プログラムデザインをする際に、エクササイズの選択後に行うのが、エクササイズの配列です。この配列に関しては、唯一無二の方法はありませんが、初期段階においては配列の原則に沿って配列するのが妥当だと思います。今回は、配列の原則に関してのまとめです。
エクササイズの配列の大原則
配列において最重要なのは
コアエクササイズ→補助エクササイズ
→→
むしろ、これさえ押さえておけば配列において大きな間違いは起こりません。
コアエクササイズに関しては、以下のエクササイズと定義しました。
ビッグ3系・クイックリフト・上背部のプル系およびロウ系・ショルダープレス(上背部はNSCA等主要団体では補助エクササイズ)。
また、準コアエクササイズとして、レッグプレス・ダンベルフライ・ランジ系としました。
これらのエクササイズを優先的に行うのがスタンダードな考え方になります。
コアエクササイズ→補助エクササイズの詳細
コアエクササイズ→補助エクササイズを詳しくすると、
- 大筋群(脚・臀・胸・上背・肩)→中筋群(上腕・下腿)→小筋群(前腕・頚・腹・下背)
- 多関節エクササイズ→単関節エクササイズ
筋群はわかりやすいと思います。下背部(背筋群)はエクササイズの頻度(後日まとめます)の観点(疲労回復等)からすると大筋群とも捉えられますが、腹筋群と共に姿勢保持筋群として、いちワークアウトとしては最後に配列するのが原則的です。腹筋・背筋を先に行って疲労困憊の状態では、デッドリフトやスクワットで適切な姿勢を保持することが難しくなり、フォームを崩し腰痛につながる可能性があります。ただし、Activationエクササイズ(All outはしない)として先に行うことはあります。
ターゲットとなる筋肉が同じならば、多関節エクササイズを優先します。例として、四頭筋狙いならスクワットを優先して、レッグエクステンションなどは補助的に行う等です。
多関節エクササイズは、多くに筋群を使用することができ、さらにコーディネーション能力を高める効果もあると思われるので、アスリートには必須となります。
コアエクササイズ内の配列の原則
→
大筋群であり、かつ多関節エクササイズであるコアエクササイズ内でも優先順序があります。その原則は、
パワーエクササイズ(クイックリフト)→その他の筋力重視のコアエクササイズ(スクワット等)
です。簡単にいうとクイックリフトが最優先種目となります。
有賀誠司教授(東海大学)は著書の中で「神経系の機能改善や高度のテクニックが要求されるため、疲労した状態では効果が上げにくく、プログラムの前半に実施することが理想的です」と書かれています。
また、NSCAでは、「高いスキルレベルと集中力を要し、また疲労の影響を最も強く受ける。疲労はテクニックの悪化につながりがちで、傷害のリスクも高まる」とあります。
これらからもクイックリフトは最優先に行うべきでしょう(特にアスリートにとっては)。同じようにプライオメトリクスを導入するならばプログラムの前半に配列することになります。
その他の原則
その他の原則として、よく挙げられるのは
- 上半身エクササイズ⇔下半身エクササイズ(交互に行う)
- Press系エクササイズ(前面)⇔Pull系エクササイズ(後面)、交互に行う
があります。上半身(または前面)エクササイズを行っているときに下半身(または後面)を休め、下半身エクササイズ時は上半身を休めるという配列です。ただ、この配列も上半身または下半身内の配列は上記の原則(コア→補助)を守って行うのが基本です。
原則の例外
その他には、原則を無視して
- 弱点種目から行う
- 好きな種目から始める
- 好きな種目のみ行う
もありといえばありですね。
結果を求めるアスリートであれば、「好きな種目だけ」というのは疑問が残りますが、一般的なトレーニー、特に低体力者の場合は、身体負担の少ない「単関節エクササイズのみ・好きなものだけ」の配列は有りです。体力がついてきたらコアエクササイズに挑戦するでも良いと思います。
結果が出てくれば、苦手な種目、きつい種目にも挑戦するモチベーションができてくるかもしれません。低体力者にとっては、運動を継続することが最も重要なので、いきなりスクワット等きつい種目を行う必要はありません。
例外的な配列や特殊な配列は、別の機会にまとめたいと思います。
まとめ(配列の原則)
- コアエクササイズ→補助エクササイズ
- 大筋群→中小筋群
- 多関節エクササイズ→単関節エクササイズ
- パワー系→筋力系
- 姿勢保持筋群(腹筋・背筋群)は最後
- 弱点種目から始める
- 好きなものから始める
異論・反論は認めます(^^)。是非、ご意見をお聞かせください。
個人的には、トレーニング効果を無理なく高めたい場合、または迷いがある場合等は、基本・原則重視の配列をお勧めします。
なお、プログラムデザインにおいて、エクササイズの選択→配列と書きましたが、経験を積めば同時にできるようになります(^^♪
・ストレングストレーニング&コンディショニング第4版@NSCA Japan
・ストレングス&コンディショニングⅠ(理論編)@NSCA Japan
・自分でつくる筋力トレーニングプログラム@有賀誠司