ウエイトトレーニング トレーニング理論

【プログラムデザイン】背中(上背部)のトレーニングで押さえておきたい重要項目

2023年2月2日

上背部は、ビッグ3に勝るとも劣らない重要部位です。

上半身種目としてロウイングやチンニングは、人気では敵わないまでも王者「ベンチプレス」とTwo topを成す重要種目です。

今回は上背部のプログラムについて考察したいと思います。

上背部のプログラムデザイン

上背部は、特に重要なので、少なくとも週に1回は過負荷を掛けたい部位です。

トレーニングにどれだけ時間を費やせるかによって、プログラムは変わってきます。

  • 全身プログラム
  • 上半身プログラム
  • 上背部プログラム

トレーニング頻度の関する記事はこちらを参照してください。

全身プログラム

週1~2回、ウエイトトレーニングを行うことができるのであれば、できる限り全身の筋肉に負荷を掛けることになると思います。

大筋群を中心にプログラムを組むことになると思うので、「脚・臀部」「胸部」「肩部」のコアエクササイズと一緒に行うことになります(上背部もコアエクササイズです)。

1回で全身のトレーニングを行うのは、効率は良いですが、疲労度も高く、後半の種目は中々鍛えきれないデメリットがあります。

持久系種目のアスリートやフィットネス目的の方は、このパターンが多いかもしれません。

コアエクササイズに関する記事はこちらを参照してください。

上半身プログラム

週に2~3回、トレーニングできるのであれば、上半身と下半身に分けるスプリットルーティンを用いることになると思います。

上半身に絞るので、全身プログラムよりも上半身の種目を多くすることができます。

「胸部」「上背部」「肩部」「腕部」等になりますが、上背部は上半身の中でも重要なので前半に行うべきでしょう。

多数の方は、ベンチプレスから入ると思いますが、上背部が最重要である場合、トップに持ってくることも考えられます。

エクササイズの配列・順序に関する記事はこちらを参照してください。

スクワット等、下半身種目が無いので、全身プログラムよりは効果が高いですが、ベンチプレス(胸部)と組み合わせことになるので、共通の協働筋である上腕三頭筋の疲労がポイントになるかもしれません。

ベンチプレスの後に上背部種目を行えば上背部の効果がやや落ち(チンニングの回数が減る等)、上背部を先に行いベンチプレスを後にするとベンチプレスの重量が落ちる可能性があります(私は確実に落ちます)。

筋力が重要な競技選手は、上記のデメリットは有りますが、練習やその他のコンディショニングを考慮すると、上半身プログラムに組み込むことが多いと思われます。

スプリットルーティンに関する記事はこちらを参照してください。

上背部プログラム

週3回以上トレーニングを行えるのであれば、より部位を絞ったスプリットルーティンが可能になります。

週5回程度取れるのであれば、上背部に特化したプログラムも可能でしょう。

週3~4回であれば、上背部に腕を組み合わせることになるかもしれません。

ボディビルダー・フィジーカー・パワーリフター等バーベル競技選手やヘビートレーニー、さらには特に筋力が重量な競技選手(投擲やアメフト・ラグビー等)はこのパターンが多いかもしれしれません。

負荷と回数設定

負荷と回数に関しては、

  • 筋肥大期
  • 筋力・パワー向上期

では、設定を変える必要があります。

負荷と回数設定に関する記事はこちらを参照してください。

筋肥大期

上背部に限らず、ウエイトトレーニングで最も重要な筋肥大期の負荷は、8~10RM(70~80%1RM)あたりです。

しっかり効かせて、オールアウトすることが重要になってくるでしょう。

筋力・パワー向上期

上背部の主働筋は、広背筋や僧帽筋(中下部)となるので、高負荷を扱うことができます。

しかし、胸や脚ほどピリオダイズせず(Max/1RMを狙わず)、筋力期であっても通常5~6RMの重量で行行うことが多いです

理由としては、以下の3つです。

  1. 大筋群(広背筋)がターゲットであっても、単関節運動(肘関節・上腕屈曲筋は極力使わない)と分類されることもあること
  2. 1~3RM辺りだと肩甲骨周りの小筋群の動きが阻害されてしまう可能性があること
  3. フォームが崩れやすいこと

