触媒と酵素、知っていそうで実は細かいことを理解していない場合があります。この2つに用語を確認しましょう。
触媒(catalyst)は、大辞林によると「それ自身は変化しないが、他の物質の化学反応の仲立ちとなって、反応の速度を速めたり遅らせたりする物質」とあります。
酵素(enzyme)はトレーニング用語辞典(Weider)によると、「生体に存在するタンパク質性の触媒で、生体触媒として作用する」とあります。この定義がすべてを語っていて、酵素は生体内での触媒のことです。
酵素と補酵素
多くの酵素は、アポ酵素に補酵素が結合してホロ酵素となります(アポ酵素+補酵素⇒ホロ酵素)。
アポ(apo-)は「分離」を表す接頭語で酵素としては不完全な状態(酵素として機能しない)です。
補酵素(coenzyme)のco-は「共」を表す接頭語であり、補酵素となると、アポ酵素を補うものまたは従属していると捉えがちになってしまいますが、位置づけとしてはアポ酵素と補酵素は対等です。むしろ意味や役割からは「共酵素」のほうが正しいのかもしれません。
補酵素はビタミンやミネラルが担うことが多いわけですが、特にミネラルの場合は補因子(cofactor)ということもあります。ちなみにゴルフでよく見る「co-leader」はトップ(1位)タイのこと。このことからも補酵素という訳は適当でないと思います(どうすることもできませんが)。
ホロ酵素のホロ(holo)は完全を意味する接頭語で、基本的に酵素と呼ばれるものはこのホロ酵素を指すことになります。
出典・引用・参考
・大辞林@三省堂
・トレーニング用語辞典@Weider
・アスリートのための最新栄養学(下)@山本義徳