ウエイトトレーニング ボクシング

【ボクシング】ハンドスピードを向上させるトレーニングとは?

2023年1月23日

プロボクサーとして大成するためには、スキル以外にフィジカルは切っても切れない要素です。

スタミナ然り、パンチ力然り、スピード然り。今回は、スピードの中でも、ボクシングにおけるハンドスピードについて考察していきましょう。

ボクシングにおけるスピードの考え方

ボクシングにおける重要体力要素は、

  • スタミナ(全身持久力・筋持久力)
  • パワー(パンチ力、ラッシングパワー、プレス等)
  • スピード(ハンドスピード、フットワーク、ボディワーク等)
  • アジリティ
  • バランス
  • 柔軟性

等があり、特にスピードはかなり重要な体力です。

スピードの定義は、NSCAでは「単位時間当たりの移動距離」としていますが、ボクシングにおけるスピードは少々違うかもしれません。私が考えるボクサーのスピード(厳密には、速度・velocityかと)は、以下の3つです。

  1. ハンドスピード
  2. フットワーク(足さばき)
  3. ボディワーク(体幹・コアのスピード)

今回は、3つのスピードのうちハンドスピードについて特化したいと思います。

体力・フィットネスに関する記事はこちらを参照してください。

ハンドスピードを向上させるトレーニングとは

ハンドスピードは、パンチを当てるために技術の次に重要かもしれません。ハンドスピードが速ければ、当てる確率が上がり、試合をかなり有利に運ぶことができます。

そのハンドスピードを向上させたいのなら、以下の練習またはトレーニングが重要となるでしょう。

  • シャドーボクシング
  • ウエイトトレーニング
  • 短距離走(ダッシュやスプリント走)

シャドーボクシング

ハンドスピードを向上させたいのなら、パンチそのものを打つシャドーボクシング(以下、シャドー)が最適です。

シャドーをアップとダウン、または技術の確認のみで使うのは勿体無く、本気のシャドーを行えばハンドスピードは確実に向上します。

重要なことはできる限り軽量で行うことです。通常、ボクサーはバンテージを巻いて練習しますが、バンテージ無しの素手でのシャドーはより効果的かもしれません。無負荷(最軽量)であるため、絶対的なスピードも最速となります。

多くのスピードスターと言われる選手はこのシャドーに力を入れているはずです。アマチュアボクサーにスピードスターが多いのは、KOするよりも正確に当てることを重要視するからだと思います。

その他でも、車のボディやゴルフクラブ等用具の軽量化は、スピードを上げることが主目的です。

シャドーだけでのデメリットは、筋力やパワーはある程度までしか向上しないので、パワー不足に陥ってしまう可能性もあるということでしょうか。

とはいえシャドーは、ある意味最強の練習・トレーニングになります。シャドーの主目的は、基礎技術の確認(打ち方やフットワーク)等になりますが、その他、繰り返しになりますが

  • ウォーミングアップ
  • クーリングダウン
  • ハンドスピードの向上

の効果が期待できます。

「困ったときはシャドー」「シャドーで始まり、シャドーで終わる」くらい重要な練習です。

ジムワークに関する記事はこちらを参照してください。

ウエイトトレーニング

シャドーはハンドスピードを始めスピード全体を向上させるのに最適ですが、シャドーだけでは負荷が低く、長期的には筋力低下からスピード低下の可能性がでてきます。

そのためにもウエイトトレーニングを導入することをお勧めします。

何も特別なことをする必要は無く、ビッグ3を中心に、大筋群の筋量低下を避けましょう。

ハンドスピードでは、上半身(特に腕)の筋肉が重要と思われがちですが、むしろ腕は中小筋群に位置づけされるので、大筋群(胸・上背・肩・脚・臀部等)を鍛えることの方が重要になります。

腕のトレーニングは、肩関節を動かす大胸筋や広背筋のトレーニング時のもある程度(それなりに多く)稼働しています。

ボクサーにウエイトトレーニングは必要かを考察する記事はこちらを参照してください。

ボクサーに必要なウエイトトレーニングに関する記事はこちらを参照してください。

また、シャドーを含めたジムワークだけでは、可動域も乏しくなります。シャドーの前には、スクワット類やルーマニアンデッドリフトの股関節ドリルや肩甲骨ドリルでアクティベートすることを薦めます(S&Cの領域ですね)。

  

短距離走(ダッシュやスプリント走)

短距離走の主働筋は、大殿筋や大腿四頭筋等下半身になるので、主目的は、フットワークやボディワークのスピード向上となると思いますが、上半身(腕)のスイングも重要な要素となります。

短距離走は全力(90%以上)なので、下半身メインではあるが、身体全体の神経系の活性が見込まれることから、ハンドスピードにもいい影響が出る可能性は高いです。

ハンドスピードを向上するためにしてはいけないこと

やってはいけないのは、漫画みたいにやたら重い重量を用いてシャドーを行うファンクショナルトレーニング(まがい)のものです。その理由としては、以下の3つが挙げられます。

  • 運動パターンの変化
  • 怪我のリスクの向上
  • ハンドスピード低下の可能性

運動パターン変化

重い(重すぎる)ダンベル等を持ってシャドーを行うと、重力の影響を受けて、力の向きが下に向かいます(軽量ではその影響は少ない)。

ボクシングはグローブをして行うので、多少の重量は効果があると思います。14オンスの大きなグローブや軽量のダンベルであれば、負の効果は無いでしょう。

14オンスは400g程度なので、せいぜい1~2kg程度のダンベルでいいと思います。

傷害リスクの向上

重量を用いて本気のシャドーを行うと、筋肉や関節を痛める可能性があります。

ハンドスピード低下の可能性

素手やバンテージのみに比べると、重量を持ったシャドーでは、当然絶対的なハンドスピードが落ちます。このスピードを身体(脳)が覚えてしまうと、スピードが低下する可能性があります。

これを回避するためには、仮にダンベルシャドーを行った場合でも、最後には素手(バンテージ)での最軽量シャドーを取り入れるべきでしょう。

 

グランド整備をするトンボでの素振りや重すぎるボールでの遠投やサッカーのキック等は、上記3つの同理由で、NG行為です。

練習とトレーニングは分けて考える

(技術)練習とトレーニングを混ぜるのは危険です!

時期により練習とトレーニングの配列(の比率)を組み変えるのが最適解です。

練習(技術)は練習!トレーニングはトレーニング!

コンディショニングの定義・目的に関する詳細記事はこちら

まとめ

ハンドスピードを向上させる3要素は

  • シャドーボクシング
  • ウエイトトレーニング
  • 短距離走

高重量を用いてのシャドーボクシングを行ってはいけない3つの理由は

  • 運動パターンの変化
  • 傷害リスクの向上
  • ハンドスピードの低下の可能性

練習とトレーニングを合体させるのは、危険行為であり、行ってはいけません。

時期により、練習とトレーニングの比率を変えて、組み合わせることが重要です。

練習は練習、トレーニングはトレーニングです。

練習でトレーニング効果を狙うのは、初心者レベルです。レベルが上がれば上がるほど、練習とトレーニングは分けて考えましょう。

そして、トレーニング効果を出すためには、練習をしっかり行いましょう!

・アイキャッチ画像は、イラストACのZさん

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