競技スポーツで結果を出すためには、その競技のための練習が必要です。プロボクシングでもそれは例外ではなく、ジムワーク(練習)が最重要となります。
今回は、プロボクサーになるために、そしてプロになってからも導入するべき重要な練習やトレーニングについて考察していきましょう。
体力・フィットネスに関する記事はこちらを参照してください。
プロボクサー(持久系競技)のトレーニングの優先順序の再確認
以前にも記載しましたが、プロボクシングの練習・トレーニング構成、優先順序、およびその目的は、以下のとおりです。
- 練習(ジムワーク)→技術・戦術および専門的全身持久力向上目的
- ロードワーク(ラントレ)→全身持久力向上,コンディショニングというよりも練習の位置づけ
- ウエイトトレーニング→筋力・パワー養成および可動域の確保、コンディショニング第1位
プロになるために重要なこと
ボクシング(その他格闘技も含め)は、他の競技スポーツと比べ、プロになるためのハードルはかなり低く、普通の運動能力を有していれば、成人してから始めてもかなりの確率でプロになることができます。
プロテストを受ける条件
プロになるためにはプロテストに合格しなければなりません。その条件を確認しておきましょう。
- 日本プロボクシング協会(JPBC)加盟のボクシングジムに入会する
- 日本ボクシングコミッション(JBC)が行うプロテストに合格する
プロテスト受験には年齢制限があります。16~34歳までで、かつ以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 筆記試験
- 実技試験(スパーリング)
筆記試験で不合格になることはあり得ないので、実質実技試験である2Rのスパーリングで合否は決まります。
この実技試験(スパーリング)は、勝敗で決するのではなく、基本技術(特にワンツーやディフェンス、オープンナックルになっていないか等)と全身持久力(スタミナ)が重要視されます。
まずは、基本技術と2Rを動けるスタミナを作りましょう。
プロテスト合格が目的の場合(試合はしない)
プロテスト合格が最大の目的であれば、ジムワークだけで十分でしょう。
週に5~6回のジムワークを、各90~120分で、特にメイン練習となるシャドーボクシング、ミット打ち、サンドバッグ、スパーリング等を10~15R程度を半年から1年程度継続してできるようであれば、目的は達成できるはずです。
ジムワークは、技術は当然ながら、筋力や持久力等総合的な体力を養うことに優れています。
ジムワークに関する記事はこちらを参照してください。
プロとして1試合のみを行う場合
プロになり、折角だから記念として1試合行いたいのであれば、これもジムワークだけで対応することも可能です(さすがに質は上げる必要は有りますが)。
ただし、勝ちを求めるのであれば、ロードワークは実施した方がいいでしょう。
ボクシングの4回戦の勝敗は、体力、特に全身持久力の要素が非常に高いので、ロードワークでスタミナをつければ、勝つ確率は著しく高まります。
具体的には、4:00/kmで4~5km走れる持久力を持っていれば、60%程度の確率で勝てると思います。その理由は、下記の記事を参照してください。
プロボクシングに関する勝率の考察記事はこちらを参照してください。
長期的に、さらにはチャンピオンになるためのトレーニング
長期的に、さらに頂点を目指すのであれば、メンタルトレーニングを含めた総合的なコンディショニングが必須となるでしょう。
全身持久力が最も重要なプロボクシングの場合、ラントレは「ロードワーク」と言われるように、練習の一部です。ジムワーク以上の負荷を(非常にきついですが)容易にかけることができるので、効率良く鍛えることができます。
まず、コンディショニングとして導入したいのが「ウエイトトレーニング(以下、ウエイト)」です。
ウエイトは、筋力はもちろんのことながら、柔軟性も獲得できる優れたコンディショニングです。
ラントレ同様、ジムワーク以上の負荷を筋肉に与えることができます。プロボクシングのジムワークにおける消費は尋常ではなく、筋肉に関して言えば、合成(鍛える、筋量増加)よりも分解(筋量減少)の方が大きく、定期的に筋肉に負荷を掛けておかないと、筋量が減って、長期的にはパフォーマンス低下に繋がる可能性があります。
最大筋力が最も重要な競技では無いですが、筋量減少を抑えるためにも定期的なウエイトは必須となるでしょう。
正しいウエイトは、傷害予防(関節等の強化や筋バランスの調整)に役立ちます。ケガは最大のパフォーマンス低下の要因なので、ケガをしない身体つくりは、長期的に選手を続ける必須条件となります。
まとめ
プロボクサーのトレーニングは、
- プロになるだけなら、週5~6回のジムワークだけで十分
- プロで1試合だけするのであれば、ジムワークだけでも可能だが、勝ちを求めるならロードワークを行い持久力をつけること
- 長期的に続けるなら、ウエイトを最優先とした総合的なコンディショニングが重要(できればメンタルトレーニングも導入した方が良い)
頂点を目指すなら、ジムワークとロードワークを中心に、体力向上のために総合的なコンディショニングを計画的に実施しましょう。