栄養学

【栄養学】タンパク質の基礎知識①~栄養素の王様、タンパク質の分類と構成

2021年2月8日

3大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の1つであるタンパク質、筋肉合成のための最重要栄養素で、悪役になりがちな糖質や脂質とは違い、神様あつかいされる栄養素の王者です。その王者「タンパク質」の基礎知識を整理しましょう。

タンパク質の構成

タンパク質の最小単位はアミノ酸です。アミノ酸の数により以下のように分類します。

  • アミノ酸(1個)
  • ペプチド(2~49個)
  • タンパク質(50個~)

アミノ酸が同化すると、ペプチド、さらにはタンパク質となり(アミノ酸→ペプチド→タンパク質)、タンパク質が異化するとペプチドさらにはアミノ酸となります(タンパク質→ペプチド→アミノ酸)。

アミノ酸

タンパク質の最小単位はアミノ酸で、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)のほかに窒素(N)が必ず含まれます。種類によっては、硫黄(S)も含まれます。

構造は、炭素(C)に、水素・アミノ基(NH2-)・カルボキシル基(-COOH)・ 側鎖(-R)が結合します。側鎖によりアミノ酸が決まります(側鎖が水素(H-)ならグリシン、メチル基(CH3-)ならアラニン、、、)。

出典:wikipedia

ペプチド

アミノ酸が2~49個(79個や99個というテキストもあります)ペプチド結合(アミノ酸の脱水)したものをぺプチドといいます。大きく分けて以下の2つに分類されます。

  • オリゴペプチド(アミノ酸が2~9個ペプチド結合)
  • ポリペプチド(アミノ酸が10~49個ペプチド結合)

オリゴペプチド

「oligo-は少ない」を意味し、アミノ酸が2~9個ペプチド結合したものです。さらに

  • ジペプチド(di-peptide):アミノ酸が2個結合したもので、di-は2を意味します。
  • トリペプチド(tri-peptide):アミノ酸が3個結合したもので、tri-は3を意味します。
  • 以下、テトラ(tetra-4), ペンタ(penta-5), ヘキサ(hexi-6)ペプチドといいます。

数字に関する記事はこちら

ポリペプチド

「poly-は多い」を意味し、アミノ酸が10個~49個ペプチド結合したものです。50以上結合したものがタンパク質となります。

タンパク質の分類

分類に関してはさら~っといきます。

  • 組成による分類
  • 機能による分類

組成による分類

組成による分類は以下ですが、詳細は割愛します。

  • 単純タンパク質(アルブミン、グロブリン等)→組成がアミノ酸のみのタンパク質
  • 複合たんぱく質(糖タンパク質、リポタンパク質等)→アミノ酸以外の糖質・脂質・ミネラル等と結合しているタンパク質

機能による分類

各タンパク質の代表的なものを覚えておきましょう。

  • 酵素タンパク質
  • 輸送タンパク質
  • 貯蔵タンパク質
  • 貯蔵タンパク質
  • 情報タンパク質
  • 防御タンパク質
  • 収縮タンパク質

酵素タンパク質

触媒となる酵素です。名称の最後に「アーゼ(-ase)」が付きます。

輸送タンパク質

酸素を運ぶヘモグロビンや脂質の輸送体であるリポたんぱく質等です。

貯蔵タンパク質

ミオグロビンを押さえておきましょう。

構造タンパク質

爪や毛髪のケラチンや結合組織・骨・歯のコラーゲン等です。

調節タンパク質

ホルモンや受容体のことです。

防御タンパク質

抗体の免疫グロブリン、血液凝固に必要なフィブリノーゲンやトロンビン等です。

収縮タンパク質

我々にとって最も重要なたんぱく質は、最後の収縮タンパク質です。ミオシンとアクチンを指し、これが筋肉の最小単位です。

収縮タンパク質は、人体には約10万種類ありますが、その基は20種類のアミノ酸です(次回以降にまとめます)。

タンパク質の機能と特徴

上記の分類から、タンパク質の役割が見えてきます。主な役割は以下の通り

  1. 筋肉(骨格筋)や臓器(平滑筋)の構成要素となる
  2. エネルギー源になる(4kcal/g)。
  3. 酵素、ホルモン、免疫抗体、コラーゲン等の原料となる(上記、分類を参照)。
  4. DIT(食事誘発性熱産生)も高い(30%程度)。

摂取量と摂取比率

ではどれくらい摂取すればいいのでしょう。一般的には体重1kgあたり1g、アスリートや肉体労働者は2g程度必要でしょう。不可欠な栄養素ですが、糖質・脂質に比べると不足しやすい栄養素です。積極的に摂取したい栄養素です。摂取比率(PFC比)は、総カロリーの10~20%にするのが妥当です。

*体重1kgあたり1g程度なら3食の食事で摂取できるかもしれませんが、2g以上になると、食事のみでは相当気をつけないと不足してしまう可能性が高いので、サプリメントが必要になってくるかもしれません。

不足

筋量減少に伴う

  • 体力低下
  • 免疫力低下
  • 発達障害
  • サルコペニア(加齢に伴う筋量減少)による傷害リスクの増大(転倒等)

過剰摂取

  • 体脂肪として蓄積(過剰なサプリメント使用以外は稀)
  • 腎臓の負担増加(尿として排泄)
  • 肝臓の負担増加(代謝のため)

引用・参考
・基礎栄養学第4版@田地陽一
・生化学第3版@薗田勝
・栄養の基本がわかる図解事典@中村丁次(監修)
・アスリートのための最新栄養学(上)@山本義徳
・パーソナルトレーナーのための基礎知識@NSCA Japan
・スポーツ栄養学@鈴木志保子

イラストはイラストACのよねぼー,milkteaさん

-栄養学
-,

© 2024 S&Cコーチ長澤誠浩オフィシャルブログ~Go the Distance! Powered by AFFINGER5