機能解剖学の基礎の6回目、今回はレジメの7, 筋肉に関する用語についての話です。
第1回目機能解剖学レジメ
【最重要】5つの筋肉用語
まず、覚える必要があるのは、以下の5つの用語です。
- 起始(origin)
- 停止(insertion)
- 主働筋(agonist)
- 拮抗筋(antagonist)
- 協働筋(synergist)
起始と停止
筋肉は腱を介して骨に付着していますが、その2つの付着点が起始と停止。機能解剖学を考えるうえで最も重要なことです。
起始は、筋の2つの付着点のひとつで、基本的には近位側、または関節としてあまり動かない方の付着点とすることもあります。言い換えると、近位側はあまり動かない場所にあることが多い。
停止は、もうひとつの付着点で、基本的には遠位側、または関節としてよく動く方の付着点とすることもあります。同じように、遠位側はよく動く場所にあることが多い。
実は、起始と停止は最重要と言いながら、起始と停止は逆に覚えても特に問題はありません(我々、現場のトレーナーにとっては)。重要なのは、2つの付着点です。
そのどちらを起始と言おうが、停止と言おうが問題は無く、現にテキストによって起始と停止が逆になっている場合も少なくありません。私の使用している「身体運動の機能解剖・改訂版」では、「初版」の腹直筋の起始と停止は入れ替わっています。
2つの付着点の位置はしっかり押さえておかなければなりません。むしろ、起始・停止の名前だけを暗記するよりも、名前は憶えていなくても位置を捉えている方が数倍価値があります。
骨の「前なのか、後なのか」、「上なのか、下なのか」、「内側なのか、外側なのか」。これにより筋肉の機能(作用)が見えてきます。
簡単に言えば、起始と停止が近づけば「運動・トレーニング」であり、離れれば「ストレッチング」です。特にストレッチングには画像メインのテキストは不要で、機能解剖学の知識があれば十分に対応ができます。もちろん、強さ等には経験が必要ですが。
主働筋・拮抗筋・共同筋
これらの話の前に、筋肉の役割と言うか、自発的にできることは「収縮する」のみと言うことは知っておく必要があります。よく「伸縮する」と言われるますが、自発的にできるのは「収縮」のみで、「伸張」は「する」のではなく「される」と受け身になります。
主働筋は、筋収縮する際に、関節または骨を動かすメインの筋肉のことであり、協働筋は、主働筋をアシストする筋肉のことです。
一方、拮抗筋は、主働筋が収縮した際に「伸張される」反対側の筋肉のことで、通常ストレッチされていることになります。この二つの関係を「相反」と言います。
例えば、肘の屈曲が起こるときの、主働筋が上腕二頭筋、協働筋が上腕筋(限りなく主働筋に近いが力の強さから協働筋とする)。反対に上腕三頭筋は伸張されるので拮抗筋となります。
逆に、肘の伸展では、上腕三頭筋が主働筋、肘筋が協働筋、上腕二頭筋および上腕筋は拮抗筋になります。
出典:http://blog.livedoor.jp/sports_performance/archives/1460118.html
ちなみに「協働筋」はこの漢字を使用したが「共同」「協同」「共働」でもOK。「協・共」「同・動・働」の組み合わせであればどのパターンも間違いではない(解剖学は結構、統一されていない用語は多い)。私は個人的に「協力して働く筋肉」が好きです。
「固定筋」「中立筋」「内在筋」「外在筋」等もあるが少し難しいので、後々ということで。
筋肉用語のまとめ
起始 | origin |
停止 | insertion |
主働筋 | agonist |
拮抗筋 | antagonist |
協働筋 | synergist |
・身体運動の機能解剖@Thompson/Floyd
・骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典@岡田隆
・筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典@荒川裕志
・運動療法のための機能解剖学的触診技術(上肢編)@林典雄
・骨単・肉単@河合良訓(監修)
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