ウエイトトレーニング

【フリーウエイト】リアサイドレイズの重要性

リアサイド(ラテラル)レイズは、別名ベントーオーバーサイド(ラテラル)レイズとも言います。なかなか地味なエクササイズなので、行わない人も多いと思いますが、個人的には上半身では最重要といっても過言ではないほど重要視しています。その理由を考えていきましょう。

以前に「私的第4種目3傑」というブログ記事で、2番目のエクササイズとして紹介しています。

参考ブログ記事 ・私的第4種目3傑

リアサイドレイズの名前の由来

リアサイドレイズは、Rear Side Raiseと書き、Rearは後ろを意味するので、三角筋後部の代表的なエクササイズになります。Bent Over Position で行うサイドレイズなので、ベントオーバーサイドレイズとも言います。

 

Side Raiseは、肩の外転運動を意味し、三角筋のトレーニングの代表的なものでかなり有名な種目です。外転運動は、前額面上の正中線から離れる運動なので、外を表すラテラル(Lateral) を使用することもあります。

リアサイドレイズの主働筋・協働筋

リアサイドレイズは、肩の水平伸展運動なので、

  • 主働筋は「三角筋後部」
  • 協働筋として「菱形筋」「僧帽筋」「広背筋」

等が働いています。

肩甲骨の内転運動が連動するので、やり方によっては、主働筋と協働筋は入れ替わるかもしれません。

三角筋について

三角筋は、肩の筋肉として有名ですが、大胸筋や広背筋と比べると小さい筋肉に捉われがちです。実は上半身最大の体積、全身でも大殿筋に次ぐ第2位の筋肉です。荒川裕志先生の著書によると、その体積は

  • 三角筋全体:792㎤
  • 三角筋前部:123㎤
  • 三角筋中部:377㎤
  • 三角筋後部:292㎤
  • 大胸筋:676㎤
  • 広背筋:550㎤
  • 大殿筋:864㎤

*この数値は、平均25歳、身長185cm、体重86kg(おそらくアメリカ人)を想定したものなので、日本人はもう少し低いと思われます。

三角筋は大きな筋肉なので、前部・中部・後部に分けて考えます。それぞれの起始・停止、および機能(肩関節)を以下にまとめます。ただし、停止は共通で「上腕骨三角粗面」なので省きます。

  • 前部:起始→鎖骨外側1/3, 機能→屈曲・水平屈曲・内旋・外転
  • 中部:起始→肩峰, 機能→外転
  • 後部:起始→肩甲棘内側部下縁, 機能→伸展・水平伸展・外旋・外転

なお、三角筋中部の前方線維は「三角筋前部→屈曲・水平屈曲・内旋」を、後方線維は「三角筋後部→伸展・水平伸展・外旋」と同機能を持ちます(若干弱いですが)。

リアサイドレイズの効果

アスリートがウエイトトレーニングを行う理由・目的をもう一度考えましょう。

  1. 競技パフォーマンスの向上
  2. 傷害予防

競技パフォーマンスの向上に関しては

  • 筋量増加
  • 最大筋力向上
  • 一般的パワー向上

等が挙げられますが、リアサイドレイズに関してはこの効果は少ないと思います(三角筋後部は鍛えにくい部位ですが、筋量増加は重要です)。

では、なぜ重要なのかというと、「傷害予防」です。

参考ブログ記事:ウエイトトレーニング再考(目的と効果)

傷害予防としてのリアサイドレイズ

多くの競技動作(スローイング(Throwing)やパンチ、水泳のストローク等)は、基本肩の内旋運動が伴います

また、筋肉(特に大筋群)においても内旋の機能を持つものが多く

  • 大胸筋
  • 三角筋前部
  • 広背筋
  • 大円筋
  • 肩甲下筋
  • 小胸筋・前鋸筋(肩甲骨外転に伴う肩内旋)

小胸筋に関する記事はこちらを参照してください

外旋の機能を持つのは、以下の3つだけと考えていいでしょう。

  • 三角筋後部
  • 棘下筋
  • 小円筋

このことから、競技そのものだけを行う、または上半身のウエイトトレーニングを多く行うと、肩は内旋傾向になります。結果、猫背や巻き肩等にアライメント不良から、さらには痛みに発展する可能性が高まります。

肩内旋

それらを予防・改善する(セルフ)方法の一つが「リアサイドレイズ」や「肩の外旋運動」となります。

リアサイドレイズのトレーニング

リアサイドレイズは、通常、高負荷は用いず、低負荷高回数で行うことを勧めます(筋肥大目的であれば8~10RMでもOK、ボディメイク系の方はそうしていると思います)。

基本的には、上半身の締め(最後)のトレーニングになると思います(肩内旋をリセットする)

特に肩の内旋傾向にある(もしくは肩に違和感や痛みがある)アスリート(スイマーやボクサーは多いと思います)は、負荷を用いるのはウエイトトレーニングのときだけでもいいと思いますが、練習の時でもレストを利用して無負荷での外旋運動を習慣化することをお勧めします。

無負荷であれば、毎日行っていただきたいエクササイズです。

肩外旋

・筋肉まるわかり大辞典1, トレーニングメソッド@石井直方
・筋トレまるわかり大辞典@谷本道哉
・筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典, 筋トレ動き方・効かせ方パーフェクト事典@荒川裕志

写真モデル

栢沼勇氏および高田道成氏(共にパーソナルトレーナー)

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