消化器2回目、消化管ではないですが、内臓の要「肝臓」と胆汁の格納庫「胆嚢」、そしてその受け口の「十二指腸」のお話。
肝臓の役割
肝臓の役割は、
- 栄養素の代謝
- アルコールや有害物質の解毒
- 栄養素(グリコーゲン・脂肪・ビタミン・鉄)の貯蔵
- 胆汁の生成
- 免疫機能等
多岐に渡ります(代謝・解毒・貯蔵と覚えましょう)。球技に例えるのであれば、エース、トップ下、QB、スタンドオフ、ポイントガード並みの働きをする。いや、地味ながらも要のキャッチャーやボランチが適当でしょうか??
肝臓の最も重要な役割は、栄養素の代謝でしょう。よく化学処理工場に例えられます。分解された三大栄養素(ブドウ糖・脂肪酸・アミノ酸)を必要に応じて身体に利用できる形に変換します(エネルギー、体組成等)。
胆汁と胆嚢(のう)
肝臓の重要な役割に胆汁の生成があります。胆汁はアルカリ性の液体で脂質の消化酵素(リパーゼ)を活性化させ、脂肪を水に溶けやすくすることで、脂質の消化吸収を助ける作用があります。この説明からもわかるように胆汁自体は消化酵素ではありません。
胆嚢は、胆汁の一時格納庫の役割を持つ袋状の器官です(生成では無く、一時貯蔵)。十二指腸に脂質が入ってくると、胆嚢内に格納されている胆汁を十二指腸に送り込みます。
十二指腸~膵液と胆汁の受け口
十二指腸は、胃の出口「幽門」とつながり、小腸の始まりでもある器官です。しかし、その後に続く小腸(回腸と空腸)とは異なり、吸収の機能は持っていません。
十二指腸は、脂質の吸収を助ける胆汁と三大栄養素の消化酵素である膵液の受け口で、吸収の前準備をする重要な役割を持っています。十二指腸が分泌するのは自身を守る粘膜です。
指12本(横指)の長さから十二指腸といいます。
肝臓~胆嚢~十二指腸の経路
生成された胆汁は、①肝管を通り②総肝管に集まります。③胆嚢管を通り胆嚢に送り込まれ、十二指腸に脂質が入ると、④胆管を通り十二指腸に入ります。なお、胆管と十二指腸との接点をファーター(大十二指腸)乳頭といいます。ファーター乳頭は膵管との接点でもあります(青ドット)。
十二指腸に消化された食物(糜粥びじゅく)が入ると、十二指腸はコレシストキニンというホルモンを分泌し、ファーター乳頭のオッディ括約筋を弛緩し、膵液および胆汁を十二指腸内に入れます。
胆嚢に関係する管と膵管
- 肝管(肝臓内:青)
- 総肝管(肝管が集まる管:赤)
- 胆嚢管(総肝管と胆嚢を繋ぐ管:黄)
- 胆管(胆嚢と十二指腸を繋ぐ管:黄緑)
- 主膵管(赤)
まとめ
- 肝臓の機能は「代謝・解毒・貯蔵」、そして胆汁生成
- 胆嚢は「胆汁の一時格納庫」
- 十二指腸は胆汁の受け取り場所で、吸収を助ける器官
出典・引用
・生理学の基本@中島雅美(監修)
・生理学の基本がわかる事典@石川隆(監修)
・解剖生理学@志村・岡・山田らイラストはイラストACのあきじあまみぃさん