機能解剖学

【機能解剖学各論】肩甲骨の重要部位と6運動、および胸郭の構成

2020年8月22日

機能解剖学の勉強をする際に、基礎は前提として、最重要部位となるのが「体幹・脊柱」「股関節・膝関節」「肩関節・肩甲骨」の3部位と考えています。

前回は「肩関節の構成と構造」をまとめましたが、本日「肩関節」第2弾は「肩甲骨と胸郭」についてです。

機能解剖学の基礎はこちらを参照してください。

肩関節の構成に関する記事はこちらを参照してください。

肩甲骨(Scapula)の重要部位

左後面 右前面

肩甲骨(Scapula)のまず覚えるべき部位(ランドマーク)は、

  1. 肩峰(Acromion):肩甲骨または肩の位置を評価する重要箇所。T3付近の高さである。
  2. 烏口突起(Coracoid Process):カラス(烏)の口ばしに似た大きな突起。上腕二頭筋短頭の起始および前鋸筋の停止。
  3. 肩甲棘(Spine of Scapula):肩甲骨の特徴を象徴する後面上部を横断する大きな棘上の突起物部分。僧帽筋下部、棘上筋や棘下筋等多くの筋に関係している。
  4. 下角(Inferior Angle):肩甲骨最下端に位置し、T9付近の高さである。
  5. 上角(Superior Angle):肩甲骨最上端に位置する下角の対角部。
  6. 内側縁(Medial Border):前鋸筋の起始。
  7. 外側縁(Lateral Border):小円筋の起始。
  8. 関節窩(下図黄緑):肩甲上腕関節の受けの部分で、関節唇(繊維軟骨、下図黄色の枠)で覆われている。
  9. 関節上結節:関節窩の上端で、上腕二頭筋長頭の起始。
  10. 関節下結節:関節窩の下端で、上腕三頭筋長頭の起始。

上図は、右肩甲骨を内側から見たものです。

肩甲骨運動

肩甲骨の運動は以下の6種類

  1. 挙上(Elevation):上方に挙がる運動
  2. 下制(Depression):下方に下がる運動
  3. 内転(Adduction):外側(縁)が脊柱に寄せる運動
  4. 外転(Abduction):外側(縁)が脊柱から離れる運動
  5. 上方回旋(Upward Ration):下角が斜め上方に向かう運動
  6. 下方回旋(Downward Ration):下角が斜め下方に向かう運動(上方回旋と逆方向)

テキストによっては、「前傾・後傾」を含むものもあります。

  • 前傾:肩甲骨の前方回転運動(下角が肋骨から離れる動き)で、小胸筋にこの作用があるという記述もあります。肩関節の伸展運動に伴います。
  • 後傾:肩甲骨の後方回転運動(下角が肋骨に近づく動き)で、肩関節の屈曲運動に伴います。

肩甲骨重要筋群

挙上筋群

  • 僧帽筋上部、若干中部
  • 菱形筋
  • 肩甲挙筋

下制筋群

  • 僧帽筋下部
  • 広背筋

外転筋群

  • 前鋸筋
  • 小胸筋(純粋な外転筋で無いという記述もある)

内転筋群

  • 僧帽筋(特に中部)
  • 菱形筋
  • 広背筋

上方回旋筋群

  • 僧帽筋(全体)
  • 前鋸筋

下方回旋筋群

  • 菱形筋
  • 小胸筋
  • 肩甲挙筋
  • 広背筋

今後は、上記筋群をまとめる予定です。

胸郭の構成

胸郭は

  • 胸骨
  • 胸椎12本
  • 肋骨12対

され、第1~7肋骨は胸骨に直接付着しているので、これを「真肋」と言います。第8~12肋骨は胸骨に直接付着せずに第7肋軟骨に集まり胸骨に付着しています。これらを「仮肋」といいます。特に第11および12肋骨は、肋軟骨にも付着せずに浮いているので「浮遊肋」と言います。まとめると、

  • 第1~7肋骨(真肋:青)
  • 第8~12肋骨(仮肋:黄緑)
    • 第11および第12肋骨(浮遊肋:黄) *仮肋の一部

胸骨の分類(前記事に書きましたが、関連性が高いので再掲載)

胸骨は扁平骨であり、不全であるが以下の3部位に分かれます。

  1. 胸骨柄
  2. 胸骨体
  3. 剣状突起

胸骨と鎖骨および肋骨の結合部位を「切痕(図の青部)」と言います。胸骨柄に「鎖骨切痕」と「第1肋骨切痕」、胸骨体に「第2~第7肋骨切痕」があります。

肩甲骨に関連する用語のまとめ

肩甲骨の部位

肩峰acromion
烏口突起coracoid process
肩甲棘spine of scapula
下角inferior angle
上角superior angle
内側縁medial border
外側縁lateral border
関節窩glenoid cavity
関節上結節supraglenoid tubercer
関節下結節infraglenoid tubercer
棘上窩supraspinous fossa
棘下窩infraspinous fossa
肩甲下窩subscapular fossa
肩甲切痕suprascapular notch

肩甲骨運動

挙上elevation
下制depression
内転adduction
外転abduction
上方回旋upward rotation
下方回旋downward rotation

引用・参考
・身体運動の機能解剖@Thompson,Flolyd
・骨と関節のしくみ・はらたきパーフェクト辞典@岡田隆
・筋肉のしくみ・はらたきパーフェクト辞典, 筋トレ働き方・効かせ方パーフェクト事典@荒川裕志
・骨単・肉単@河合良訓(監修)

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