メンタルトレーニング

【メンタルトレーニング】ルーティーン~集中力を高めるトレーニング法

2022年7月4日

ルーティーン、2015年のラグビーワールドカップでの五郎丸歩氏のプレースキック前の一連の動作で一気に広まった感があります(当時は最後の五郎丸ポーズのみがフォーカスされてような気もしますが、、、)。

これも、メンタルトレーニング用語になりますが、最近では、アスリートだけに限らず、一般的にもよく聞く言葉です。

メンタルトレーニングの第一人者、高妻容一教授(東海大)の著書やコラムを基にルーティーンを理解していきましょう。

メンタルトレーニングの目的

これは、前回のメンタルトレーニングの記事(ゾーン)にも載せましたが、復習も込めて再掲載します。

ゾーンに関する記事はこちらを参照してください。

スポーツ選手が、メンタルトレーニングを取り入れる最大の理由は、試合に勝つ(可能性を高める)ためでしょう。

試合に勝つためには「最高のパフォーマンスを試合時にいかにして発揮するか」が重要であり、そのための「心の準備・強化・トレーニングをすること」がメンタルトレーニングとなります。

アスリートが、どのような心理状態のときに最高のパフォーマンスを発揮するかを理解するためにも、我々フィジカルコーチもメンタルトレーニングを学んでおくことは重要なワンピースになると思います。

ルーティーン(routine)とは?

ルーティーン(routine)の直訳は、「決まった手順」「お決まりの所作」「日課」等になります(weblio辞書)。

私自身は、大学でプログラミングを学んだので、その時に初めて聞いたかもしれません。プログラム用語としてのルーティン(特定の処理を実行するための一連の命令群)は意外としっくりきます。

メンタルトレーニング用語としてのルーティーンは、正確には「プレ・パフォーマンス・ルーティーン」と言います。

プレ(pre-)は、「前」を表す接頭辞なので、パフォーマンス前のルーティーン、試合や練習前の一連の決まり事となるでしょうか。

ルーティーンの位置づけ~集中力を高める心理的スキルのひとつ

メンタルトレーニングは、「最高のパフォーマンスを試合時に発揮するための心の準備・強化・トレーニング」です。その心理的スキル・トレーニング法は

  1. 目標設定
  2. モチベーション
  3. セルフコントロール
  4. リラクゼーション
  5. サイキングアップ
  6. イメージ
  7. 集中力
  8. セルフトーク
  9. プラス思考
  10. 理想的な心理状態

等となります。

集中力とは何か?

メンタルトレーニングの心理的スキルの一つである「集中力」は英語で「consentration」や「focus」です。より専門的に「集中力」は4つに分類されます。

  • 狭い集中
  • 広い集中
  • 内的な集中
  • 外的な集中

簡単に説明すると、

  • 「consentration」は一点集中等「狭い集中」
  • 「focus」は全体の状況の変化や瞬時の判断等「広い集中」
  • 自身の内部(筋肉、心肺、フォーム等)に集中する「内的集中・internal」
  • 外部環境(音、視界、気候等)に集中する「外的集中・external」

この4つの集中は、単独でなく、複合的にかつ随時変化していくものです。これらの変化を感じる(もしくは理解する)ようになるには、ある程度の経験が必要かもしれません。

元々、集中力はスポーツにおいて非常に重要視されてきましたが、現場では、具体的なトレーニング法が確立されていませんでした。

その「集中力」を高める2大方法論が、

  • ルーティーン
  • フォーカルポイント

です。

フォーカルポイント(focal point)のfocalは焦点なので、(試合場のある一点)一点を集中することで「(狭い)集中力を高める」ことになるのでしょう。

ボクシング等対人格闘技は、狭い集中力が必要なるスポーツだと思いますが、相手に集中することもフォーカルポイントになるのでしょうか?

