栄養学は、基礎科学セクションの一分野で全体の21%の占める重要パートです。エクササイズやサイエンスに強い人でも、栄養学は苦手な人は多いようです。栄養学がネックとなり不合格になったという話は、度々聞いています。
それでもある程度はパターン化しているので、取りこぼさないよう押さえておかなければならない章です。
出題範囲と傾向
対象は9~11章ですが、今回は9章を中心に出題頻度の高いところを説明します。
受験テキスト付属のガイドラインによると、出題範囲は「基礎的な栄養調査」という項目で
- 健康とパフォーマンスに影響を及ぼす栄養学的要因の基礎知識の適用
- 最大限のパフォーマンスを引き出すための食品選択とトレーニング方法の基本方策の適用
- 摂食障害や食習慣の変化に伴う徴候、症状および行動についての認識
- パフォーマンスを向上させる一般的な物質と方法についての効果、リスクおよび代替手段の基礎知識の適用
とあります。NSCA-CPTと全く同じ説明で、問題傾向も同じと言っていいでしょう。CPTよりでやすいのは、上記2にあたる「カーボローディング」や4に当たる「エルゴジェニックエイド(クレアチン等)」あたりでしょう(別記事予定)。
栄養素の役割・機能についてはほぼ出ないと考えられます。ビタミン・ミネラルの摂取量に関してはまず出ないと思っていいでしょう。
頻出問題としては
- 計算問題
- 水分摂取
- 摂食障害
- エルゴジェニックエイド
あたりでしょうか。
計算問題(摂取カロリーと消費カロリー)
計算問題が中心となり、まずは覚えておきたい数値として、三大栄養素(炭水化物C, 脂質F, タンパク質P)に関するもの。以下の表は必ず覚えましょう。
表. 三大栄養素で覚えるべき数値
炭水化物 | 脂質 | タンパク質 | ||
エネルギー | 4kcal/g | 9kcal/g | 4kcal/g | |
摂取量 | 一般 | 5~6g/kg(記載なしだが、CPT本より) | 0.8~1.0g/kg | |
持久系アスリート | 8~10g/kg | 1.0~1.6g/kg | ||
筋力系アスリート | 5~6g/kg | 1.4~1.7g/kg | ||
摂取比率 | 50~60% | 20~30%(*飽和脂肪酸は10%未満) | 15~20% |
出典:NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニング第4版
摂取比率に関しては、明確な記載は無いので、一般の栄養学テキストから推測。
摂取カロリーは、三大栄養素の総和です。簡単な計算なので間違わないように(炭水化物の摂取量 x 4, 脂質の摂取量 x 9, タンパク質の摂取量 x 4)しましょう。
消費カロリーは、
基礎代謝(または安静時代謝)+活動代謝+食事誘導性熱産生(DIT)で求められます。
カロリー計算には複雑な式がありますが(Cunninghm式やHarris-Benedict式等)、これで計算することは無く(記載もありません)、問題に数値が載っていることが多いです。
- 安静時(基礎)代謝:60~75%
- 活動代謝:20~30%(アスリートはさらに大きく50%程度可能性もあり)
- 食事誘発性熱産生:10~15%
ただし、DITは総消費カロリーの10~15%とありますが、計算に含まれないこともあるので、選択肢から判断してください。
**NSCAにおいては、安静時代謝は基礎代謝(安静時代謝≒基礎代謝)と捉えて問題ありません(厳密には、安静時代謝は、基礎代謝の10~20%増し)。
参考:基礎代謝と安静時代謝
摂取比率(PFC比)
摂取比率(PFC比)は、各栄養素の摂取カロリーを総摂取カロリーで除すれば求められます(例 Cの摂取カロリー÷総摂取カロリー x 100)。
その数値から食事内容に関するアドバイスができるようになればOK(脂質が多い、タンパク質が少ない等)。
ダイエットの原則(体重の増減)
また、頻出問題として、上記消費カロリーと摂取カロリーの収支の差による体重の増減を読み取ることは重要です。
ダイエットの原則は以下の3つ(実際には2, 3だけ理解すればOK)。
- 消費カロリー = 摂取カロリー:体重(厳密には体脂肪)の増減無し
- 消費カロリー > 摂取カロリー:体重(厳密には体脂肪)減少
- 消費カロリー < 摂取カロリー:体重(厳密には体脂肪)増加
水分摂取について
水分摂取については、ガイドラインをそのまま覚えておけばOKです!(P220) 練習前・中・後のガイドラインがありますが、運動後が最も出ると思います(CPTより大雑把)。以下の表を押さえておきましょう。
表. 水分摂取タイミングと摂取量
摂取タイミング | 摂取量 | 目安・備考 | |
運動前 | 数時間前 | 明確な記載なし | 尿比重(USG)1.02未満 |
運動中(子ども) | 20分おき | 150ml | 40kg |
運動中(青年、記載は無いが高校生と思われる) | 20分おき | 250ml | 60kg |
運動中(成人) | 個別化 | 個別化 | ミネラル・糖分も必要 |
運動後 | できるだけ早く | 1.5L/体重1kg体重減より多め) | ナトリウ摂取も重要 |
出典:NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニング第4版)
通常、のどの渇きは脱水の始まり(1%の脱水)と考えますが、NSCAではのどの渇きよりも気温と湿度を重要視します。
運動による体重減は2%以内にすることも押さえておきましょう。
増量と減量
増量に関しては、
- 1日あたり約500kcalの追加摂取が必要
- タンパク質の摂取の増加(1.5~2.0g/kg)
減量に関しては、
- 1日あたり約500kcalの減少(体重維持に必要なエネルギーから)
- タンパク質の摂取の増加(1.8~2.7g/kg)
補足
9章の栄養学の基礎の部分は、試験問題にはあまり出ませんが、重要度としては◎です。栄養学の基礎知識を学ぶにはいい内容なので、必ず目を通して理解を深めてください。
それでも、栄養学の基礎の専門書もさらに読むべきでしょう。
お勧めの図書は、以下あたりでしょうか。
NSCA-CPT受験対策~パート別傾向と対策
引用・参考:NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニング第4版
フィジックスコンディショニングジム
より詳細を知りたければフィジックスコンディショニングジムの超入門セミナーをご検討ください。