ボクシング 有酸素トレーニング

【考察】プロボクサーの勝率と全身持久力の関係

2022年10月19日

プロボクシングにおいて、最も重要な体力要素は、「全身(心肺)持久力」であるということは、私自身の選手経験も含め、30年間変わることは有りません。

経験的に(すべて統計を取っているわけではないので)、結果を出しているプロボクサーは、得てして全身持久力が高く、私自身も、時を戻して現役ボクサーになり、一つだけ体力要素をもらえるのであれば間違いなく「スタミナ・全身持久力」を選びます。

この全身持久力が、どれくらい勝率に関係するかを考察していきたいと思います。

試合に勝つための全身持久力はどれくらい必要か?

結論からいうと、

4:00/km(時速15km/h)ペースで、ラウンド数の距離(4回戦なら4km, 10回戦なら10km)を走れることです。

指導させていただいている川崎新田ボクシングジム(以降、新田ジム)では、週1回合同ロードワークを実施しています(普段のロードワークは個人で行います)。

この合同ロードワークでは3ランク設けています。

  1. 4:00/km(時速15.0km)
  2. 4:30/km(時速13.3km)
  3. 5:00/km(時速12.0km)

また、距離は長距離ベースでは、5段階(12kmは世界レベルなので稀)で設定しています。

  1. 4km
  2. 6km
  3. 8km
  4. 10km
  5. 12km

この距離は、ボクサーのランク(4回戦、6回戦、8回戦、10回戦、12回戦)で分けています。

4回戦は、3分 x 4ラウンド(ラウンド間のインターバルは1分)で最大15分(12分+3分)の、また10回戦は、3分 x 10ラウンド(ラウンド間のインターバルは1分)で最大39分(30分+9分)の競技です。

4kmを4:00/kmで走れば16分となり、10kmを4:00/kmで走れば40分となり、競技時間と一致します。

4:00/km(時速15km/h)

あくまでも、経験則ですが、試合に勝つためには4:00/km程度の全身持久力が必要と見込んでいます。

全身持久力が高いと有利であることには間違いなく、この4:00/kmペースをラウンドを通して動ければ、試合のペースを握る可能性も高く、打ち合い等の無酸素運動にも適応でき、勝率60%程度は見込むことができます

全身持久力が最重要と言っても、ボクシング等格闘技はそれだけでは、勝てるわけではありません(以下の章、参照)。技術、スピード、筋力等も考慮すれば、60%が妥当だと思います。

基本的に、4回戦を越えて6回戦以上に進む選手は、このレベルに達しています(トップレベルは、3分台中盤)。

4:30/km(時速13km/h)

4:30/kmレベルは、試合はできるが、ジャブを多用する、アウトボクシングレベルで、試合のペースを握れるかどうかは微妙な強度です。

合同ロードワークでは、1kmのインターバルペース走というものも取り入れていますが、4:30/kmペースの場合の選手の声は、「ポイントは取られているかもしれない強度です。

この言葉は、私にとっても重要なパワーワードであり、4:30/kmは基準のペースとなっており、このペースを保てる選手はジム側にも試合をできるレベルと報告をします。

ただし、あくまでも試合ができるレベルなので、勝率は40%程度です。

これからプロになろうという選手には、この4:30/kmを第一目標としています。

5:00/km(時速12km/h)

これは、あくまでもプロレベルの練習ができる程度で、合同ロードワーク(普段の個人のロードワークよりも強度が高い)の参加条件です。

もし、このレベルで試合に臨んだ場合、何もできずに惨敗の可能性が高いです(スタミナに自身も持てるレベルでは無いので、手数が出ず、ほぼペースを掴むことはできません)。

よって、勝率は20%以下です(実際、全身持久力の低い選手の勝率は非常に低いです)。

これレベルに達していない練習生は、朝の個人ロードワークで、20~30分を週5~6回継続することになります。いわゆる、LTレベルの低中強度トレーニングです。

このトレーニングを継続していれば、5:00/kmを出すのは、さほど難しいことでは無いでしょう。

重量級や女子選手の場合

上記の数値は、男子軽中量級選手をベースにしています。重量級(ミドル級以上)や女子選手はこう少しペースが遅くなるかもしれません。

  • 女子選手は、各レベル(強度で)+30秒
  • 重量級は、6kmまではほぼ同ペース。8km以上で+10~30秒程度でしょうか。

新田ジムの現日本王者三好喜美佳選手は男子並みの、重量級(世界では中量級)と言えど元世界王者(五輪金ダメリスト)の村田諒太選手の全身持久力は軽量級並み(3分台/kmと聞いてます)の持久力を持っています。

やはり、世界を狙うのであれば、持久力は必須でしょう。

ロードワークに関する記事はこちら

全身持久力が高くても勝率が60%程度の理由

全身持久力が最重要と言っても、ボクシング等格闘技はそれだけでは、勝てるわけではありません。

パンチを当てる技術が著しく乏しかったり、あまりにもスピードが無いと勝てる可能性は低くなります(プロテストを合格していれば、ある程度のレベルだとは思いますが、、、)。

他の格闘技ほどでは無いですが、やはりボディコンタクトはあります。筋力が弱いとこのボディコンタクトで体力を奪われ、スタミナ切れを起こすこともあります。

このあたりを考慮すると、最低限の筋力は必要となります。

ボクサーのウエイトトレーニングに関する記事はこちらを参照してください。

ボクサーの具体的なウエイトトレーニングはこちらを参照してください。

今回の記事は、私の経験則によるところが多く、客観的なデータには乏しいです。学術的なデータや論文があればご教示ください。


まとめ

プロボクサーが試合に勝つための全身持久力の目安は

  1. 4:00/km(時速15km/h)→勝率60%程度
  2. 4:30/km(時速13.3km/h)→勝率40%程度
  3. 5:00/km(時速12km/h)→勝率20%未満
  4. 重量級や女子選手は、+10~30秒を考慮

プロボクサーが勝つためには、全身持久力は最重要体力要素ではあるが、より確実になるためには最低限の筋力は必要となります。

練習とロードワーク、そしてウエイトトレーニングを計画的に進めましょう。

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