ウエイトトレーニング

【フリーウエイト】スクワットの最適な深さを考察する

2022年3月14日

King of Exercise スクワットに関しては、以前にもいくつか記事にしましたが、今回は深さについての考察です。ストレングス関連の著名者の見解を中心に整理し、私の意見も述べたいと思います。

・スクワットに関する記事はこちら

・スクワットに関する記事2はこちら

スクワット(SQ)の深さの分類

基本的には、以下の4種類に分類されると思います。

  1. クォータースクワット
  2. ハーフスクワット
  3. パラレルスクワット
  4. フルスクワット

フルボトムスクワットもありますが、今回はフルスクワットに分類します。

ストレングス関連著名者の著書より以下引用

  • 有賀誠司教授(東海大学)
  • 石井直方教授(東京大学)
  • 荒川裕志准教授(国際武道大学)
  • 山本義徳氏
  • NSCAおよびNSCAジャパン
  • 佐野村学准教授(帝京大学)

有賀誠司教授の見解

筋トレエクササイズ事典で、以下のように分類、説明しております。

私は、フリーウエイトの基礎は有賀教授から学んだので、その教えをスタンダードと捉えています。

クォータースクワット

膝と股関節が120°付近になるポジションまでしゃがむスクワット。高重量の刺激を得たい場合などに作用される。

ハーフスクワット

膝と股関節が90°付近になるポジションまでしゃがむスクワット。初心者に推奨されることが多いが、パラレルスクワットと比べて大殿筋を動員させにくく、姿勢のキープが意外と難しい方法

パラレルスクワット

大腿部の上端のラインが床と平行になるところまでしゃがむスクワット。

有賀教授は、このスクワットをスタンダードしています。当然、私もそう習いました。

フルスクワット

膝を完全に曲げ、股関節が膝関節よりも低くなるところまでしゃがむ方法。

パワーリフティング競技では、パラレルスクワットは反則となるので、フルスクワットをする必要があります。

石井直方教授の見解

トレーニングメソッドで、

深くなるほど大腿四頭筋の中央から根元部分への作用が強くなり、浅くなるほど膝上の部分が発達しやすくなる」と記載されてて、目的に応じて、深さを選択することを勧めています。

クォータースクワット

膝周りの筋力重視の競技向け。バレーボールや陸上のスプリンター等は多用するようです。

ハーフスクワット

股関節付近の筋力重視の競技向け。ラグビー等は当てはまるかもしれません。

パラレルスクワット

効果は大きいが、正しいフォームで行わないと障害の危険性が高くなるので注意が必要と説明されています。

フルスクワット

腰椎と膝の負担が大きくなるので、一般的なトレーニングでは多用しない方がいいと記載してされています。ウエイトリフターやパワーリフター等、競技ウエイトトレーニー向きと捉えているようです。

荒川裕志先生の見解

筋トレ動き方・効かせ方パーフェクト事典で、

ハーフスクワットは、膝が強い力を発揮できる90°付近がボトムになるため、大腿四頭筋の貢献度が高くなる」と書かれています。

一方、「フルスクワットでは、股関節筋群の貢献度が高くなる」とあります。

山本義徳氏の見解

かっこいいカラダ(ボディメイクを極める・スクワットの章)で、「深くしゃがむフルスクワットでは、股関節伸展作用が強くなるため、大殿筋やハムストリングの刺激が強まる。また、膝関節の深く曲がりことになり、大腿四頭筋への刺激も強まる。ただし、ハムストリングは大腿四頭筋よりも弱いため、フルスクワットでは先にハムストリングが疲労し、大腿四頭筋への刺激は不十分になる(一部、文章は要約)」とあります。

そのため、大殿筋やハムストリングを刺激したい場合はフルスクワットを、大腿四頭筋の刺激を優先する場合は、ハムストリングがあまり作用しない、パーシャル(クォーター/ハーフ)スクワットを勧めています。

NSCAの見解

NSCAでは、パラレルスクワットをスタンダードとしており、NSCA(CSCS)第4版では、「大腿部上面が床と平行になるまで、股関節と膝関節を曲げていく」とありますが、NSCAジャパンの公式HPでは、「大腿部の中央部がほぼ床と平行まで下ろす」とあります。

このことも関係しているのか、最近のトレーナーさんのスクワットは少し浅いような気がします。この差は結構大きい(重量でも差は出ます)ので、我々プロは、大腿部上面で行きましょう(^^♪

JATI EXPRESS Vol58「スクワット時の下肢の筋活動(佐野村学)」における各スクワットの定義と筋電図活動

コラムでは、スクワットの深さを、以下の3種類に分類しています。

クォータースクワット(QSQ) *コラムではパーシャルスクワット

最も浅いスクワットで、膝関節屈曲角度55°(大腿と下腿のなす角135°)程度

ハーフスクワット(HSQ) *コラムではパラレルスクワット

フィットネスにおける基準のスクワットで、膝関節屈曲角度90°(大腿と下腿のなす角90°)程度

フルスクワット(FSQ)

膝関節屈曲角度135°(大腿と下腿のなす角45°)程度

筋電図活動

各スクワットの深さ別筋電図活動の割合を以下の表に記します。

表1. スクワットの深さ別筋電図活動の割合

QSQHSQFSQ
大腿二頭筋13%15%15%
大殿筋17%28%35%
内側広筋31%19%20%
外側広筋39%38%30%

引用:JATI EXPRESS Vol58「スクワット時の下肢の筋活動」の表を参考にした各スクワットのしゃがみ込み時と立ち上がり時の筋電図活動の平均値の割合(より分かりやすい数値に改変)

