機能解剖学

【初心者向け】最初に読むべき機能解剖学テキスト3選+α

2020年5月28日

どのタイプのトレーナーであれ、最初に学ぶべき学問の一つが機能解剖学であることに間違いは無いと思います。では、どのテキストをベースにして勉強していくべきか? 推薦書3冊およびプラスα(書籍化されたので4選です)を紹介します。

  1. 身体運動の機能解剖学改訂版
  2. しくみ・はたらきパーフェクト事典(骨・関節編, 筋肉編)
  3. 骨単・肉単
  4. アスリートのための解剖学

身体機能の機能解剖学 改訂版

Clem W. Thompson Ph.D., W.T. Floyd Ed. D., ATC, CSCS 著
中村千秋MPE, ATC, 竹内真希ATC 監訳
医道の日本社出版
定価:¥4,490, 全296ページ

定番中の定番で持っている方も多いと思います。大学や専門学校でのテキストでも多く用いられ、私も専門学校で教鞭をとっていた際に使用していました。現在での弊社セミナーのメインテキストでもあります。

1997年に初版が出版され、2002年に現在の改訂版になっています。私の持っているのは、2006年6月の10刷ですが、細かいところに間違いがあります。私の知る限りでは、2014年に17刷が出ています。ボロボロなのでそろそろ買い替えるか思案中です。

テキスト内の図は写真では無く絵ですが、非常に見やすいです。筋肉全体が出ている図と起始・停止にフォーカスしている図に分かれています。

構成としては、起始・停止、機能、触診、神経支配とトレーニング法とストレッチング法が説明されています。トレーニングとストレッチング法に関しては、ざっくりと言った感じなので、そこは専門書に譲りましょう。筋肉名や運動等基礎用語の英語表記は有りますが、骨の英語表記は有りません。

全12章からなり、第1章が「基礎」、当たり前の部分ですが、ここを押さえておかないと機能解剖学は始まりません。基礎に関しては、このテキストは秀逸です。以下が各論

  • 2章「肩甲骨」
  • 3章「肩関節」
  • 4章「肘関節と橈尺関節」
  • 5章「手関節と手」
  • 7章「股関節と骨盤帯」
  • 8章「膝関節」
  • 9章「足関節と足」
  • 10章「体幹と脊柱」

6章と11章は「動きの分析」で、6章が上肢・11章が下肢のトレーニングの解説ですが、先にも書いたようにトレーニングの専門書では無いのでここは弱い章です。

12章は「バイオメカニクス」ですが、「てこ」と「運動の法則」以外の記載は無いので、この章も基礎のみであり専門的ではありません。

「機能解剖学の基礎」はこちら

身体運動の機能解剖学の第1章を解説しています。

骨・関節・筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典

3選と言いながら、以下の2冊は姉妹本で、テーマが「骨・関節」と「筋肉」に分けれていて、この2つのテーマが合わさって機能解剖学と言えるので1冊扱いとしました。

この2冊は、独学から入る人が手にする最初の本になる可能性が高く、この本も定番と言っていいでしょう。価格が1,500円程度なので、2冊でもその他の本よりも安く、コストパフォーマンスは最強レベルです!信頼性の高い数値を折り込み、CGを駆使したグラフィックは素晴らしい。

著者は、「骨・関節」は岡田隆先生、「筋肉」は荒川裕志先生と、日本で一番筋肉に詳しい東京大学の石井直方先生の研究室出身で、筋肉体操でおなじみの谷本道哉先生を加えた3名は、私が最も信頼する研究者の方々です。著書も何冊も読みました。谷本氏と荒川氏は愛読書「トレーニングマガジン」でも連載コラムを執筆しており、メイントピックよりもそれらコラムが目的で継続して読んでいます。

骨・関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典

岡田隆著, 石井直方監修, ナツメ社
定価:¥1,600+税, 全207ページ 2013年初版

構成は、全4章であるが、各重要用語の説明がわかりやすく、すべてに英語も合わせて掲載されているのはうれしい限りです。

  • 序章:基礎(骨の構造・分類・部位名および関節の構造・分類・動き)
  • 1章:上肢の骨と関節
  • 2章:体幹の骨と関節
  • 3章:下肢の骨と関節
  • 4章:頭部の骨と関節

筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典

荒川裕志著, 石井直方監修, ナツメ社
定価:¥1,500+税, 271ページ 2012年初版

構成は全9章、この本も各重要用語の説明がわかりやすく、すべてに英語も合わせて掲載されています。関節運動の貢献度や筋体積等の数値がふんだんに入っているので、数字好きにはたまりませんね。

  • 序章:基礎(筋肉の構造、筋収縮様式、筋線維のタイプ)
  • 1章:肩関節の筋
  • 2章:肩甲骨の筋
  • 3章:肘関節の筋
  • 4章:手関節・手指の筋
  • 5章:股関節の筋
  • 6章:膝関節の筋
  • 7章:足関節・足趾の筋
  • 8章:体幹・頚部の筋
  • 9章:頭部の筋

骨単・肉単

この2冊も姉妹本なので1冊扱いとしました。初版は2004年で、当時話題になった本です。語源やうんちくたくさん盛り込まれており、読み物としては面白いですが、著者がイラストレーターで専門家ではありません(監修は大学教授ですが、あくまでも監修なのでどこまでチェックが入ったかは定かではありません)。そのせいか間違いや??と言う箇所がみられます。私の本は古いので、改訂版が出ていれば、訂正されているかもしれません。

各用語和名ページとすぐ次のページには英語での説明があるのはありがたいですね。

ハンディタイプなので、持ち歩くには、いいかもしれません(電子書籍の台頭でこの部分も強みではなくなりつつあるか、、)。メインとしてはやや弱いですが、セカンド本として活用するといいと思います。

骨単

原島広至 文・イラスト, 河合良訓監修
124ページ+索引10ページ
定価:¥2,600+税

  • 1章:骨格・頭蓋
  • 2章:脊柱・胸郭
  • 3章:上肢
  • 4章:下肢
  • 5章:関節・軟骨
  • 6章:付録

肉単

原島広至 文・イラスト, 河合良訓監修
134ページ+索引12ページ
定価:¥2,600+税

  • 1章:概観・頭頚部の筋
  • 2章:体幹の筋
  • 3章:上肢の筋
  • 4章:下肢の筋
  • 5章:関節・靭帯
  • 6章:その他

GTK現場で使える機能解剖学⇒アスリートのための解剖学

もう1冊紹介しておきたいテキストがあります。正確にはテキストではなく日本トレーニング指導者協会機関紙「JATI EXPFRESS」に連載中のコラムです。

2020年6月「アスリートのための解剖学」として書籍化されました(初心者向けでは無いかもしれれません、、、)。

筑波大学の大山圭吾先生の「GTK現場で使える機能解剖学」はお薦めです。2014年12月号(Vol.44)から連載し、いまだ継続中(Vol75. 28回)。私自身が疑問に思っていたことがズバリ書かれていることが多く、現在、再編集して出版してほしいコラムで1,2を争います(上記、谷本先生のトレーニングマガジンのコラムと双璧)。JATI会員さんは必ず読んでいただきたいです。

今までに、

基礎2回、肩のインナーマッスル2回、内転筋4回、足4回、腸腰筋4回、肩関節・肩甲骨2回、ハムストリング3回、手1回他、最近は1回で完結するものが多く、概論的になっています。

その他

今回、挙げたテキストはあくまでも初心者向けとしています(もちろん、初心者以外の方も使用できるテキストです)。

実際、私自身はこのほかに「運動療法のための機能解剖学的触診技術」を使用しています。わからないことがあったら、上記の本以外にこのテキストも使用して調べます。第2版が出ているので買うかどうか迷っています。

一部の方に、非常に人気のある「アナトミートレイン」も面白い本だとは思いますが、まだ筋膜に関してはわからないことも多く(私自身の知識が乏しいこともある)、すべてを鵜呑みにするのはいささか不安があります。

まとめ

初心者向けのお薦めテキスト6冊(特に肉単・骨単以外の4冊は超お薦めです)

  • 身体運動の機能解剖学
  • 骨・関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典
  • 筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典
  • 肉単
  • 骨単
  • アスリートのための解剖学

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