機能解剖学

【機能解剖学の基礎】最初に覚えるべきは骨206個?【効果的な勉強法】

2020年5月13日

これまで、機能解剖学の基礎をまとめましたが、この基礎を前提に本格的な機能解剖学の勉強が始まります。では、いったい何から手を付けていけばいいのでしょうか。

機能解剖学・運動器で優先すべき組織は「骨」

機能解剖学は、運動器の学問なので

  • 関節
  • 筋肉
  • 靭帯

等が重要になります。その中でも最優先に覚えるべきは、骨だと思います。なぜ骨なのかというと、骨を覚えておくと、関節や靭帯は覚えやすいからです。関節や靭帯は、それぞれ骨と骨をつないでいる部分および支持帯なので、そのまま骨の名前を使うことが多いのです。

例えば、肩関節は厳密には肩甲上腕関節と言い、肩甲骨と上腕骨をつないだ関節と言うことが容易にわかります(基本的には、大きい骨を先、小さい骨が後)。

これは靭帯にも当てはまり、例として、足関節の主要靭帯の一つ「前距腓靭帯」は、距骨と腓骨をつないでいる靭帯ということになります。前が付いているので、後距腓靭帯もあるということです。

また、筋肉も腱を介して骨に付着しているので、骨の名前を使用することが多いですね(上腕筋、大腿四頭筋、脛骨筋、腓骨筋等)。

骨は206個で構成される

人間の骨は206個あると言われています。これをいきなり覚えるのは消化不良になりがちかと思いますが、実はそんなに大変ではないのです。206あるといっても、肋骨のように24本ある骨もあるので、実際には53種類しかありません。

そのうち18種類は頭蓋・顔面系なのですぐに覚える必要はありません。小顔矯正をするトレーナーさんは、最初に覚える部位かもしれませんが。。。。?

運動指導をメインにする場合は、環椎(第1頸椎)以下の35種類177個から始めるといいでしょう。

さらに頸椎以下の順序はどうでしょう、どこから手を付けるかというと、特にルールは無いので、好きな部位からでいいと思います。個人的には、近位から遠位に、具体的には「脊柱と骨盤」から「肩関節・肩甲骨」または「股関節・膝関節」、そして「腕・手」または「下腿・足」といったところでしょうか。

脊柱は「頸椎7」「胸椎12」「腰椎5」「仙骨1」「尾骨1」の5種類26個、手の骨は片手27個計54個、足の骨は片手26個計52個、肋骨は12対(24個)、これだけでなんと156個(88%)。その他、上腕骨、大腿骨、肩甲骨等メジャーな骨が多いので、比較的簡単です!

骨は206個で正しいのか?

骨は206個が定説ですが、実はそんなにこの数にこだわることはありません。206個だと骨盤のメインパートを寛骨(左右で2個)として扱いますが、この寛骨は細分類して「腸骨」「恥骨」「坐骨」として覚えておいた方が実践的です

寛骨は、股関節筋群の起始・停止が集まる場所ですが、起始・停止を「寛骨」の云々とは言わず、起始・停止は「腸骨」「恥骨」「坐骨」の部位で覚えることが重要です。

仙骨・尾骨は、むしろ分類する必要は無いですが、仙骨は仙椎5個と同義語、尾骨は尾椎3~5個と個人差が大きいので分類してしまうと数が不明瞭になってしまいます。仙骨・尾骨は1個ずつで覚えた方がいいと思います(ただし、仙椎1番:S1はよく使います)。

重要な骨(頸椎以下35種類177個)は、37種類181個で覚える

35種類177個は、寛骨だけは、腸骨・恥骨・坐骨に分類して37種類181個として扱い、その中でも下記の赤マーカー(24種類)は特に重要なのでなるべく早く習得・理解しましょう。できれば英語も!