表より以下のことが読み取れます。

  • クォーターSQは四頭筋の筋活動が高い。
  • フルSQの大殿筋の筋活動は高い。
  • 深くしゃがむほど大殿筋の筋活動は上がっていく。
  • 浅いスクワットほど四頭筋の活動が高い。

なお。この研究は、10名の男子ウエイトリフター(平均年齢24歳、身長183cm、体重86kg、体脂肪率6.1%、5年以上のウエイトトレーニング経験者)のデータです。必ずしもすべての人に当てはまるかはわかりません。

スターティング・ストレングスの見解

正しいスクワットとは、「股関節が膝蓋骨の上端よりも低い位置まで深くしゃがみ込む、可動域全体を使う」と説明しています。これをフルスクワットしています。主働筋および協働筋として、大腿四頭筋・大殿筋・内転筋群・ハムストリングを挙げています。

フルスクワットより浅いスクワットは、パーシャルスクワットとして、大腿四頭筋に負荷がかかるが、大殿筋・内転筋群・ハムストリングには負荷がかからないとしています。そして、それらを間違ったスクワットとしています。その原因として、視線(上)、スタンス(ワイド・ナロー)、意識を挙げています。

バットウインクについて~腰痛リスク向上の可能性

スクワットにおいて、バットウインクは重要な要素です。

バットウインクとは「スクワットでしゃがむ局面において、ボトム付近で骨盤が後傾して、背中の下部が丸まってしまう現象」のことです。

バット(Butt)は「尻」、ウインク(wink)は「まばたき」を意味します。

バットウインクが出た状態では、腰痛の後弯を引き起こすので、腰痛リスクが高まります。

また、バットウインクが出た状態の場合、骨盤後傾分を差し引くと、股関節の可動域は狭くなってしまうようです(詳細は、トレーニングマガジンvol63谷本道哉准教授の記事を参照してください)。

最適なスクワットは、フルスクワット(個人的意見)

各先生のご見解や筋電図活動からしても、深くしゃがむほど大殿筋の貢献度が高く、浅ければ四頭筋の比率が高くなるのは間違いないようです。

単純に考えれば、大殿筋目的であれば「フルスクワット」、四頭筋目的であれば「パーシャルスクワット」となるのでしょうか。

ボディメイクの観点からは、大殿筋と四頭筋の比率をよくするために、深さを分けて行うこともあるのかもしれません(私は、ボディメイクの専門家では無いので、あくまでも推測です)。

個人的には、浅いパーシャル(特にクォーター)スクワットは、高負荷を用いれるという利点から、「神経系の改善」と「体幹・姿勢支持筋群である腹筋・背筋群のトレーニング」と捉えており、ピーキング時の補助エクササイズとして活用しています。試合時期が近いアスリートにも、腰痛リスクや身心ストレスも軽減されるので、いいかもしれません(実際、処方することは多々あります)。

上記に、深くしゃがむと、ハムストリングがボトルネックとなり、四頭筋の刺激が不十分とありますが、膝の可動域は大きくなり、四頭筋も十分に使用していることに間違いはありません(筋肉痛がかなり出ると思います)。

さらに、スクワットにおける最大のボトルネックは、脊柱起立筋群なので、スクワットだけでは脚は完全にはAll Outできないかもしれません(超本格的にトレーニングするのであれば、さらにレッグプレス等をプラスする、、、、地獄ですが、、、、それらをできるのは超一流なのでしょう。私には無理です(T_T)。

確かに筋電図活動を見る限りでは、パーシャルスクワット(特にクォーターSQ)の方が四頭筋の比率が大きくなりますが、仕事量では断然フルスクワットに劣ります。

筋肥大において、仕事量や筋損傷度は非常に重要な要素となるので、フルスクワットの方が効果は高いと思います。

さらに筋力向上としては、間違いなく可動域が大きいスクワットの方が上でしょう(筋力は、その可動域の範囲内付近で強くなるので、パーシャルスクワットではフルスクワットの可動域ではほぼ筋力を発揮できないと思います)。

ただし、フルスクワットにはバットウインクの問題があります。それを無視してスクワットを継続すると腰痛のリスクは間違いなく上がります。

以上から、バットウインクの出ない範囲でなるべく深くしゃがむスクワットが個人的な最適スクワットと結論付けさせていただきます。

私自身の脚のトレーニングは、ほぼフルスクワットですが、四頭筋も大殿筋も平均以上の筋量および最大筋力は持っています。

しかしながら、フルスクワットの身体的および精神的ダメージは非常に大きく、継続することが困難は場合も多大に考えられます。

ご自身の目的や体力レベル等を考慮して、最適なスクワットを見つけてください。継続することが最大の効果をもたらせます。

上記を参考にして、いろいろと試してみてください。

引用・参考
・筋トレエクササイズ事典@有賀誠司
・筋肉まるわかり大辞典2, トレーニングメソッド@石井直方
・かっこいいカラダ「ボディメイクを極める」、ウエイトトレーニング実践編@山本義徳
・筋トレ動き方・効かせ方パーフェクト事典@荒川裕志
・ストレングストレーニング&コンディショニング第4版および公式HP@NSCA JAPAN
・JATI EXPRESS Vol.58「スクワット時の下肢の筋活動」@佐野村学
・トレーニングマガジンvol 63/64@谷本道哉/荒川裕志
・Starting Strength 3rd edition @Mark Rippettoe・訳八尾健吾

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