肝臓と共に「沈黙の臓器」の代表でもある膵臓。その役割を整理しましょう。
膵臓の役割
膵臓は
- 消化器系
- 内分泌系
として、2つの大きな役割を持っています。
消化器としての膵臓
膵臓の90%に当たる腺房(図の周りの緑の部分)という組織から膵液を分泌します。膵液は三大栄養素の消化液(酵素)で、以下に膵液とその役割をまとめます。
膵液 αアミラーゼ 膵臓 糖質の消化 トリプシン 膵臓 タンパク質の消化 キモトリプシン 膵臓 エラスターゼ 膵臓 カルボキシペプチダーゼ 膵臓 リパーゼ 膵臓 中性脂肪の分解 コレステロールエステルヒドラーゼ 膵臓 コレステロールエステルの分解 参考:生理学の基本, 生理学の基礎がわかる本
アミラーゼは、唾液のところでも出てきたのでわかると思います。難しい名前が続きますが、ペプチターゼはペプチド、リパーゼはリピッド(lipid 脂質)、コレステロールエステルヒドラーゼはコレステロールが出ているので何に分解されるかは推測が付くと思います。
前回の記事にも書きましたが、腺房で分泌された膵液は、膵管から主膵管に集められ、十二指腸に送り込まれます。主膵管の出口(十二指腸の入り口である)は、ファーター乳頭といい、十二指腸に消化された食物(麋竺)が入ると、十二指腸はコレシストキニンというホルモンを分泌し、ファーター乳頭のオッディ括約筋を弛緩し、膵液および胆汁を十二指腸内に入れます。
消化器系としての膵臓は、導管(膵管)を持つので、外分泌系となります。
内分泌系としての膵臓
内分泌系としての役割は、膵臓の10%に当たるランゲルハンス島(図の中央青○)と呼ばれる組織から血糖値を制御する以下のホルモンを分泌することです。
- インスリン
- グルカゴン
インスリンは、血糖値を下げる唯一のホルモンで、血糖値を下げるということは糖を各細胞に送り込むということです。インスリンの分泌が無いまたは乏しいのが糖尿病で、通常、空腹時の血糖値が126mg/dl以上で糖尿病と診断されます。
インスリンには、血管や細胞膜を通過する機能があります。インスリンの分泌が無いと、血中のブドウ糖やアミノ酸が、細胞まで到達することができず、栄養不足となり、最悪死に至ります(糖尿病)。
グルカゴンは、反対に血糖値を上げる作用があります。空腹(低血糖)になるとグルカゴンが分泌し、血糖値を維持しようと頑張ります。血糖値を上げるホルモンには、その他「アドレナリン」「ノルアドレナリン」などがあります。
インスリンやグルカゴンは、導管を持たず血液により移動するので「内分泌系」となります。
まとめ
膵臓の役割は、
- 消化器系として、膵液(3大栄養素の消化酵素)の分泌。
- 内分泌系として、インスリン(血糖値低下)およびグルカゴン(血糖値上昇)の分泌。
肝臓ともに沈黙の臓器でもある膵臓。暴飲暴食は特に負担をかけるので、休肝日・休膵日をしっかり儲けましょう。
・生理学の基本@中島雅美(監修)
・生理学の基本がわかる本@石川隆(監修)
・解剖生理学@志村ら・アイキャッチ画像は、イラストACの筒井よしほさん