ウエイトトレーニング トレーニング理論

【プログラムデザイン】スプリットルーティン(分割法)のメリットと組み方

2020年10月19日

中上級者トレーニーには、スプリットルーティンが有効と前回の記事で触れました。

スプリットルーティンとは、日本語で「分割法」といい、トレーニング部位を限定することで、その部位の質と量を上げることができ、より効果を高めるプログラミングです。

今回は「スプリットルーティン」を掘り下げていきましょう。

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全身プログラムのデメリット・スプリットルーティンのメリット

週に1~2回程度のウエイトトレーニングを実施する場合は、基本的には全身プログラムになると思います(週1回ではほぼ必須)。

全身プログラムは、非常に有効ではありますが、中級者以上ではデメリットの方が先行してしまうかもしれません。

全身プログラムのデメリット

全身プログラムは、時間もかかるし(長すぎるトレーニングは筋肉分解が勝る可能性があります。後述)、ワークアウトの後半には疲労等でトレーニング効果が下がってしまいます。

全身プログラムの場合、スクワットは疲労の少ない前半に配列するのが基本ですが、私がもし全身プログラムをしたとしてもスクワットが終わった瞬間、その日のトレーニングは終わってしまいます(全身はできない。または完遂するためにはスクワットの強度を下げざるを得ないということ)。逆にスクワットを後半に持ってくると、筋疲労やエネルギーの枯渇により、スクワットで追い込めない可能性もあります。

さらに全身プログラムでは各部位せいぜい1~2種目となってしまい、十分に鍛えることができません。そのデメリットを解消するのがスプリットルーティンの最大のメリットといえるでしょう。

スプリットルーティンの目的・メリット

  • 1回あたりのトレーニング量や所要時間を抑える
  • 1回あたりのトレーニング強度や質を高める
  • 部位(胸・脚等)を集中的にトレーニングすることができる

1回あたりのトレーニング量や所要時間を抑えることができる

全身プログラムになると、最低「胸」「背中」「脚」、さらには「肩」や「腕」「体幹」まで行うと2時間くらいかかってしまうこともままあります。

長時間のトレーニングはテストステロンレベルの減少およびコルチゾル(筋肉分解を起こす)レベルの増加を引き起こします。山本義徳氏は1回のワークアウトでの所要時間は「75分以内、できれば60分以内」を奨励しています。

ウエイトトレーニングの主目的は「筋肥大」と「最大筋力向上」にあるので、初心者はともかく中上級者においては、その目的を達成出来ないかもしれません。

スプリットルーティンを用いることで、部位を限定することになり、時間を短縮することができ、その結果、オーバートレーニングを回避できる可能性が高くなります。

その1回のワークアウトのトレーニング強度および質を高めることができる

全身プログラムは、トレーニング量が多く時間もかかるので、後半は疲労やダレでトレーニングの質が落ち、効果も薄れる可能性が高いです。

分割することで、トレーニングの質を維持・向上できることは大きなメリットとなります。

部位別に集中的に強化できる

全身プログラムだと、各部位多くても2種目どまりですが、分割すれば部位を集中的(2種目以上)にトレーニングできるので、効果が高まります。

アスリートは2分割・3分割が主流、ボディメイク系はそれ以上?

スプリットルーティンを用いる人は、週3回以上の頻度で行う中級以上のトレーニーとなるでしょう。

ウエイトリフティング、パワーリフティング、ボディビル、フィジーク等ウエイトトレーニング自体がメインになる場合は、5分割以上もあると思いますが、その他のアスリート(球技、格闘技、陸上、水泳等)は2分割から多くとも4分割が妥当でしょう(投擲は別格でバーベル競技レベルのトレーニングをするようです)。

2分割での組み方

 

最も簡単なのが、週3または4回で行う2分割でしょうか。基本的には以下の2通りがあると思います。

  • 上半身と下半身
  • push系とpull系(前面と後面)

上半身(胸・上背・肩・腕・腹部)と下半身(脚・臀・下腿・下背部)に分割するのが最も一般的でしょう。体幹(腹筋群と背筋群)はどちらの日(両日も可)にも入れていいと思います。個人的には腹筋群は毎回、背筋群は下半身の日のみがお薦めです。

