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【クイックリフト】クリーンのキャッチの是非(握るべきか、握らないべきか)

2018年9月8日

クリーンのキャッチやフロントスクワットにおいて、バーを指先で支えるパターンをしばしば見かけます。ウエイトリフターでこのパターンの人はほとんどいないですが、トレーナーの方がよくやっているイメージがあります。このことに関する記載やガイドラインは中々見当たらず、正解はわからないですが、私は否定派です。

クリーンキャッチ 指
指先パターン。手首の痛みにより顔が険しい??

否定派に至る背景と理由

背景

元々は、私も手関節の背屈の可動域が狭いので、肘を挙げる(肩関節屈曲)させるためにもキャッチ時には指先に移行していました(当然、スタートからセカンドプルまではしっかり握っています)。

私のクイックリフトの師匠といえる方が、元ウエイトリフターであり、傷害に繋がる(肩、肘、手首)から握った方が良いと言われてから、握るようにしていました。

初期は苦労しましたが、それなりに可動域は出てくるもので、現在フォーム上の問題は無いと思います。

さらに、指先でキャッチしているときは、重量が上がってくると、それなりに痛みが出ていましたが、握るようにしてからは痛み、傷害は皆無です。

クリーンキャッチ 握る
握ったパターン。若干可動域は狭くなるが問題無いレベルで、手関節痛は皆無。

理由 手関節(手首)の過背屈

私が否定派である理由は、なんといっても、過背屈で手首を痛める可能性が高いことです。

背屈の可動域は通常70°程度で、指先でキャッチすることで手関節の背屈の可動域は若干出やすい模様(80~90°弱)です。それに伴い、肩の屈曲もやりやすくなるかもしれませんが、重量が増えれば増えるほど、(仕事量は増加し)手首に痛みが出る可能性が高まります。

クリーンの場合は、手関節の背屈の可動域よりも肩屈曲の可動域が重要と捉えているので、無理やり、手関節背屈で肩の柔軟性を向上させるよりも肩関節自体の柔軟性を向上させることがより重要と考えています。

そして、理由というほどではないですが、動作に無駄が多いように思えます。

スタートからセカンドプルまでは普通に握っているはずで、ここで指先に引っ掛けている人は皆無と思われます。

キャッチの瞬間、指先に移行し、スタートポジションに戻すときに、また握り直すという動作が加わります。この動作は、クリーンからジャークやプッシュプレスに移行する際も然りです。

それであれば、握ったままで良いのではないかと思うし、その方が手首の負担は少ないはずです。

さらに、補足として、クリーンのキャッチを完成させるには少々時間がかかるので、その際に腰痛を発する可能性も無きにしも非ずですが、これはまた別の問題。

腰痛になりやすいエクササイズに関する記事はこちらを参照してください。

代替エクササイズは?

指先でしか、キャッチができないような可動域であるなら、クリーンにこだわる必要はありません。ウエイトリフティングという競技であれば、クリーンのキャッチは不可欠ですが、それ以外のアスリート、トレーニーであれば、必ずしもそうではありません。

より安全(傷害リスクを減らすこと)にトレーニングすることは重要です。

スナッチ

スナッチは、クリーンよりも難易度が高い(特に高重量時)ですが、手首はニュートラルポジションになるので(前腕上に位置する)クリーンよりは痛める可能性は低い(肩の問題はまた別)と考えられます。

プルおよびハイプル

さらにシンプルにするのであれば、クリーンプルやクリーンハイプル(セカンドプル)でいいと思います。

クリーンやスナッチは、トリプル(フル)エクステンション*からのトリプルフレクションという、加速局面から減速局面の切り返しのトレーニングとして重要な意味も持ちますが(神経系の改善も期待できる)、

クイックリフト最大の目的は、トリプル(フル)エクステンション(加速局面および股関節・膝関節伸展)と捉えているので、(ハイ)プルができるようになれば十分効果は上げられます(プルでも切り返しはできるし、重量もより高重量にできるので、姿勢筋群の負荷も上がる)。

ウエイトトレーニングに時間をかけられないアスリートには超お薦めです。

*解剖学的には正しい言葉ではありません。便宜上、トレーニング用語として押さえておくといいと思います。

トリプルエクステンションの意味に関する記事はこちらを参照してください。

痛みに関するリスク管理

そもそもウエイトトレーニングは、筋や関節を鍛えることができますが、痛みを我慢するものではないはずです。

痛みがあるということは、通常エラーがあるか、構造上無理をしているということになります。

指先云々言うよりも、キャッチで肩の上にバーベルを降ろせる技術がより重要かもしれません。そうすることによりモーメントアームも最小になり障害リスクはかなり減少するはずです。それでも指先より握った方がさらにリスクは軽減すると思います。

指導に関する提案と実際

少なくとも私自身は指先ではキャッチしないし、指導もしません。特に、現在見ている水泳とボクシングの選手には絶対に指導しません。

スイマーは手首の可動域は持っていますが、言い換えると弛緩性が高いので、下手に指先でキャッチすると通常の人よりも痛めやすい可能性が高いです。

その痛みから泳ぎの感覚が狂う可能性も高く、スイム練習に影響が出てしまうかもしれません。そのため、競技特性も踏まえ、スナッチまたはスナッチプルで対応することが多いです(スナッチの肩リスクは別問題)。

ボクシングの場合は、手首は柔軟性(Flexibility)よりも安定性(Stability)の方が重要なので、クリーンプルを多用します(トレーニング時間も限られているので)。当然、手首を痛めるということは競技特性上、致命的です。

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