ウエイトトレーニング 機能解剖学

【腹筋群】ツイスティングクランチの機能解剖学的観点から考察する正しいやり方

2020年8月29日

以前、上体起こし運動(主働筋:腹直筋および腸腰筋)として、クランチとシットアップを紹介しましたが、今回は腹斜筋群を主働筋とするツイスティングクランチを考えていきましょう。

まずは、「機能解剖学の基礎」を押さえてください。

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クランチとシットアップのメカニズムと効果

ツイスティングクランチは代表的な腹斜筋群のトレーニングで、ダイアゴナル(diagonal:対角や斜めを意味する)やスパイラル(spiral: らせんを意味する)、オブリーク(oblique: 腹斜筋を意味する)クランチなどの言葉を使用する場合もあります。メイン動作は「腰椎(正確には脊椎または胸椎)回旋」です。*腰椎自体の回旋機能は非常に小さい。

ツイスティングクランチの運動パターンを考えてみましょう。

パターン1. よく見るタイプの運動

クランチ右回旋左回旋

ひねり系の腹筋運動をする際に、よく見るのはクランチをしてから左右の回旋運動をするタイプです(図参照)。

この運動が悪いと言う訳ではないのですが、クランチは、腰椎屈曲運動なので主働筋は腹直筋となり、必ずしも腹斜筋群に最適な運動ではありません。当然ながら、協働筋としての効果はあります。

さらにこの運動での回旋は水平なので腹斜筋群の走行とは、マッチしていません。

まとめると

クランチ(主働筋:腹直筋)→水平レベルの回旋運動(腹斜筋の筋の走行とはズレている)

パターン2. 腹斜筋群に特化した運動

  

一方、腹斜筋群に特化した運動にするのであれば、腹斜筋の筋線維の走行(左図の赤斜線→右外腹斜筋, 黄斜線→左内腹斜筋)に動かした方が効果は高まるはずです(右図の黄緑線→運動の方向)。

左図のように脊柱を右回旋した状態(右外腹斜筋および左内腹斜筋をストレッチした状態)から、腹斜筋群の筋線維に沿って左回旋する。この場合は、右外腹斜筋と左内腹斜筋を使用・収縮しています(左外腹斜筋と右内腹斜筋はストレッチされています)。

このタイプの運動の場合、パターン1の運動みたいに左右の回旋を一緒に行うのは難しくなり、その分、片側の筋群を追い込むことができます。

どちらの運動が正しいのか?

結論から言うとどちらも正解(間違いでは無い)です。

腹斜筋群に特化して、トレーニングするのであれば後者(パターン2)の方がより効果は高い可能性があります。しかし、回旋運動は必ずしも後者のやり方だけではないはずです。

野球のスイングであれば、レベル(水平)スイングなので、むしろ前者(パターン1)の方がいいかもしれません(さらに言えば、立位でのメディシンボールを利用したロシアンツイスト(脊椎・胸椎の水平位での回旋運動)。

目的に応じてピリオダイズ(プログラミング)してみてください。

私なら、後者パターンをスタンダード種目として腹斜筋群を強化し、必要に応じて(野球等水平回旋運動のある競技等)水平レベルの回旋運動に切り替えます(または追加します)。

まとめ

代表的な腹斜筋群運動(ツイスティングクランチ)の2パターン。

  • クランチをしてから左右回旋運動をするパターン⇒腹筋群を全体に強化することができるが、腹斜筋に対して最大の効果は無い。競技動作に特化している可能性がある。
  • 腹斜筋群の筋走行に沿ったパターン⇒腹斜筋の強化には最適であるが、左右別々に鍛える必要があり、時間がかかるデメリットがある(シングル種目と同じ)。競技によっては特異的な運動では無い。

参考・引用
・筋トレまるわかり大辞典, トレーニングのホントを知りたい@谷本道哉
・筋肉の使い方・鍛え方パーフェクト事典@荒川裕志
・筋トレエクササイズ事典@有賀誠司
・トレーニングメソッド@石井直方
・ウエイトトレーニング実践編@山本義徳

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