ウエイトトレーニング

【ウエイトトレーニング】スクワットとレッグプレスの体幹筋筋電図活動の差

前回は、スクワットとレッグプレスの主働筋および協働筋の比較をしましたが、今回は体幹筋(腹筋群、背筋群)にフォーカスしてみましょう。今回もJATI EXPRESS Vol83「トレーニングの複眼的探求」のデータを基に紐解いていきたいと思います。

前記事(スクワットとレッグプレスの主働筋・協働筋比較)はこちら

スクワットとレッグプレス時の筋電図活動の違い

今回紹介する記事は、フリーウエイトでのスクワット、スミスマシンでのスクワット、およびレッグプレスを3RMで行った時の体幹筋(腹直筋、外腹斜筋、脊柱起立筋群)の筋電図活動の比較研究で、膝関節の可動域は完全伸展位(0°)から100°屈曲位(パラレルスクワット並)としています。足幅やレッグプレスの足の位置等の記載は無いので、スタンダードフォームと捉えていいと思います。

  1. フリーウエイトスクワット
  2. スミスマシンスクワット
  3. レッグプレス

データー一覧

表1. フリーウエイトスクワット、スミスマシンスクワット、およびレッグプレスの伸展局面の体幹筋群の%MVIC(最大随意等尺性収縮時の筋電図活動に対する割合)

筋肉 フリーウエイトSQスミスマシンSQレッグプレス
腹直筋立ち上がり/プレス159%142%100%
外腹斜筋立ち上がり/プレス153%130%100%
脊柱起立筋群立ち上がり/プレス117%117%100%

*スクワットはボトムポジションから立ち上がり時、レッグプレスはプレス時の体幹筋群の出力を、レッグプレス100%としたときの相対値を示しています。

**コラムには、ターンオーバー時(カウンター動作、切り返しのイメージでいいと思います)のデータも記載されていますが、近い数値なのでここでは割愛します。

出典:JATI EXPRESS Vol83のコラム「トレーニングの複眼的探求」P43より一部抜粋

なお、3RMの重量は、

レッグプレス>スミスマシンSQ>フリーウエイトSQ

でレッグプレスが最も高く、フリーウエイトスクワットが最も低く、レッグプレスの重量の目安は、スクワットの約1.5倍となっています(以下が参考データ)。またスミスマシンSQは、フリーウエイトSQの105〜110%程度の出力です。

  • フリーウエイトSQの154%
  • スミスマシンSQの147%

姿勢保持に重要な体幹筋群は背筋群

もうひとつ重要なデータが載っていたので紹介します。スクワットにおいての体幹筋群の%MVICは、

  • 脊柱起立筋群:75%
  • 腹筋群:15~20%程度

このデータもわかるように、高負荷を支えているのは腹筋群では無く背筋群になります。

谷本道哉氏のコラム(トレーニングマガジン76号)から

タイムリーに昨日届いたトレーニングマガジン(Vol76)の谷本先生のコラム「健康にEnjoy筋トレライフ 連載51)の内容がこの研究に近いものだったので紹介します。

10RMスクワットの筋放電平均値(%MVC:静止状態での全力発揮時の筋放電を100%としたときの相対値)

  • 脊柱起立筋群(腰部):36%MVC
  • 腹直筋:4%MVC

10RMバックエクステンションの筋放電平均値

  • 脊柱起立筋群:57%MVC

10RMシットアップ

  • 腹直筋:54%MVC

シシースクワット(床と平行程度まで身体を倒すまたは傾ける)

  • 腹直筋:22%MVC

表2. 各エクササイズの10RMにおける筋放電平均値(%MVC:静止状態での全力発揮時の筋放電を100%としたときの相対値)のまとめ

 腹直筋脊柱起立筋
スクワット4%36%
バックエクステンション57%
シットアップ54%
シシースクワット22%

傷害予防においては、腹筋群はかなり重要だと思いますが、ここでも姿勢を支えているのは圧倒的に背筋群ということがわかります。

そして、スクワットで腹筋群を鍛えたければ(重視するのであれば)、シシースクワットを選択するのが妥当ということになります。

高回数腹筋運動(シットアップ・クランチ)の是非

クリスティアーノ・ロナウドの3,000回/日、高橋尚子氏の現役時代の1,000回/日の腹筋運動を、時間効率やトレーニング効果の面から肯定的では無い意見を述べています。

3,000回の腹筋運動は時間にして2時間半(1,000回だと50分)と計算しています(3秒/回)。実際に行っているのであれば、可動域が少なくもう少し早いペースで行っていたと思いますが、それでも2時間弱(1,000回だと30〜40分)はかかるでしょうか?

