【機能解剖学】小胸筋の機能は肩甲骨外転で正しいのか?

解剖学・生理学・運動学

小胸筋は、硬くなりやすい筋肉で、姿勢不良や胸郭出口(小胸筋)症候群の原因のひとつにもなる中々の問題児です。アスリートやヘビートレーニーでは、上肢の神経障害として悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

長く肩甲骨の外転筋として捉えてきましたが、ある本に「前鋸筋は唯一の肩甲骨外転筋」と記述があったので、改めて調べてみました。

肩甲骨運動は6つ

肩甲骨運動は基本は以下の6つ

  • 挙上
  • 下制
  • 内転(後退)
  • 外転(前進)
  • 上方回旋
  • 下方回旋

ですが、

  • 前傾
  • 後傾

を含むこともあるようです。

筋トレ働かせ方・効かせ方パーフェクト事典には、「肩甲骨の前後方向への回転運動であり、通常は肩関節の屈曲・伸展にともなう」とあります(肩屈曲⇔肩甲骨後傾, 肩伸展⇔肩甲骨前傾)。

小胸筋の起始と停止

起始と停止に関しては、どの文献でもほぼ一致しているので、ここでも

起始:第3~第5肋軟骨前面

停止:烏口突起(肩甲骨)

とします。起始は、第2~第5肋軟骨という記述も見られますが、個人差としてよさそうです。

烏口突起を肋軟骨に対して引っ張てくることになるので、確かに単純な外転運動にはならないかもしれませんね。

ちなみに支配神経は、内側および外側胸神経でテキストによりC6~C8やC7~T1、C5~T1等少しばらつきはありますが、頚髄下部と押さえておけば間違いは無いでしょう。

小胸筋の機能:肩甲骨を動かす機能を持ちます。

私の持っているテキストの記述をまとめました。最初の4テキストがメインで使用してもので、その他は現在は使用していない保存中のテキストです。かなり古いものも含まれています。

小胸筋は、胸郭の挙上により吸気の補助も行いますが、ここでは扱いません。

身体運動の機能解剖 改訂版(2006)

外転・下制・下方回旋

「前鋸筋の上方回旋と相殺し、結果として外転のみが残る」と記載されています。

私の持ってるのは、改訂版第10印刷で2006年6月30日発行です。最新は17印刷(2014年)らしいので、記載は変わっているかもしれません(多分、変わっていません)。

筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典(2013)

下制・下方回旋

小胸筋のページには「外転」の記載は無いですが、主働筋貢献度ランキングでは外転は、前鋸筋に次ぎ第2位となっています

アスリートのための解剖学(2020)

前傾

現在、最も信用している先生の一人である大山准教授の書籍には外転の記載は無いです。

機能解剖学的触診技術・上肢(2007)

前傾・下方回旋

このテキストに「前鋸筋は肩甲骨外転に関わる唯一の筋肉である」とあります。

この本も第2版がでています。買うか迷っているテキストですね。

肉単(2004)

外転・下制・下方回旋(下制・わずかに下方回旋)

小胸筋のページには外転とありますが、巻末の一覧表には記載は無いです。( )内の記述となります。

また、前鋸筋の機能は「前進・外旋・上方回旋(前進、わずかに上方回旋)」とあり、外転は用いていません。ただし、前進は外転と同義語としているようです。

肩甲骨の外旋とは???改訂版は出ているのか??

入門人体解剖学 改訂第3版(1994)

内下方に引く

さらに改訂版が出ていると思いますが、解剖学全体のテキストなので、機能解剖学・運動器としては弱いです。

よくわかる筋の機能解剖(2000)

外転・屈曲・下制・下方回旋

動きでわかる解剖と機能(2004)

起始・停止を記述した後に「筋肉の走行方向を考慮して肩甲骨の動きを考えなさい」とあり、機能の記述がありません。ノートではないはずだが、、、、革新的??

運動学 第2版(2005)

下方回旋しながら前方に引く(文章)

外転(屈曲)・下制(記述は引き下げ)・下方回旋(表)

前鋸筋の機能は上方回旋しながら前方に引くとあり、「同時働くと回旋作用が相殺され、外転力だけが残る」とあります。前方に引く力を外転力と説明しています。

柔道整復師のテキストですが、少なくとも3版は出ています。

動きの解剖学Ⅱエクササイズ編(2004)

屈曲または前屈

記述は上記になっていますが、写真を見る限りでは、外転としていいようです。

運動器の機能解剖(2004)

記述無し? そんな本あるのか??

分担 解剖学(初版はなんと昭和25年, 平成9年発行)

前下に引く

前方に引く、すなわち外転としていいのでしょうか?

Human Anatomy and Physiology 3rd Edition(1998以前の本です)

forward

私が留学していた際のテキストですが、前進すなわち外転としていいのではないでしょうか。

まとめ

研究者である大山准教授や荒川准教授のテキストに外転の記載が無いので、厳密には小胸筋は外転筋では無いのかもしれませんが、外転に近い動きを持っていることには間違いは無いです。

トレーナーレベルであれば「肩甲骨の外転」として押さえても問題は無いと思います。

引用文献:上記で紹介したテキストすべて

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