカール
参考文献
・筋トレエクササイズ事典@有賀誠司
・筋肉まるわかり大辞典1/2, トレーニングメソッド@石井直方
・筋トレまるわかり大辞典@谷本道哉
・筋トレ動き方・効かせ方パーフェクト事典@荒川裕志
・ウエイトトレーニング理論編@山本義徳
フィジックスコンディショニングジム
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