ちなみに、プロレスラーは毎日ヒンズースクワットを1,000回行うそうですが、これが約30分程度かかるようです(2秒/回)。

このレベルだと、筋力、筋持久力というよりも、もはや有酸素運動でしょう。スクワットにおいては、可動域という面では効果有りかもですが、それでも1,000回は必要無いですかね。またノンロック法で行えば肥大も可能でしょうが、これも長時間によるエネルギー消費・不足で効果は薄いかもしれないですね。仮に効果があったとしてもかなり非効率です。

上記の数値も含めて谷本先生も仰っていましたが、マラソンにおける姿勢維持は、背筋群の方が重要で、腹筋群はあまり必要ではないようです。

私の経験では、フルマラソンを走った時に30kmを越えると腰が抜ける感じで骨盤が後傾になります。腹筋の筋力低下にも感じるものですが、背筋群の筋力低下(背筋群は骨盤前傾筋)だと思います。

結果

  • 全ての体幹筋群において、レッグプレスよりもスクワットの活動が大きい。
    • 腹筋群150%
    • 背筋群120%
  • 運動、トレーニング 、および日常生活の姿勢保持の主役は背筋群である。
    • 脊柱起立筋群75%
    • 腹直筋15~20%
  • スクワットで体幹筋群(アイソメトリック収縮)は鍛えられるが、アイソトニック収縮エクササイズには及ばない(シットアップ・クランチ・バックエクステンション )。

考察(前回の記事も含めて)

  • 大腿部全体(前面および後面)および体幹部を鍛えるのは、レッグプレスよりもスクワットの方が優れている。
  • スクワットやデッドリフト等を行っていれば、プランク系を導入する必要は無いが、体幹筋群の強化を試みる場合は、バックエクステンションやクランチ等アイソトニック種目を導入するほうが効果的である。
  • 腹筋群と背筋群の理想比率は1:1であるが、実際には背筋群の方が強いことが多い。アスリートにとって競技上は好ましいが、背筋群が強いと骨盤前傾から来る腰痛にもなりやすい。予防のためには、拮抗筋の腹筋群も鍛えることも重要である。
  • 体幹筋群は、低負荷高回数の風潮があるが、他の筋肉と同様、強化(筋肥大・筋力向上)するためには10RM程度のトレーニングも必要である。
  • 高負荷(5RM以下・88%1RM程度)は、単関節エクササイズ(脊柱)なのでリスクが伴う。

まとめ(前回記事も含めて)

体幹部を鍛えるにも、レッグプレスよりもスクワットの方が優れているようです。

しかし、スクワットやデッドリフトでも、体幹筋群を鍛えることはできますが、十分であるとは言い難く、競技力向上のためにはバックエクステンション等で背筋群を鍛え、ツイスト系のクランチで腹斜筋群もトレーニングする必要があると思います。

そして、強くなりがちな背筋群の暴走を止めるには、拮抗筋である腹筋群の強化も必要です。体幹筋群の負荷は8〜20RMが妥当でしょう。

課題や目的を明白にし、優先順序をつけ、トレーニングに励む必要があると思います

なお、この研究(トレーニングの複眼的探求)は、トレーニング経験が5年程度の成人女性トレーニー19名の結果なので、すべての人に当てはまるとは限りません(谷本先生の記事には対象は記載されていません)。いち参考データとして、トレーニングに活用してください。

 

以下は、前回も記載しましたが、重要なので再掲載します。

主働筋および協働筋の四頭筋、大殿筋、ハムストリングはもちろんのこと、体幹筋・姿勢支持筋の活動においても優れているスクワットは「King of Exercise」と呼ぶにふさわしいエクササイズです。

一方、トレーニング効果においては、後塵を拝しますが、高負荷をより安全に扱え、心身ストレスも非常に軽く、スクワットに近い効果を出せるレッグプレスも捨てがたいエクササイズです。スクワットのダメージが大きすぎて、アスリートに最も重要な練習に支障をきたす場合は、レッグプレスの選択は間違いではありません

ビッグ3に関する記事はこちら

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・JATI EXPRESS Vol83 トレーニングの複眼的探求@佐野村学
・トレーニングマガジンvol76 健康にEnjoy筋トレライフ連載51@谷本道哉
・筋肉まるわかり大辞典1・2@石井直方
・筋トレまるわかり大辞典@谷本道哉
・筋トレ動き方・効かせ方パーフェクト事典@荒川裕志

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