機能解剖学の基礎の5回目、今回はレジメの6, 関節運動(part2)についての話です。
第1回目機能解剖学レジメ
前回は、基本の6運動だけに話になりましたが、その続きです。
足関節の関節運動
足関節の関節運動は下記の4つ、
- 底屈(plantar flexion)
- 背屈(dorsi-flexion)
- 内返し・内反(inversion)
- 外返し・外反(eversion)
「底屈は、脛骨とつま先が遠くなる動き」で、一見足関節を伸ばす(伸展)運動に見えますが、解剖学では屈曲です。これはトレーナーの方々も間違っていることも多く、トリプルエクステンションからくるものと予想されます(実は私もその一人)。トリプルエクステンションに関してはこちらを参照。
「背屈は、脛骨とつま先が近づく動き」で、一見足関節の屈曲運動に見えますが、解剖学では伸展です。足趾の伸展と膝の伸展の連動から考えるか、手関節の背屈は、伸展と言うことは容易にわかるので、足関節の背屈も伸展となります。底屈は逆に考えれば良い。
底屈の英語は「plantar flexion」、「plantar」は「足底」なので、足底方向に屈曲するとなる。背屈は、「dorsi flexion」、「dorsi」は背中を表すので、背屈。
内返しはあまりなじみのない言葉ですが、内反と同義語でいいと思います。定義は「足底を内側に向ける運動」、「外返しは足底を外側に向ける運動」。
日本リハビリテーション協会によると、厳密には運動用語は「内返し・外返し」で、「内反・外反」は病的な状態を表すとのことですが、むしろ運動としても「内反・外反」の方が、メジャーな用語となっています。足の用語は複雑なので、「回内・回外」も含めて、いずれ整理します。参照:内返し・外返し・内反・外反・回内・回外のまとめ
手関節の関節運動
手関節の関節運動は下記の4つ、
- 掌屈(palmar flexion)
- 背屈(dorsi-flexion)
- 撓屈(raduial flexion)
- 尺屈(ulner flexion)
「掌屈は手関節が掌(手の平)側に曲がること」で基本用語では屈曲、「背屈は手関節が背(手の甲)側に曲がること」で伸展です。これは容易に理解できるはず!
「撓屈は手関節の前額面上の運動」で、橈骨に向かって側屈すること(外転)、「尺屈は手関節の前額面上の運動」で、尺骨に向かって側屈すること(内転)になりますね。
掌屈は英語で「palmar flexion」、palmar は掌である。背屈は足関節と同じ。橈骨は「radial flexion」橈骨は「radius」である。尺屈は「ulnar flexion」、尺骨は「ulna」である。
橈尺関節の関節運動
橈尺関節の関節運動は下記の2つ、
- 回内(pronation)
- 回外(supination)
回内と回内は回旋運動で、回内は内旋に、回外は外旋にあたるますが、橈尺関節のみに使用される用語です。前腕(橈尺関節)を長軸にする回旋運動となります。
これらの用語は、トレーニングのグリップとしてもそのまま使用され(回内グリップ, 回外グリップ)、NSCAの試験でも出てくるので英語も含めて覚えておくと役に立ちます。
まとめ
下記に、各関節の運動用語の和名と英名を記します。
足関節 | ankle joint |
底屈 | plantar flexion |
背屈 | dorsi-flexion |
内返し・内反 | inversion |
外返し・外反 | eversion |
手関節 | wrist joint |
掌屈 | palmar flexion |
撓屈 | radial flexion |
尺屈 | ulnar flexion |
撓尺関節 | radio-ulnar joint |
回内 | pronation |
回外 | supination |
・身体運動の機能解剖@Thompson/Floyd
・骨と関節のしくみ・はたらきパーフェクト事典@岡田隆
・筋肉のしくみ・はたらきパーフェクト事典@荒川裕志
・運動療法のための機能解剖学的触診技術(上肢編)@林典雄
・骨単・肉単@河合良訓(監修)
フィジックスコンディショニングジム
より詳細を知りたければフィジックスコンディショニングジムの超入門セミナーをご検討ください。