ルーティーンの方法論

繰り返しになりますが、ルーティーンは、「集中力」を高める方法論のひとつです。

一定の動作や所作をパターン化することで、リズムが生まれ、呼吸や心理状態が安定し、いつも通りの平常心を保つことができ、それが集中力を高め、最高のパフォーマンスを発揮するに至るのではないでしょうか。

五郎丸氏の場合、ルーティーンにより

  • 無心
  • 集中
  • 自信
  • 余裕
  • 平常心
  • プラス思考

を作り出していたようです。

さらに、上記心理的スキル(リラクゼーション、セルフイメージ等)の実践は、集中力を高めることにも作用しているようです。

ルーティーンの実際

有名なルーティーンの実際例を記載します。

  • 五郎丸歩氏
  • イチロー氏
  • 川崎新田ボクシングジムのボクサーたち
  • 私(^^♪

五郎丸歩氏(元ラグビー日本代表)

先にも述べましたが、五郎丸氏のプレースキック前のルーティーンにより一気に広まった感がありますね。

  1. ボールを2回回転させてボールをセットする。
  2. 手を合わせてボールが飛んで行くことを手でイメージする(五郎丸ポーズ)。
  3. 後に3歩下がる。
  4. 左に2歩移動する。
  5. 助走は8歩でボールを蹴り抜く。

出典:JATI EXPRESS Vol51 競技力向上のためのメンタルトレーニング@高妻容一

イチロー氏(元メジャーリーガー)

ベンチからネクスト・バッターズ・サークル、さらにはバッター・ボックスに入るまでの一連のルーティーンも有名ですが、さらにイチロー氏は生活そのものがルーティーン化していたようです。

毎朝、同じ時間にカレーライスを食べ、試合後もどこかに寄ったりせずにホテルに戻る。

ひとつひとつの動作や所作は難しいことでは無いですが、これを数十年変わりなく続けることができるのが、超一流をさらに超えた唯一無二の存在に登りつめた所以ではないでしょうか。

川崎新田ボクシングジムのボクサーたち

前の記事にも載せましたが、川崎新田ボクシングジムのボクサーたちはメンタルトレーニングを行っている選手が多いです。

一人一人のルーティーンは把握していませんが、実践・継続している選手の方が、強くなる傾向に有るようです。

メンタルトレーニングを全くしない選手もいるし、しなくても結果を出した選手もいますが、確率からすると、メンタルトレーニングを実践している選手の方が強くなっていると思います。

その効果を最も出した選手は、前日本Sバンタム級王者の古橋岳也選手(写真)でしょう。

私の場合(アベレージゴルフプレイヤーとして)

一気にランクは下がりますが、一般代表として私のルーティーンを紹介します。

私は、ゴルフが好きで、一応シングルプレーヤーを目指しています(^^ゞ

練習およびラウンド前のルーティーン

  1. 口を大きく動かして、顎関節をほぐす。
  2. ドライバーを使用して、肩回し(10回)
  3. 肩屈曲からの水平伸展5回
  4. 肩回し(エア・後ろ回旋)左右5回ずつ
  5. ルーマニアンデッドリフト10回
  6. 変形スクワット(股関節屈曲位での膝屈伸運動)10回
  7. フルスクワット10回
  8. ペルベックチルト(骨盤前後傾運動)10回
  9. 胸椎右回旋10回(テイクバック意識)
  10. 胸椎左回旋10回(フォロースルー意識)
  11. テイクバックの可動域確認(ドライバー使用)
  12. 素振り軽め5回(軌道とフィニッシュの確認)
  13. ドライバー・フェアウェイウッド軽め5球ずつ(ミート率・捕まり具合の確認)

ここまで約10分程度です。

 

ラウンド中のショット前のルーティーン

  1. 後方からハザード(バンカーや池)等の全体把握(広い集中)
  2. 後方からターゲット確認(狭い集中)
  3. 風の確認(外部の集中)
  4. グリップおよびアドレス等セッティング(内部の集中)
  5. 素振り2回(内部の集中)
  6. 再アドレス(ボール位置の確認等含む)と打球のイメージ(狭い集中・内部の集中)
  7. スイング(狭い集中・内部の集中)
  8. 打球(軌道および落ちどころ)の確認(広い集中)

まとめ

  • ルーティンの意味→試合や練習前の一連の決まり事(運動や所作)
  • ルーティーンは、集中力を高めるためにスキルの一つ
  • ルーティーンの分類
    • 狭い集中(concentration)
    • 広い集中(fucas)
    • 内部の集中(internal)
    • 外部の集中(external)

ルーティーンの方法論にルールは無いはずなので、あまり難しく考えず、継続できることから始めるといいと思います。

高妻教授の著書はたくさんありますが、興味がある方は、まずは基礎の1冊を手に取り第一歩としましょう。

・JATI EXPRESS Vol51, 52 競技力向上のためのメンタルトレーニング@高妻容一
・基礎から学ぶ!メンタルトレーニング@高妻容一

・写真(フリー画像)

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