上背部の種目でも正しいフォームで効果を出せるのであれば、1RMも用いることもあります。

上背部の種目紹介

代表的な上背部の種目を5つ紹介します。

  • チンニング
  • リバースロウ
  • ワンハンドロウ
  • ロープロウ
  • リアサイドレイズ

チンニング

中上級者にとっては、ベストエクササイズにもなるチンニング(Chinning, Chin up, Pull up)。

テキストブックでは、二頭をあまり使わないロウからプルへという考え方もありますが、個人的にはチンニングの強度が大きく、ロウ(Row)の後に持ってくるとほとんど引けません。逆にロウ系は重量をコントロールできるので後半に持ってくることが多いです。

リバースロウ(Reverse Row)

斜め懸垂(インバーデッドロウ)の変形であるリバースロウは、斜め懸垂の垂直タイプでそこそこ負荷は高いので、レベルに応じて角度を付けて(斜め懸垂にして)8~10回はキープするようにするといいと思います。

ワンハンドロウ(One Hand Row)

ベストエクササイズにも挙げているワンハンドロウについては、以下にメリットおよびデメリットを挙げておきます。

メリット

  • 高負荷も用いることができる
  • 腰の負担が少ない
  • 両側のベントオーバーロウやリバースロウと比べて、可動域が大きい
  • 左右差が実感しやすい

デメリット

唯一のデメリットがあるとすれば、シングル運動なので左右で2倍の時間かかり、結果身体負担は大きいところでしょうかね。私もベストエクササイズには挙げていますが、好きでは無いです(+_+)

ロープロウ(Rope Row)

ロープロウは綱登りの変形で、高さの無い施設にお勧めの反復運動です。上腕を使用するデメリットはあるものの、肩伸展の可動域は大きく、握力面でのメリットも大きいですね。

それでもスクワットラックは必要でしょう。

リア(ベントオーバー)サイドレイズ(Rear Side Raise)

厳密には背中の種目では無いですが、唯一の肩外旋運動種目で三角筋後部を鍛えることができます。肩の傷害予防として上半身の最終種目として重要視してほしい種目です。

リアサイドレイズに関する記事はこちらを参照してください。

プログラム例

フリーウエイトにおいては、ロウ系における上背部のベストエクササイズはワンハンドロウと考えているのでそれを中心に考えていきます。

ワンハンドロウの効果には若干劣るものの、簡単でかつ効かせやすい斜め懸垂(インバーデッドロウ)やその変形の「リバースロウ」も捨てがたいものがあります。

これらとプル系の筆頭種目でもあるラットプルダウンや、場合によっては(レベルによっては)背中のベストエクササイズであるチンニング*を中心にプログラミングするといいと思います。

*チンニングは、強度が高いため、初心者や女性には厳しい種目でありできない人も多く、中上級者向けの種目と考えます。

上背部のエクササイズについての記事はこちらを参照してください。

私自身のプログラム

私自身も上記を中心にプログラミングすることが多く、年間を通して種目はほぼ変えず、時期により負荷や回数に変化を付けます(筋肥大・筋力向上等)。

  1. ロープロウ
  2. チンニング
  3. インバーテッド(リバース)ロウ or ワンハンドロウ
  4. リアサイドレイズ

エクサササイズに関しては、ワンハンドロウを除いてほとんど自重です。恥ずかしながら背中はあまり強く無く、自重で十分な過負荷になります。

胸・肩に比べトレーニングのボリュームが少ないので、背中の日にクイックリフトを入れることが多いです。クイックリフトについては別の機会に。

まとめ

上背部のプログラムデザインは、以下の3つのプログラムに組み込まれることになるでしょう。

  • 全身プログラム
  • 上半身プログラム
  • 上背部プログラム

初級者や持久系競技選手は、週1回の全身プログラムに、中級者以上のトレーニーや筋力がより重要なアスリートは、上半身や上背部のみ(+腕部)のスプリットルーティンが有効です。

条件設定(負荷と回数)は、基本的には

  • 筋肥大期
  • 筋力・パワー向上期

に分け、よりベターな効果を狙っていきます。レベルや目的により内容は変わっています。

上半身の代表的な種目

  • チンニング
  • ワンハンドロウ
  • リバースロウ
  • ロープロウ
  • リアサイドレイズ

 

参考文献
・筋トレエクササイズ事典@有賀誠司
・筋肉まるわかり大辞典1/2, トレーニングメソッド@石井直方
・筋トレまるわかり大辞典@谷本道哉
・筋トレ動き方・効かせ方パーフェクト事典@荒川裕志
・ウエイトトレーニング理論編@山本義徳

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