スポーツ傷害 機能解剖学

【機能解剖学各論】足関節の主要6靭帯

2020年9月13日

関節構成体のひとつである靭帯(Ligament)は、骨と骨とをつなぎ関節に安定性をもたらす軟部組織で、静的支持帯とも言われます(筋肉は動的支持帯)。主成分はコラーゲン線維(Ⅰ型)です。

靭帯は骨と骨を繋ぐので、靭帯名はそのまま骨名が使用されることが多いです。原則的に大きな骨が前に来るようです。

今回は、足の主要靭帯をまとめたいと思います。

足関節の主要靭帯

まず覚えるべき足関節の主要靭帯は、以下の6つ

  1. 前距腓靭帯(ATFL)
  2. 踵腓靭帯(CFL)
  3. 後距腓靭帯(PCL)
  4. 前脛腓靭帯
  5. 後脛腓靭帯
  6. 三角靭帯

外側側副靭帯(LCL):1~3の3靭帯(ATFL, CFL, PTFL)は特に重要

ATFL, CFL, PTFLの3靭帯は外側側副靭帯で、足関節の内反制限が主目的です。

外果を起始とし、ATFLは距骨の外側前部(距骨頚外側)に、CFLは踵骨外側部、PTFLは距骨の外側後部(距骨後突起外側結節)に停止します。

ATFLは内反制限のほかに距骨前方移動、PTFLは距骨後方移動を制限する役割も持っています。

内反捻挫で損傷する主靭帯で、特にATFLは痛めやすい靭帯です。

脛腓靭帯は、脛骨と腓骨を繋ぐ靭帯で、上の3靭帯の上部に位置します。脛骨と腓骨の安定が主な役割ですが、内反により損傷することもあるようです。上足関節と表記する文献(トレーナーズバイブル改訂版)もあります。

下記の英語および略語は覚えておくと役に立ちます。

前距腓靭帯(ATFL)Anterior TaloFibular Ligament
踵腓靭帯(CFL)CalcanioFibular Ligament
後距腓靭帯(PFTL)Posterior TaloFibular Ligament
前脛腓靭帯Anterior TibioFibular Ligament
後脛腓靭帯Posterior TibioFibular Ligament
前方Anterior
後方Posterior
脛骨Tibia
腓骨Fibula
距骨Talus
踵骨Calcaneus

内側側副靭帯(MCL)・三角靭帯(Deltoid Ligament)は、以下の4つの靭帯の総称

三角靭帯は、内側側副靭帯で外反制限の役割を担います。外側靭帯よりも強力で外反捻挫は内反捻挫よりも起こりにくいです。ストレングスメインのトレーナーであれば三角靭帯で十分ですが、以下の4つの靭帯の総称になります。

  1. 前脛距靭帯
  2. 脛舟靭帯
  3. 脛踵靭帯
  4. 後脛距靭帯

三角靭帯は内果から始まり、下方へ三角形に分散します。

前脛距靭帯は距骨頚内側、脛舟靭帯は舟状骨粗面のやや上方、脛踵靭帯は内果より真っすぐ下の載距突起、後脛距靭帯は距骨後突起内側結節に停止します(まずは、骨と付着部の位置を把握しましょう)。

程度が同じの場合、外側靭帯に比べ治癒に約2倍の時間がかかるようです。

前脛距靭帯Anterior TibioTalar L
脛舟靭帯TibioNavicular L
脛踵靭帯TibioCalcanean L
後脛距靭帯Posterior TibioTalar L
舟状骨Navicular

参考:足の骨と関節

参考・引用
・骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典@岡田隆
・骨単@河合良訓(監修)
・身体運動の機能解剖@Thompson/Floyd
・運動療法のための機能解剖学的触診技術(下肢・体幹編)@林典雄
・ストレングストレーニング&コンディショニング第4版@NSCA JAPAN
・トレーナーズバイブル改訂版@アーンハイム

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