脊柱(vertebral column)
1頸椎cervicle7個
2胸椎thoracic12個
3腰椎lumber5個
骨盤(pelvis)
4仙骨sacrum1個
5尾骨coccyx1個
6寛骨hip bone2個
(腸骨)(ilium)(2個)
(恥骨)(pubis)(2個)
(坐骨)(ischium)(2個)
肩関節
7肩甲骨scapula2個
8鎖骨clavicle1個
9胸骨sternum2個
10肋骨rib24個
肘関節
11上腕骨humerus2個
12橈骨radius2個
13尺骨ulna2個
手の骨12種類54個・手根骨(carpals)8種類16個
14大菱形骨trapezium2個
15小菱形骨trapezoid2個
16有頭骨capitate2個
17有鈎骨hamate2個
18舟状骨scaphoid2個
19月状骨lunate2個
20三角骨triquetyrum2個
21豆状骨piriform2個
22中手骨metacarpals10個
23基節骨proximal phalanx10個
24中節骨middle phalanx8個
25末節骨distal phalanx10個
基節・中節・末節骨を合わせて指骨phalanges(28個)
膝関節
26大腿骨femur2個
27脛骨tibia2個
28腓骨fibula2個
29膝蓋骨pattela2個
足の骨9種類52個・足根骨(tarsals)5種類14個
30踵骨calcaneus2個
31距骨talus2個
32舟状骨navicular2個
33立方骨cuboid2個
34楔状骨cuneiform6個
35中足骨metatarsal10個
*基節骨proximal phalanx10個
*中節骨middle phalanx8個
*末節骨distal phalanx10個
基節・中節・末節骨を合わせて趾骨phalanges(28個)
頸椎以下(35種類)177個
*手と同じ

手と足の骨は、少々複雑なので、まずは大枠で手根骨と足根骨、指骨と趾骨で覚えておきましょう。

実は先行して足はまとめています。以下を参照してください。

・足の骨と関節

指と趾

もうひとつ、脊柱・骨盤・胸郭・(手根骨・足根骨)は、206の骨としては明記されていませんが、幾つかの骨をまとめたものなので、最初に覚えるべき骨群です。詳しくは各論で。

頭蓋・顔面系(18種類29個) 時間に余裕ができたら覚えてください。

頭蓋骨を含めて206個すべて覚えても、ただ暗記するだけでは役には立ちません。耳小骨(鐙(あぶみ)骨・槌(つち)骨・砧(きぬた)骨)は難しいし、指導上ほぼ必要はありません。もちろん、最終的にはすべて覚えるべきですが、優先順序は低いです。これらの骨の名前だけ憶えて場所すらわからないようなら、意味は成さないですよね。

また、難しい部位ではありますが、脳頭蓋・顔面頭蓋は比較的知っている骨も多いと思います。むしろ、脳の勉強をするときに合わせて覚えてください。

頭蓋骨(cranium) 15種類23個
脳頭蓋(cranical cranium)5種類7個前頭骨frontal bone1個
頭頂骨parietal bone2個
側頭骨temporal bone2個
後頭骨occipital bone1個
蝶形骨sphenoid bone1個
顔面頭蓋(facial crainum)10種類16個篩骨ethmoid bone1個
頬骨zygomatic bone2個
涙骨lacrimal bone2個
鼻骨nasal bone2個
下鼻甲介inferior nosal concha2個
鋤骨vomer1個
上顎骨maxilla2個
下顎骨mandible1個
口蓋骨palatine bone2個
舌骨hyoid bone1個
耳小骨(audotory ossicles) 3種類6個
槌骨malleus2個
砧骨incus2個
鐙骨stapes2個

・身体運動の機能解剖@Thompson/Floyd
・骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典@岡田隆
・筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典@荒川裕志
・運動療法のための機能解剖学的触診技術(上肢編)@林典雄
・骨単・肉単@河合良訓(監修)

フィジックスコンディショニングジム

より詳細を知りたければフィジックスコンディショニングジムの超入門セミナーをご検討ください。

-機能解剖学

© 2024 S&Cコーチ長澤誠浩オフィシャルブログ~Go the Distance! Powered by AFFINGER5