最大酸素摂取量(VO2max)とは、
最大酸素摂取量(maximum oxygen uptake)は、有酸素持久力(全身持久力)の指標として用いられVO2maxと表記します(Vの上に単位時間を表す・(ドット)が必要, 単位はml/kg/min)。
テキストや文献では、以下のように説明されています。
- 単位時間(1分間)に消費(consumption)することのできる酸素の最大値
- 摂取できる単位時間当たりの酸素摂取量の最大値
- 一定時間内で筋肉が消費できる酸素の最大量
- 心臓のポンプ能力と酸素を利用してATPを産生する筋の能力の積
- 酸素摂取量がレベルオフになる強度
- 運動中に体内に摂取することができる酸素量の1分間当たりの最大値
その特徴として、活動筋など末梢の要素が反映されないので、中枢の要素である呼吸循環能力に大きく影響します。
VO2maxは、有名なのでトレーナーはもちろん、持久系競技に関わる人はほとんど知っている用語でです。似た言葉に最高酸素摂取量(Peak VO2)がありますが、この2つの用語を比較しましょう。
最高酸素摂取量(Peak VO2)とは、
厚労省によると、「VO2max測定は大筋群を用いた身体活動により測定され、トレッドミルまたは自転車エルゴメータを用いて測定することが多い。段階的に強度を増加させる時の酸素摂取量を、呼気ガス分析により測定する。運動強度の増加に伴い酸素摂取量も直線的に増加し、その最大値が最大酸素摂取量である。
その測定には運動強度増加に対する酸素摂取量のレベリングオフを確認することが重要な決定要件であり、当該負荷漸増法プロトコルによる酸素摂取量の最高値と定義される最高酸素摂取量とは明確に区別されるが、最高酸素摂取量が最大酸素摂取量に代わって用いられることも多い。
一般的に走行時に測定されるVO2maxの方が自転車エルゴメータにより測定されるものよりも5~10%程度高い。VO2maxの測定には、運動負荷装置、呼気ガス分析装置、心電図記録装置など高価な機器が必要なだけでなく、測定手技に精通した複数の測定者が必要である。このため、簡易に最大酸素摂取量を推定する方法(最大負荷をかけない方法、呼気ガス分析を行わない方法など)が考案され、妥当性や再現性も確認されており、多くの研究で活用されている。」とある。
国立科学センター(JISS)の見解
また、国立スポーツ科学センター(JISS)によると、「VO2max の測定は、酸素摂取量と運動強度(エネルギー代謝率)とのレベリングオフ観察が条件であるが、JISSで行われるVO2max の測定でも、必ずしもレベリングオフが観察されるわけではなく、「特定の漸増負荷法プロトコルで得られた酸素摂取量の最高値」である「最高酸素摂取量(VO2peak)」を、便宜上、VO2max として評価している。」とある。
以上から、我々現場のトレーナーとしては、この両者は同義語と捉えていいようである。
ちなみに、レベリングオフ現象とは、スピード上昇に比例して酸素摂取量は上昇するが、限界が近づいてくると酸素摂取量の上昇が緩やかになり、定常状態になる現象のことである。この定常状態になる強度が最大酸素摂取量ということになるが、通常中々得られない(追い込めない)。
出典・引用・参考文献・資料
ストレングスコンディショニングⅠNSCA Japan@大修館
健康づくりのための運動基準 2006 ~身体活動・運動・体力~報告書 厚労省
国立スポーツ科学センター(JISS)コラム「最大酸素摂取量」
ランニングマガジン「ベストラン」第32号「最大酸素摂取量を高めるトレーニング」山本正彦