糖尿病は、最も起こりやすい生活習慣病の一つですが、血糖値が大きく関わっています。糖尿病と血糖値の関係や検査の方法と評価についての整理しましょう。
糖尿病とは、インスリン不足による高血糖状態
糖尿病を定義すると
「過度に高い血糖値を特徴とする代謝系疾患の集まり(NSCA)」や「インスリンの作用不足で高血糖状態になる病気(中村)」
とあります。
特徴と症状
代表的な症状には
- 頻尿
- のどの渇き
- 食欲亢進
- 虚弱
- 体重減少
等がありますが、進行し悪化すると
- 失明
- 切断
- 死亡
に至ることもあります。
血糖値
そもそも血糖値とは何でしょう?
血糖は、血液中のブドウ糖(グルコース)のことで、血糖値はその濃度であり、単位はmg/dlです。
血液中に約0.1%に含まれ、脳や筋肉のエネルギー源となる、生きていくうえで最も重要な栄養素です。
血糖値が、低下すると空腹感で食欲が湧き、上昇すると満腹感で食欲が低下します。
炭水化物・糖質の基礎知識に関する記事はこちらを参照してください。
糖尿病の分類
糖尿病は、以下の2つに分類されます。
- Ⅰ型
- Ⅱ型
Ⅰ型は、インスリン依存型、先天性、若年性
Ⅰ型糖尿病は、インスリン依存型糖尿病とも呼ばれ、「自己免疫障害による膵臓の*β細胞の破壊により、通常絶対的なインスリン欠乏をもたらす」病気です。
*脾臓(ランゲルハンス島)のβ細胞はインスリンを分泌します。
糖尿病の約10%で、先天性または若年性(25歳以前)であることが多く、インスリンがほぼ分泌しないので、生きていくためには、注射等外因性インスリンが必要が必要となります。
Ⅱ型:非インスリン依存型、後天性、生活習慣病
Ⅱ型糖尿病は、非インスリン依存型糖尿病であり、「末梢組織のインスリン抵抗性および膵臓のβ細胞のインスリン分泌低下」するもので、いわゆる生活習慣病のひとつです
基本的には、糖尿病はこのⅡ型を意味し、全体の約90%に登ります。
原因として、以下が挙げられます。
- 家族歴
- 老化
- 肥満
- 運動不足
対処法として、
- 食事管理
- 運動
が必要となります。
インスリンの枠割
インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンです。
血糖値を下げるということは糖を各細胞に送り込むということです。インスリンの分泌が無い(Ⅰ型)または乏しい(Ⅱ型)のが糖尿病で、通常、空腹時の血糖値が126mg/dl以上で糖尿病と診断されます。
インスリンには、血管や細胞膜を通過する機能があります。インスリンの分泌が無いと、血中のブドウ糖やアミノ酸が、細胞まで到達することができず、栄養不足となり、最悪死に至ります(糖尿病)。
膵臓およびインスリンに関する記事はこちらを参照してください。
血糖値検査の分類
血糖値の検査方法では、以下の5つを押さえておくといいでしょう。
- 空腹時血糖値
- 食後2時間血糖値
- 75gOGTT2時間値
- 随時血糖値
- HbA1c
空腹時血糖値~基本中の基本
起床後等、空腹時(約12時間絶食)の血糖値です。もっとも一般的で簡易な検査ですが、最近注目の血糖値スパイクに関しては判断することはできません。それでも最重要でしょう。
110mg/dlを超えると要注意、126mg/dl以上で糖尿と診断されます。
食後2時間血糖値~血糖値スパイクとの関連性有り
食事を始めてから2時間後の血糖値です。
この数値が、
140mg/dlを超えると血糖値スパイクとみられ、200mg/dlを超えると糖尿病と診断されます。
75gOGTT2時間値(75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値)
空腹時血糖値の検査後、ブドウ糖液を飲み2時間後に測る血糖値です。
随時血糖値
食後の時間の定めなく計測した血糖値です。
HbA1c(単位:%)~血糖とヘモグロビンの結合を測る
血糖値ではなく、血糖とヘモグロビンの結びつきの割合を測るHbA1cの値です。
HbA1cは、赤血球に含まれる酸素を含むヘモグロビンがタンパク質と結合した物質を表します。
血糖値が高く血液中にブドウ糖が多くあると、血液中のHbA1cが増えます。
ヘモグロビンの寿命は約4か月で、HbA1cは寿命の約半分、1~2か月の血糖値を反映したもので6.5%以上で糖尿病と診断されます。
メタボリックシンドロームに関する記事はこちらを参照してください。
血糖値一覧表
日本糖尿病学会のデータ・評価
血糖値 | 空腹時血糖値 | 食後血糖値 | HbA1c |
正常値 | 100未満 | 140未満 | |
正常高値 | 110未満 | ||
境界型* | 110~ 126未満 | 140~ 200未満 | |
糖尿病 | 126以上 | 200以上 | 6.5%以上 |
*境界型糖尿病:正常にも糖尿病にも属さない域。
日本人間ドッグ学会のデータ・評価
血糖値 | 空腹時血糖値 | HbA1c |
正常値 | 100未満 | 5.5%未満 |
要注意 | 100~125 | 5.6~6.4% |
異常 | 126以上 | 6.5%以上 |
引用・参考:血糖値ナビ http://pink-pig77.net/category/kettouchi/
引用・参考文献
・NSCAパーソナルトレーナーのための基礎知識@NSCA Japan
・栄養の基本がわかる図解事典@中村丁次(監修)
・臨床栄養学(国立健康栄養研究所)@中村, 小松, 杉山, 川島
・生理学の基本@中島雅美(監修)
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