プッシュ系(胸・肩・上腕伸筋・大腿四頭筋・臀部)とプル系(上背・上腕屈筋・ハムストリング)というのも有りかもしれません。

    
    

週3回だと月・水・金(または火・木・土)にトレーニングとすると2週間で各部位を3回トレーニングするのが最も基本的な考え方だと思います。ただし、アスリート(特に全力走が多い競技)は下半身の使用頻度が多いので、毎週上半身2回・下半身1回という組み方も有りだと思います。

週4回の2分割であれば

   

上記の表がスタンダードとなります。連続してトレーニングをすることになりますが、部位が全く違うので前日の筋肉は休ませているということになります。もちろん、月と木(火と金)でマイナーチェンジは合っても問題ありません(バーベルベンチとダンベルベンチ等)。

3分割での組み方

週3回を3分割にすると、より細かく

胸・肩 脚・臀 上背・腕  

上級者であれば、各部位週1回でもいいかもしれませんが、週2回行うのであれば、胸・肩メイン(ハード), 背中サブ(ミドル~イージー)等で対処してもいいかもしれません。

背中脚(大腿) 臀部・ハム  

週4回の場合、脚を前面(大腿四頭筋)と後面(ハムストリング)で分けることもできるし、上の表のルーティンで筋肥大期なら金曜日に背中も有りだと思います。

4分割以上

中々実施することは難しいですが、ボディビルダーやフィジークの選手等は4分割以上で組むこともあり、中には毎日7分割で行う人もいるようです(部位を変えても心身のストレスを考えると個人的にはあまりお勧めはしませんが、、、)。例として下記の週1回1か所を徹底的にトレーニングする。

胸部大腿部肩部体幹部背中 臀・ハム

一見、部位を変えているようで簡単な配列のように思えますが、実際にはNGの配列が多くあります。胸・肩部のプレス種目の前日に三頭筋を行うとか、背中のプル・ロウ系の前に二頭筋を行うとか。スクワットの前日にバックエクステンションやデッドリフト類の下背に負担のかかるエクササイズを行うとか、、、、

腕は単独でみると中小筋群になり頻度は高めでもいいことになりますが、胸・背中・肩等大筋群のトレーニングにおいても使用するのでオーバートレーニングになりやすい筋肉でもあります。しかも大筋群ほど疲労度の自覚で出にくい部位なのでツイツイやりすぎてしまうこともあるので注意が必要です。

このあたりの配列は、私よりもボディメイク専門の方に譲った方が良さそうですm(_ _)m

私のトレーニングは4分割

私のトレーニングはボディメイクが最大の目的では無いですが、大筋群(ビッグ3+背中・肩)にクイックリフトを加えた4分割です(目的は、筋肥大・最大筋力・一般的パワー・コーディネーション能力の獲得)。現在は

  • 月曜日→胸・肩部(+クイックリフトeasy)
  • 水曜日→クイックリフト(クリーンメイン)
  • 木曜日→上背部+クイックリフトmiddle
  • 土曜日→脚・臀部(スクワットメイン)

日曜日はラン(30分, リカバリー), 金曜日にゴルフ1Rと水泳1時間の有酸素、火曜日が完全休養日。

まとめ

スプリットルーティンの目的・メリットは(1回のワークアウトの)

  • 時間短縮
  • 総トレーニング量の減少
  • トレーニングの質(負荷と回数)の向上

全体的には

  • 部位別強化
  • オーバートレーニング防止

また基本的な組方は

  • 2分割(上半身・下半身)
  • 3分割(胸・肩・背中・脚・臀部等大筋群)

・ストレングストレーニング&コンディショニング第4版@NSCA Japan
・ストレングス&コンディショニングⅠ(理論編)@NSCA Japan
・自分でつくる筋力トレーニングプログラム@有賀誠司
・ウエイトトレーニング理論編@山本義徳

・イラストはイラストACのロスカット魔人さん

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