栄養と栄養素、同じように思えますが、実は違います。栄養学のテキストでも、一般書のフィットネス本ではその意味を説明しているものが多くはありません。まずは、栄養と栄養素の違いを把握し、栄養学の分類をまとめたいと思います。
栄養と栄養素
栄養(nutrition)というと、一般的には「炭水化物」「脂肪」「タンパク質」等のことと捉えがちですが、これらは「栄養」では無く「栄養素」です。
栄養素(nutrient)は、「外から摂取する食物・食品」と理解する必要があります。
一方、栄養は、「口から摂取した食物が、体内で代謝(同化+異化)し、必要に応じて形を変え(エネルギー源、筋肉、骨等)、不要物(尿・便)は排泄する一連の営み」と定義付けできると思います。
- 栄養素=食物
- 栄養=代謝または営み
となります。
栄養学の種類
栄養学(nutrition)は、以下のようなものに分類されると思います(実際にはもっと多いと思います)。
- 人間栄養学
- 食品栄養学
- 基礎栄養学
- スポーツ栄養学
- 応用栄養学
- 臨床栄養学
- 公衆栄養学
- 分子栄養学
人間栄養学
栄養(代謝)を研究する学問で、生理学の一分野(生化学等)と考えていいと思います。
食品栄養学
栄養素や食品を研究する学問です。この分野で管理栄養士の方々に勝てる人は中々いないでしょう。民間資格の場合、この部分の一部を学ぶと思われます。
基礎栄養学
栄養と栄養素の基礎を学ぶ学問をして捉えておくといいと思います。我々、トレーナーはまずをこの基礎分野をしっかり学ぶ必要があると思います。
スポーツ栄養学
一言で説明すると「アスリートのための栄養学」でしょうか。
寺田新氏は著書で「スポーツ選手のパフォーマンスを向上させるために、どのような食事・栄養素を摂取したらよいのかということを解明する分野」と説明しています。
当然、アスリートは、一般の人よりも摂取量が多いので、一般の方が同じ食事をすると確実に太ります。また引退した選手が食事を変えないと体脂肪が増えます。
応用栄養学
ライフステージ(妊娠期・授乳期・乳幼児期・学童期・成人期・高齢期等)ごとまたは年代別の栄養状態に対応した栄養管理(マネジメント)の考え方や方法を研究する学問です。発育・発達や加齢・老化による食事の変化と捉えてもいいかもしれません。
臨床栄養学
疾病の発症や治療、予防に栄養や食事がどのように関与しているかを学び、その知識を疾病の治療や予防に生かした実践方法を研究する学問です(臨床栄養学@南江堂)。
公衆栄養学
少し古い本ですが、「地域や職域等の健康・栄養問題とそれを取り巻く自然、社会、経済、文化的要因に関する情報を収集・分析し、それらを総合的に評価・判定する能力を養う。また、保健・医療・福祉・介護システムの中で、栄養上のハイリスク集団の特定とともにあらゆる健康・栄養状態の者に対し適切な栄養関連サービスを提供するプログラムの作成・実施・評価の総合的なマネジメントに必要な理論と方法を修得する。さらに各種サービスやプログラムの調整、人的資源等社会的資源の活用、栄養情報の管理、コミュメーションの管理等の仕組みについて理解する」とあります(公衆栄養学@同文書院)。
トレーナーが直接関与することは少ないかもしれません。
分子栄養学
分子栄養学には2つの考え方があるようです。
広島大学分子栄養学研究室のHPでは「栄養素や食品成分の生理作用について、個体レベル、分子レベル、並びに遺伝子レベルで理解することを重点おいて教育・研究を行っています」とあります。先にあげた人間栄養学の一分野となるでしょうか。
もう一つは、分子整合栄養医学またはオーソモレキュラー療法とも言われ、「栄養素を十分に摂取することで、自然治癒力や免疫力を高めることで、病気を治療するだけでなく、未病を防いだり健康増進へとつながります」とあります。栄養学というよりも医学と捉えることがあるようですが、実証はされていないようです。
私はある分子栄養学(分子整合栄養医学)のセミナーを受講したことがあります。土台は基礎栄養学ですが、摂取量や血液成分の読み方などは独自の考え方があるように感じました。
5大栄養素+α
5大栄養素は
- 糖質
- 脂質
- タンパク質
- ビタミン
- ミネラル
5大栄養素の中でも、特にエネルギー源となる糖質・脂質・タンパク質は3大栄養素と呼ばれることもあります。
その他、炭水化物の一種である食物繊維や抗酸化作用の高いフィトケミカルを第6、第7の栄養素とする場合もあります。厳密に言うと栄養素では無いですが、生命維持に最も重要な水も栄養素として捉えることもあります。
以降はこれら栄養素を中心にまとめたいと思います。
栄養素の3つの役割
栄養素の役割は、大きく分けて3つあります。
- エネルギー源となる
- 身体の構成部分になる
- 身体(生理作用)の調整機能を持つ
エネルギー源となる
上記にも触れましたが、エネルギー源になることが第1の役割で、特に重要なこの役割を持つのが「糖質」「脂質」「タンパク質」の3大栄養素です。ただし、3大栄養素は直接筋肉を動かすことはできず、筋肉の直接のエネルギー源であるATPを合成することができる「エネルギー基質」であることは覚えておく必要があります。
車で例えると、ガソリンですね。
参考:エネルギー代謝について
身体の構成部分になる
第2の役割は、身体の構成部分になることです。タンパク質は筋肉や臓器の、脂質は体脂肪や細胞膜の、ミネラルは骨や歯の構成物質です。
車ではエンジンやボディ(シャーシ)です。
身体の調整機能を持つ
エネルギー源や身体の構成部分にはなりませんが、それらの機能させるためにはビタミンやミネラル(ミネラルは構成成分になります)が必要となります。
車だとエンジンオイルやスパークプラグでしょうか。
栄養学用語(和名と英名)
栄養・栄養学 | nutrition |
栄養素 | nutrient |
炭水化物 | carbohydrate |
糖質 | saccalyde |
食物繊維 | dietary fiber |
脂質 | lipid |
中性脂肪 | triglyceride |
タンパク質 | protein |
ビタミン | vitamin |
ミネラル | mineral |
・基礎栄養学@田地陽一(羊土社)
・栄養学の基本がわかる図解事典@中村丁次(監修)
・スポーツ栄養学@寺田新
・応用栄養学@吉田・布施・篠田(学文社)
・臨床栄養学@中村丁次・小松篤史(南江堂)
・公衆栄養学@二見大介(同文社)・イラストAC@梅みんつさん・くりまんさん