栄養素の王様である「タンパク質」の最小構成単位である「アミノ酸」の基礎知識を整理しましょう。
タンパク質の基礎に関する記事はこちらを参照してください。
アミノ酸とは?
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アミノ酸はタンパク質の最小単位です。アミノ酸の数により以下のように分類されます。
- アミノ酸(1個)
 - ペプチド(2~49個)
 - タンパク質(50個~)
 
アミノ酸が同化すると、ペプチド、さらにはタンパク質となり(アミノ酸→ペプチド→タンパク質)、タンパク質が異化するとペプチドさらにはアミノ酸となります(タンパク質→ペプチド→アミノ酸)。
アミノ酸の構造
アミノ酸は、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)のほかに窒素(N)が必ず含まれます。種類によっては、硫黄(S)も含まれます。
構造は、炭素(C)に、水素・アミノ基(NH2-)・カルボキシル基(-COOH)・ 側鎖(-R)が結合します。側鎖によりアミノ酸が決まります(側鎖が水素(H-)ならグリシン、メチル基(CH3-)ならアラニン等)。
出典:wikipedia
アミノ酸の種類
アミノ酸は500種類以上ありますが、人体を構成するアミノ酸は20種類で、それぞれ以下の
- 必須アミノ酸(EAA)
 - 非必須アミノ酸(NEAA)
 
に細分類されます。
必須アミノ酸(EAA) 9種類
必須アミノ酸は、英語で「Essential Amino Acid」と言い、「EAA」と略されます(これは有名ですね)。以下の9種類がEAAです。
- バリン(BCAAのひとつ)
 - ロイシン(BCAAのひとつ)
 - イソロイシン(BCAAのひとつ)
 - トリプトファン
 - メチオニン
 - リジン
 - スレオニン(トレオニン)
 - フェニルアラニン
 - ヒスチジン*
 
EAAは、体内で合成できないアミノ酸で、食事から摂取しないとなりません。
*ヒスチジンは、幼児期に合成できず、成人は合成できるので、幼児期のみ必須アミン酸とされてきましたが、成人でも不足することが確認されて1985年にEAAとして認定されたようです。
非必須アミノ酸(NEAA)
非必須アミノ酸は、英語で「Non-Essential Amino Acid」と言い、「NEAA」と略されます。以下の11種類がNEAAです。
- グルタミン**
 - グルタミン酸
 - グリシン
 - アラニン
 - セリン
 - システイン
 - チロシン
 - アスパラギン
 - アスパラギン酸
 - ブロリン
 - アルギニン**
 
**このうち、グルタミンやアルギニンは筋肉合成においては不十分になりやすく、条件付き(または準)必須アミノ酸とすることがあります(詳細は別記事で書く予定です)。
構造式による分類
筋肉合成やボディメイクの観点からは、上記のEAAとNEAAで十分だと思いますが、構造式からの分類も栄養学的には覚えておいて損はありません(すぐに暗記する必要はありませんが)。
- 脂肪族アミノ酸
- グリシン
 - アラニン
 - バリン
 - ロイシン
 - イソロイシン
 
 - ヒドロキシアミノ酸
- セリン
 - スレオニン
 
 - 含硫アミノ酸
- システイン
 - メチオニン
 
 - 芳香族アミノ酸
- フェニルアラニン
 - チロシン
 - トリプトファン
 
 - 塩基性アミノ酸
- リジン
 - アルギニン
 - ヒスチジン
 
 - 酸性アミノ酸
- アスパラギン
 - アスパラギン酸
 - グルタミン酸
 - グルタミン
 
 - イミノ酸
- プロリン
 
 
アミノ酸スコア
筋肉合成において、重要なことは、「上記9種類のEAAが必要」ということです。
アミノ酸スコアとは、筋肉合成におけるEAAの必要量を表し、最高を100としています。
少し前までは、トリプトファンはリラックス効果が高いことやトリプトファン事件(ググってください)のため、あえて抜いている製品も多かったようですが、トリプトファンが0(ゼロ)の場合、筋肉合成は行われず、「アミノ酸スコアは0」になります。
トリプトファンに関する記事はこちらをご覧ください
同様に、精白米はリジンの量が少なく、筋肉合成に必要な量の60~70%程度であるため、アミノ酸スコアは70となります(精白米は筋肉合成においては最適では無いということです。念を押しますが、あくまでも筋肉合成においてです。エネルギーとしては最重要です)。
このように、筋肉合成においては、その食品のアミノ酸の最低量のものが反映されてしまいます。上記のトリプトファンやリジンのことを「制限アミノ酸」と言います。
ホエイプロテインや肉、魚は、基本的には「アミノ酸スコア100」です。
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画像. アミノ酸スコアのイメージ(出典:基礎栄養学第4版P119)
表. 筋肉合成に必要なアミノ酸の最適量(成人)
| アミノ酸 | 量(mg) | 
| バリン | 39 | 
| イソロイシン | 30 | 
| ロイシン | 59 | 
| リジン | 45 | 
| メチオニン | 22 | 
| フェニルアラニン | 38 | 
| スレオニン | 23 | 
| トリプトファン | 6 | 
| ヒスチジン | 15 | 
出典:基礎栄養学第4版(P119)
L-アミノ酸とD-アミノ酸
アミノ酸には、L体という構造を持つものとD体という構造を持つものがあります。
この2つは構造異性体といい、組成式は同じですが、構造(連結の仕方)は鏡に映したように、逆になっています。
体内にあるアミノ酸はL体であり、サプリメント等はすべてL体です。
例えば、グルタミンとL-グルタミンは同じです(同様に、バリンとL-バリン等)。
筋肉合成やボディメイクにおいては、D体は無いと考えなくてもいいと思います(山本義徳氏の書籍には少量あると記載は有りますが)。
まとめ
- アミノ酸の定義と構造
 - 必須アミノ酸(EAA)と非必須アミノ酸(NEAA)
 - アミノ酸スコア
 - L体とD体(構造異性体)
 
次回以降、BCAA、グルタミン等主要アミノ酸についてまとめたいと思います。
引用・参考
・基礎栄養学第4版@田地陽一
・サプリメントまるわかり大事典@桑原弘樹
・アスリートのための最新栄養学(上)@山本義徳
・スポーツ栄養学@鈴木志保子イラストはイラストACのよねぼー,milkteaさん