解剖生理学・運動学

【運動生理学の基礎】筋肉の役割は4つ【筋力・姿勢・熱・身体保護】

2020年5月9日

機能解剖学の基礎の最終回「筋収縮様式」の話の前に、そもそも筋肉は何ができるのかを確認しましょう。

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筋肉の4つの役割

前回のブログでも触れたが、筋肉が自発的にできることは、「収縮すること」のみ(伸張はできない、あくまでも受動的)。自発的にできるということは、自分の意志で動かすということで、これを「随意」と言う。随意器官は筋肉(骨格筋)だけである(心臓やその他の内臓も筋肉であるが不随意)。随意収縮ができる筋肉の役割は、以下の4つ

  1. 力を発揮して身体を動かす役割
  2. 重力に対抗して姿勢を維持する役割
  3. 熱を産生する役割
  4. 力学的ストレスから身体を保護する役割

1. 力(筋力)を発揮して身体(関節)を動かす役割

筋肉は周知のとおりタンパク質から出来ている。栄養学では、タンパク質をエンジンと例えることがある(ちなみに、糖質はガソリン)。エンジンは車を動かす動力源なので、人間においての動力源は筋肉である。

また、筋肉は腱を介して骨に付着しているので、収縮することで力を生じ、骨を動かすことができ、関節運動が発生する。関節が動くということは、身体が動くということになる。

2. 重力に対抗して姿勢を維持する役割

上記1の補足的なことになるが、筋収縮するということは、筋力を発揮するということでもある。そもそも人間は重力に対抗して動いているので、運動をしていなくても、常に抗重力筋群(姿勢を維持する筋群、脊柱起立筋群、腹筋群、大腿四頭筋等)は働いている。抗重力筋が弱化すると、背中が曲がってきたり、さらに進むと歩けなくなったり、最悪、寝たきりになってしまう。逆に寝たきりだと、筋力は弱化して日常生活に支障をきたすことになる。

3. 熱を産生する役割

筋収縮することで、熱を産生することができる(筋肉のみと言うわけではないが、主役であることには間違いない)。熱の産生は、体温を維持したり、エネルギー(糖や脂肪)を消費するということにもなる。逆にエネルギーを消費しないと、エネルギーがあまり太る原因にもなる。

筋量が多い人は、熱を産生する能力に長けているので、身体が温まりやすく、ウォーミングアップは少なめでも大丈夫で、寒さにも強い傾向にある(足の冷えとかほぼ皆無)。反面、体温が上がりやすいので汗もかきやすく、暑さには弱い、、、、、傾向にあるか??

4. 力学的ストレスから身体を保護する役割

簡単に言うと、筋肉の鎧をまとい、頑丈であるということ。格闘技や漫画をイメージするとわかりやすいかもしれない。打撃など物理的なストレスがあっても筋量が多い人にはダメージが少ない、言い換えると耐えられるということ。漫画だと、そのキャラクターの強さを引き出すときにあえて攻撃を受けながらもダメージが無い描写がまさにそれ(急所に入った場合は、無理だとは思うが)。筋量が多い人または筋力がある人には、緩衝作用がより働き、ダメージは軽減できるわけである。

その他

5つ目の役割として、内分泌系としての役割があるが、初期段階では消化不良になるので、折を見て!

まとめ

筋肉の4つの役割は、

  1. 筋力を発揮して身体を動かすエンジンとしての役割
  2. 抗重力筋として、姿勢を維持する役割
  3. 熱を産生し、体温維持やエネルギーを消費する役割
  4. 緩衝作用により力学的ストレスから身体を守る役割

筋力を向上させる最良の方法はウエイトトレーニング。ウエイトトレーニングはスポーツ選手だけのもではなく、むしろ一般の方々の健康を維持・向上するために不可欠なものである。ただし、方法を間違えると効果が出ないばかりかケガをする可能性が高まるので、まずは専門家に相談しましょう。

引用・参考:筋肉の科学、筋肉まるわかり事典Part2@石井直方

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