解剖生理学・運動学

【生理学】内分泌系①~ホメオシタシス、内分泌系、ホルモンの意味を理解する

2021年3月21日

内分泌系と聞くと、ホルモンというのは出てくるわけですが、その意味も曖昧なことも多いのではないでしょうか。内分泌系の基礎を整理しましょう。

ホメオスタシス(恒常性)の意味を理解する

生理学の最初に出てくる「ホメオシタシス」、いきなり難しい用語が出てきましたが、まずはこの用語を理解しないと始まりません。

「ホメオスタシス」は日本語で「恒常性」といい、「生体が外的および内的環境の変化を受けても、生理状態などを調整し、常に一定に保つこと。またその能力のこと」を意味します。簡単に説明すると、体温、血圧、血糖等を、外部環境に左右されずに一定に保つ能力で、鳥類以上が持つ能力です。

例えば、体温は外気温に左右されず、一定を保つことができます。爬虫類以下はこの能力が無いので、暑さや寒さに弱いわけです。

このホメオスタシスは、自律神経とホルモンで調整されていて、この自律神経とホルモン(内分泌系)の最高(中枢)機関が、間脳の視床下部です

視床下部に関する記事はこちら。

内分泌系(endocrine system)と外分泌系(exocrine system)の違い

内分泌系(endocrine system)とは、内分泌腺から分泌されるホルモンによって身体の機能を調整する仕組み(ホメオシタシス)のことです。分泌されたホルモンは、導管を持たず、直接血管に入ります。

ホルモンとは、体内(内分泌腺)で分泌・合成でき、身体機能を調節する化学物質です

ホルモンは、標的(または目標)器官(受容体を持つ特定の器官や細胞)だけに作用します(成長ホルモンは、筋肉の合成や脂肪の分解に作用する等)。ホルモンと標的(目標)器官は、鍵と鍵穴の関係に例えられます。

焼肉のホルモン(ホルモン焼き)とは、少し意味が違うようです。精肉で扱われない部分すべてをホルモンとして扱い、胃腸が多いようです(^^)

一方、外分泌系(exocrine system)は、細胞が分泌した物質を特定の導管を通り、標的器官に送り込むシステムのことです。消化器としての膵臓は外分泌系に当たります。

膵臓(内分泌系であり、外分泌系(消化器)でもある)に関する記事はこちら。

ホルモンの分類

ホルモンを以下の項目に分類します。

  1. 化学構造による分類
  2. アナボリックホルモン
  3. カタボリックホルモン
  4. ストレスホルモン


化学構造による分類

さらに

  • アミノ酸誘導体ホルモン
  • ペプチドホルモン
  • ステロイドホルモン

に細分類します


アミノ酸誘導体ホルモン

アミノ酸から何らかの反応によって誘導されるホルモンの総称で、カテコールアミンが代表的です。カテコールアミンは、生体内にカテコールの構造(カテコール基、名前だけで十分です)を持つ生体アミン(アミン酸化合物、アミノ酸の脱炭酸生成物、まずはざっくりアミノ酸に関係する物質として十分です)の総称です。

  • アドレナリン
  • ノルアドレナリン
  • ドーパミン

を押さえておくといいと思います。

 ペプチドホルモン

数個から百個程度のアミノ酸がペプチド結合しているホルモンで、最も多いホルモンです

  • 視床下部ホルモン
  • 下垂体ホルモン(成長ホルモン等)
  • インスリン
  • グルカゴン

等が重要ペプチドホルモンになります。

ステロイドホルモン

脂質の一種であるコレステロールが材料で、ステロイド骨格を持つホルモンです

  • 副腎皮質ホルモン

がステロイドホルモンとして重要です。

アナボリックホルモン

筋肉をの同化・合成を促進するホルモンです。以下の4つが重要アナボリックホルモンです。

  • 成長ホルモン
  • インスリン様成長因子(IGF-I)
  • テストステロン
  • インスリン

カタボリックホルモン

アナボリックホルモンとは逆に、筋肉の異化・分解を促すホルモンです。

  •  グルコ(糖質)コルチコイド(コルチゾル、コルチゾン等)

ストレスホルモン

心身ストレスを掛けることで分泌されるホルモンです。

  • 成長ホルモン
  • グルココルチコイド
  • 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)


ドーピングについて

「男性化作用」と「タンパク質同化作用」の2つの作用を持つ物質を人為的に注入し、競技力を向上させるのがドーピングのひとつです。違法ではないですが、モラルに反する行為であり、副作用も強いので、当然行ってはいけません。

ステロイドホルモンのひとつである「テストステロン」が有名ですが、ステロイドホルモンは医薬品としても使用されるので、正しい処方が必要です。

私もこの知識は不足しているので、勉強していかなければならない分野ではあります。

今後の予定

分類はしたものの、これらは複雑に関係しているので(成長ホルモンは、アナボリックホルモンであり、かつストレスホルモンである等)以降、整理および掘り下げていきたいと思います。

・生理学の基本@中島雅美(監修)
・生理学の基本がわかる事典@石川隆(監修)
・ストレングス&コンディショニングⅠ@NSCA Japan(大修館)
・NSCA決定版ストレングストレーニング&コンディショニング第4版@BookHouseHD

・アイキャッチ画像は、写真ACの自然さん

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