機能解剖学 解剖生理学・運動学

【運動学】腰の回旋には要注意~胸椎と股関節の回旋の重要性!

2022年10月9日

球技や格闘技は、回旋運動を伴うものがほとんどで、よく腰を回すという表現がされます。

この「腰を回す」または「腰の回旋運動」を紐解いていきましょう。

キネマティックチェーンとキネティックチェーン


脊柱の構造を理解する。

回旋運動において重要である脊柱は、「頸椎」「胸椎」「腰椎」および「骨盤」から成ります。

腰を回すとは、「腰椎を回すこと」と捉われがちですが、実は腰椎は「回旋」が苦手でほとんど回ることが来ません(腰椎は、屈伸および側屈が得意)。

回旋が得意なのは、頸椎と胸椎、そして股関節です。最も回旋するのは、頸椎ですが、ここでは論じません。

言い換えると、上半身の回旋は「胸椎」が担い、下半身の回旋は「股関節」が担当すると押さえておくといいと思います。

腰椎を無理やり動かそうとすると、腰を痛めるかもしれないので、胸椎と股関節を動かせようにしましょう。

股関節のアクティベートには、ルーマニアンデッドリフト(ヒンジ運動)やスクワットが重要です。

ルーマニアンデッドリフトに関する記事はこちらを参照してください。

表1. 脊柱の回旋における関節可動域の平均値

部位回旋(°)
Oc~C10
C1~C247
C2~C39
C3~C411
C4~C512
C5~C610
C6~C79
C7~T18
T1~T29
T2~T38
T3~T48
T4~T58
T5~T68
T6~T78
T7~T88
T8~T97
T9~T104
T10~T112
T11~T122
T12~L12
L1~L22
L2~L32
L3~L42
L4~L52
L5~S15

表の数字は覚える必要は有りません。テキストによって違うし、大まかに置けば問題ありません。

出典:運動学第2版@医薬出版株式会社(監修:社団法人全国柔道整復学校協会

脊柱の構造に関する記事はこちらをご覧ください。

運動の中心点(ポイント)を理解する

運動の中心点は、以下の5点が重要です。

  1. 頸椎
  2. 胸椎(鳩尾)
  3. 腰椎(臍)
  4. 股関節
  5. 足底

画像出典:ノンウエイトトレーニング種目の実際@関本登志昭

この中でも重要なのが、

  • 上半身の中心点である胸椎
  • 下半身の中支点である股関節
  • 全身(または総合)中心点である腰椎

足底は、地面との支持・接地面であり、体重移動において重要です。

この5点(特に胸椎・腰椎・股関節の3点)で、屈伸、(左右)側屈、左右(回旋)を行ってみましょう。得意と苦手がわかります。

画像出典:ノンウエイトトレーニング種目の実際@関本登志昭

苦手な運動は、特にメイン練習前のアクティベーションドリルとして行いましょう。動きが良くなりますよ!

普段から、動きのポイントを押さえておけば(アクティベーションドリルとして実践)、自然に動かせよるようになります。練習時はあまり意識しなくても大丈夫です(というよりあまり気にし過ぎてもNGです)。

アクティベーションドリルは、ウォームアップ等で行いましょう。

胸椎と股関節のアクティベーションドリルの実際

上半身(胸椎)の回旋

胸椎を支点に右回旋および左回旋

私は右利きにも関わらず、左回旋の方が苦手です(可動域が狭い)。ボクシングの現役時は左フックを多用していたことが原因かもしれません。

現在は、ゴルフにおいて、テイクバック(右回旋)は得意ですが、フォロースルー(左回旋)に難があります。

下半身(股関節)の回旋

過股関節に関しては、まずは、ヒンジ運動を覚えましょう。

股関節の内外旋です。上半身は動かさず、股関節のみを動かしましょう。

キネマティックチェーン~パンチ動作

  1. スタートポジション
  2. (右)股関節の回旋(内旋)
  3. 胸椎の(左)回旋の始まり
  4. パンチの始動(肘の伸展)
  5. 胸椎の(左)回旋の終わり

*股関節の回旋時に上半身のためがあれば、また上半身の回旋時に腕のためがあれば、ストレッチショートニングサイクルが働き、パワーが増します。簡単に言うと、反動をうまく使うことです。

パワー(パンチ力)向上には、よりこちらの方が重要かもしれないですね!

ストレッチショートニングサイクル(SSC)に関する記事はこちらを参照してください。

まとめ

運動の中心点(支点・ポイント)は以下の5つ

  1. 頸椎
  2. 胸椎
  3. 腰椎
  4. 股関節
  5. 足底

このうち回旋で重要なのは、

  1. 上半身は胸椎
  2. 下半身は股関節(骨盤)

*腰椎の回旋の作用はほとんど無く、無理に回すと腰痛リスクが上がってしまうので要注意!

・ノンウエイトトレーニング種目の実際@関本登志昭
・身体運動の機能解剖@Thompson, Floyd
・運動学第2版@医歯薬出版

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編集後記

もう15年くらいになると思いますが、脊柱の動かし方に関しては、SCRフィジカルソリューションの関本登志昭先生から1から数年かけて学び、免許皆伝とまではいかないまでも、それなりのレベルには成っていると思います。

以降の指導においても、多大な恩恵を受けた、私にとっては師匠ともいえる存在です。

先生は、まだ現役でいられますので、興味にある方は是非ご教授していただくといいと思います。

私も5年程度、セミナーには行っていないので、また学んでみようかな!

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