トレーニング理論 フィットネス・健康

【S&Cとしての基礎知識】トレーニングは体力強化、練習は技術・スキル向上

2023年4月25日

トレーニングと練習。似て非なる用語となりますが、改めてトレーニングと練習の違いそして重要性についてまとめたいと思います。

トレーニング(training)とは

 

Weiderのトレーニング用語辞典によると、トレーニングは、

日常生活における活動とは異なり、体をよい方向へと変えていくために意図的に行う運動のことです。体の発揮する力を増大させる目的で行います。精神的なものと身体的なものに分けて考えることができますが、一般的には体を鍛えることの意味に使われることが多くなっています。

出典:トレーニング用語辞典新訂版@森永スポーツ&フィットネスリサーチセンター

と説明されています。

細かくすると、筋肉に過負荷を掛ければ、筋力トレーニングやウエイトトレーニング、またランニングや水泳等で心肺機能に過負荷を与えれば持久力トレーニングとなります。

  • 筋力トレーニング
  • 持久力トレーニング
  • パワートレーニング
  • スピードトレーニング
  • ストレッチング

等多岐にわたります(ストレッチングも柔軟性のためのトレーニングと捉えて問題ないと思います)。

言い換えると、各体力要素に過負荷を掛けることで、その体力要素の強化を図るのがトレーニングとなります。専門的に言うと、「コンディショニング」です。

コンディショニングの定義に関する記事はこちらを参照してください。

体力に関する記事はこちらを参照してください。


練習(practice)

一方、練習は、

「学問や技芸などを繰り返し学習すること。また、一定の作業を反復して、その技術を身につけること」とあります(日本国語大辞典)。

簡単に言うと、反復することで必要な技術(Skill)を身につけることです。技術練習といった方がわかりやすいかもしれません。

体力要素の関連付けると、神経系の活性化(脳にその運動・動作を覚えされる)に繋がります。

トレーニングと練習の優先順位

基本的にどのレベルにあってもスポーツをする人にとって最も重要なのは、間違いなく練習です。

練習をしなければ、そのスポーツ・競技はうまくなれません。

どんなにベンチプレスが強くても、それだけではボールはバットやゴルフクラブに当たりません。

スクワットを200kg挙げることができてもサッカーやバスケットボールのドリブルはうまくなりません。

さらにどれだけ速く走れても持久力に優れていてもバタフライで泳ぐことはできません。

まず、そのスポーツをすることが最優先です。

さらに、初期レベルやフィットネス目的の場合、スポーツそのものをするだけでも、日常生活以上の負荷があるので、ある程度(場合によってはかなりの)体力も向上し、トレーニング効果も期待できます。



トレーニングをする必要性

では、スポーツをしている人は、トレーニングは必要無いのでしょうか?否です!

以下のケースを考えてみましょう。

  • アスリートの場合
  • フィットネスまたは市民アスリートの場合
  • 特に何もしていない人の場合

アスリートの場合

トップアスリートを筆頭に本気でそのスポーツ・競技をしている人の場合、トレーニングは必須となります。

アスリートの目的は勝つことです。

そしてレベルが上がれば上がるほど練習は当然のことながらトレーニングの重要度も増していきます。

なぜ、トレーニングが必要なのか?

それは、その競技スポーツ以上の負荷を容易に掛けることができるからです。練習だけをするよりもトレーニングを導入することで体力向上において圧倒的に効率が良くなります。

トレーニングは、競技スポーツよりも体力要素において負荷が高いのです。

ウエイトトレーニングは、競技スポーツ以上に筋肉に負荷を与え、

持久力トレーニング(ランニングやバイク)は、心肺機能により大きな刺激を入れることができます。

競技によって、必要な体力要素は違うので、練習を第一にどれくらいトレーニング(コンディショニング)に時間を裂けるのかを吟味し、各トレーニングの比率を考えておくことが必要です(ピリオダイゼーション)。

ピリオダイゼーションに関する記事はこちらを参照してください。

陸上の中長距離や競泳は、練習が持久力トレーニングを兼ねている特殊なパターンなので、トレーニングとしては、ウエイトトレーニングが必要でしょう。

友人であり、尊敬するS&Cの一人である関西大学の佐名木氏が、

「多くの選手は、その競技に必要なだけの数字を追い求める傾向に有るが(例えば、1,500m走は5分台、ベンチプレスは100kg、体重は80kg等)、数年経てば現在の体力では通用しなくなる可能性が高い。結果、フィジカルには上限を設けずに日々の努力が必要(一部要約)」との旨をSBDのコラムで書かれています。

心を刺す内容なので、是非お読みください。

メジャーリーガーの大谷翔平選手は、それを実践しているアスリートの一人でしょう!

佐名木氏のSBDコラム

ウエイトトレーニングをするべきレベル~スポーツを行う目的と競技動作で鍛える限界~ | SBD Apparel Japan コラム

フィットネスまたは市民アスリートの場合

確かにスポーツをしている人は、一般的には体力があるのでトレーニングは必要無いかもしれません。

ただし、より高見を目指している市民アスリートの場合は、上記アスリート同様によりフィジカル向上のためのトレーニングが必要となるでしょう。

また、スポーツは基本的には片側運動(テニス、野球、ゴルフ等)なので、筋バランス等が崩れ、腰痛等を引き起こすことも少なくありません。

それに対し、ウエイトトレーニングは両側運動で筋バランスを整える効果もあるので、傷害予防のためにも導入することをお勧めします(持久力トレーニングは追加して取り入れる必要は無いかもしれませんね)。

特に運動をしていない人の場合

日常生活レベルでは、体力は低下していく一方です。さらに肥満になる可能性も高まります。

週に一回からでもいいので、できるだけ早くスポーツやウエイトトレーニングを始めてください。

最も簡単なのでウォーキングです。手足(腕・脚)を大きく動かしましょう。

まとめ

トレーニングは体力強化、練習は技術・スキル向上!

スポーツをする人にとって、最も重要なのは練習ですが、

トップアスリートを筆頭に本気でスポーツをする人にとっては、そのスポーツの練習以上に負荷を掛けられるトレーニングは体力向上には必須です。

フィットネスであっても、スポーツは片側性が高いので、両側性のウエイトトレーニングを導入することで傷害予防に役立ちます。

運動をしていない人は、今すぐにでも健康のためにスポーツやトレーニングを開始しましょう!

出典・引用・参考
・トレーニング指導者テキスト理論編@JATI
・ストレングストレーニング&コンディショニング第4版@NSCA JAPAN
・トレーニング用語辞典新訂版@森永スポーツ&フィットネスリサーチセンター
・競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方@河森直紀
・ウエイトトレーニングをするべきレベル~スポーツを行う目的と競技動作で鍛える限界~ | SBD Apparel Japan コラム@佐名木崇貴

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