【生理学】4つからなる脳の構成と基本的な役割を理解する

解剖学・生理学・運動学

中枢神経の要である脳についてのまとめです。人間にとって最重要器官が脳ですが、英語で「brain」、また、組織の中心人物や特に頭の良い人(参謀とか軍師とか)のことも「brain」といいます。それだけ重要だということになるでしょう。

神経の分類

脳の話の前に、神経について整理しておきましょう。神経は以下のような階層になります。

  1. 中枢神経
    1. 脊髄
  2. 末梢神経(脳12対・脊髄31対)
    1. 体性神経
      1. 感覚神経
      2. 運動神経
    2. 自律神経
      1. 交感神経
      2. 副交感神経

神経は、大きく①中枢神経と②末梢神経に分類することができます。

中枢神経は、さらに(1)脳と(2)脊髄に分類し、末梢神経は、中枢神経である脳から12対、脊髄から31対あります。

脳12対および脊髄31対には、随意である体性神経と不随意である自律神経が混同しています。

体性神経は、inputを担う感覚神経とoutput担当の運動神経に分かれます。大枠で頚髄は上半身、腰髄は下半身の運動を司ると覚えておくといいでしょう。

自律神経は、興奮系の交感神経とリラックス系の副交感神経から成り、交感神経は胸髄から出ているものが多く(一部上部腰髄)、副交感神経は脳(脳幹)および仙髄から出ています。

自律神経は別途まとめたいと思います。

中枢神経と末梢神経、修復可能か、不可能か?

中枢神経である脳と脊髄は、損傷すると修復ができません。損傷すると何らかの後遺症が残ることになります(部位により異なる)。

一方、末梢神経は、修復が可能です。指の神経を断裂等損傷してもしっかりリハビリをすれば元の状態に戻すことができます。しかし、その基である脊髄を損傷すると、動かすことはできません。いわゆる麻痺です。頚髄損傷では全身(四肢)麻痺、腰髄損傷では下半身(下肢)麻痺となります。

また、内臓等を支配する自律神経に何らかのエラーが出ると、自律神経に失調が起こり、うつなどを発症する可能性があります。

脳の構成は、大脳・間脳・脳幹・小脳の4つ

脳は、中枢神経の要で、

  1. 大脳
  2. 間脳
  3. 脳幹
  4. 小脳

から構成されます。

大脳は、大脳皮質・辺縁系・基底核

さらに大脳は、

  1. 大脳皮質
  2. 大脳辺縁系
  3. 大脳基底核

から成り立ちます。

大脳皮質は、哺乳類のみが持つ高度脳で新脳・新皮質とも呼ばれ、思考や判断、言語、感覚等を司ります。また大脳辺縁系や基底核の制御も大きな役割です。言い換えると、大脳皮質は最上位の脳と言っても過言ではありません。

大脳辺縁系と大脳基底核は、旧脳(皮質)や古脳(皮質)とも呼ばれ、脊椎動物であればすべて持っている脳で本能を司ります(大脳皮質は理性)。

間脳は、視床と視床下部

間脳は

  1. 視床
  2. 視床下部

に分類されます。

視床は、間脳の最大の器官(神経核)で、嗅覚以外の感覚を集め、その情報を大脳に送る機能を持ちます。

視床下部自体は小さいですが、自律神経と内分泌系の中枢という重要な役割を持ちます。

間脳は、脳幹に含まれるという記述もみられます。

脳幹は、中脳・橋・延髄

脳幹は、脊髄からの情報を大脳に、また大脳からの命令を脊髄に送る伝達路で、

  1. 中脳
  2. 延髄

に分けられ、延髄が脊髄と連結しています。

脳死と植物状態

脳幹の役割は情報の伝達路ですが、延髄は呼吸循環系の制御を司る重要な器官です。延髄が死ぬと(脳幹死)、呼吸循環ができなくなるのでやがて全脳死につながります。プロレス技の「延髄切り」は超危険な技なので絶対に真似することはやめましょう。実際、プロレスの「延髄切り」は延髄を蹴っていません。肩口、僧帽筋辺りを蹴っているはずです。

ちなみに脳幹以外の脳(大脳・間脳・小脳)が機能停止すると、呼吸循環はできるので、いわゆる「植物状態」となります。現医学では回復することは無い(もしくはかなり難しい)と考えられます(中枢神経のため)。

小脳

小脳は、大脳からの命令を忠実に再現する運動制御器官です。小脳が発達している人は器用であったり、運動能力が高いと考えられます。

しかし、あくまでも小脳は命令に忠実かつ優秀な兵隊に過ぎません。命令を下すのは大脳(将校)となります。

脳を守る仕組み~脳脊髄膜と脳脊髄液

中枢神経である脳と脊髄を守る仕組みとして、脳脊髄膜と脳脊髄液があります。

脳脊髄膜は、三層から成り深層から「硬膜」「くも膜」「軟膜」に分類されます。くも膜下腔と軟膜の間には脳脊髄液があり、脳はそれに浮いている状態となります。

さらに脳は「頭蓋骨」に、脊髄は「脊柱」に守られています。

以降、各器官を深堀りしていく予定です。

専門用語のまとめ(和名・英名)

大脳cerebrum
大脳皮質cerebral cortex
大脳辺縁系cerebral limbic system
大脳基底核cerebral basal ganglia
間脳diencephalon
視床thalamus
視床下部hypothalamus
脳幹brain stem
中脳midbrain
pons
延髄medulla oblongata
小脳cerebellum
  
脊柱spinal cord
  
脳脊髄膜meninges
硬膜dura mater
くも膜arachnoid mater
軟膜pia mater
  
脳脊髄液cerebrospinal fluid

出典・引用・参考
・生理学の基本@中島雅美(監修)
・生理学の基本がわかる事典@石川隆(監修)
・脳のしくみ@中村克樹(監修)
・Modern Medical Language@C.Edward Collins, Juanita J. Davies
・トレーナーズバイブル新版@アーンハイム

・イラストは、イラストACのMiMiさん、K-factoryさん

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