【機能解剖学】インナーマッスルはスタビリティ・アウターマッスルはモビリティ?

解剖学・生理学・運動学

筋肉の分類に関して、インナーマッスルはスタビリティ(安定)、アウターマッスルはモビリティ(可動)という考えが一般的であるが、果たしてそうなのかを考えましょう。

結論から言うと、そもそもインナーマッスルとスタビティマッスルはカテゴリーが違います。ということで

インナー=スタビリティ、アウター=モビリティは成り立ちません

ここでは筋肉の分類を「解剖学的分類」と「機能的分類」の2つに分けて考えます。

解剖学的(構造的・階層的)分類

解剖学的分類は、構造的または階層的な分類で、以下の2つに分類されます。

  • インナーマッスル(inner muscle)
  • アウターマッスル(outer muscle)

インナーマッスルを直訳すると「深層筋」となります。インナーやインナーマッスル自体も日本語的に理解されているので、説明不明でしょうかね。

石井直方先生は著書で「体の内部にあり、直接触れることができない筋肉」と定義付けています。具体的には、肩のインナーマッスル(これがインナーマッスルの走りだと思います)であるローテーターカフ(rotator cuff)や腹筋群の最深層に付着している「腹横筋」あたりです。

一方、アウターマッスルは「表層筋」とか「浅層筋」と訳されると思います。テキストには明記されていませんが「体の表面にあり、直接触れることのできる筋肉」と言えるでしょう。例を挙げると、大胸筋や三角筋、広背筋、大殿筋等、超有名筋肉群です。

機能的分類

機能的分類は、筋の機能または役割による分類で、以下の2種類になります。

  • モビリティマッスル(mobility muscle)
  • スタビリティマッスル(stability muscle)

モビリティマッスルは、直訳すると「可動筋」。起始と停止が近づけば運動になるのでわかりやすいと思います。「屈曲・伸展」「内転・外転」「内旋・外旋」等の作用を持つ筋群です。一部の特殊な筋肉(腹横筋等)以外は、ほぼこの機能は持っています。「mobil」は可動を表す英語ですので、そのままですね。

一方、スタビリティマッスルは「安定筋」とでも訳しましょうか。「安定筋」自体は、あまり使用されない用語だとは思いますが、意味は分かりやすいはずです。安定とは「関節の安定」を意味します。正しい位置に関節を配置するのに必要な筋肉です

インナー=スタビリティ, アウター=モビリティと言う考え方

通常、インナーマッスルは、モーメントアーム(筋長)も短く関節軸(図の青線)付近に付着しているものが多く(赤線)、関節自体を動かすことよりも、関節軸を安定させ、骨頭や関節窩を適切な位置に持ってくることを得意とする筋肉です。このことからインナー=スタビリティと言う公式が成り立ったのかもしれません。しかし、インナーマッスルは、関節の安定を得意とするが、動かすことができない筋肉ではありません。

例えば、肩のローテーターカフはすべて上腕骨骨頭(大結節および小結節)に付着、言い換えると上腕骨の関節軸付近に付着しています。骨頭を肩甲骨関節窩に適切な位置の配置するのが主目的となります。しかし、ローテーターカフと言うくらいですから、回旋の機能を持っています。モビリティの役割も持っているということです。

反対に、三角筋は肩の外転を主にする強力なモビリティマッスルですが、肩を外側から安定させる目的も少しはあると思います。

インナーマッスルは、スタビリティが得意ではあるが、モビリティの機能も持ち、アウターマッスルはモビリティがメインの筋肉ではあるが、スタビリティも役割も持っていることになります。

インナー=スタビリティ、アウター=モビリティではなく、ニアリーイコール(nearly equal, ≒)とした方がいいと思います。

インナーマッスルと思われているローテーターカフのひとつ「棘下筋」は触診ができる「アウターマッスル」です。ただし、得意なのは「スタビリティ」です。

腸腰筋は股関節屈曲の機能を持つ強力な「モビリティマッスル」ですが、触診ができない「インナーマッスル」です。

まとめ

インナーマッスルおよびアウターマッスルは、あくまでも構造的(階層的)な分類で、モビリティとスタビリティの機能を持ち、

一方、モビリティマッスルおよびスタビリティマッスルは機能上の分類で、モビリティマッスルのメインはアウターマッスルながらインナーマッスルの機能も持ち、スタビリティマッスルのメインはインナーマッスルながらアウターマッスルもその機能を持つということです。

これらはそもそものカテゴリーが違うので、イコール(=)で結ぶことはできません。
ただし、インナーマッスルは靭帯に近い位置にあるので、関節を安定させるstabirityの役割は非常に強いと思います。

引用・参考
・筋肉まるわかり事典1, 2@石井直方
・筋トレまるわかり事典, トレーニングのホントが知りたい@谷本道哉
・コーチングクリニック2014年9,10月号「インナーマッスルの意味」

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