フリーウエイトのジムにおいて、騒音と共に問題になるのが振動です。特にデッドリフトやクイックリフトの振動はプラットフォーム上であっても相当なものになります(プラットフォームが無ければ床に置くことさえ困難ですが、、、)。前回の騒音に続き、振動レベルについてまとめました。
マイクロジムの問題点である振動に関するまとめ
振動は騒音同様、dB(デシベル)で表わされ、レベルは下記表の通り。
振動の大きさdB(デシベル) | 震度 | 程度 |
110 | 震度7 | 揺れに翻弄され、自分の意思で行動できない。 |
108 | 震度6強 | 立っていることができない。這う必要がある。 |
105 | 震度6弱 | 立っていることが困難になる。 |
100 | 震度5強 | 多くの人が行動に支障を感じる。棚にある食器類が落ちる。 |
95 | 震度5弱 | 一部の人が行動に支障を感じる。吊り下げ物が激しく揺れる。 |
85 | 震度4 | 眠っている人の殆どが目を覚ます。棚内の食器類が音を立てる。 |
75 | 震度3 | 屋内にいる人の殆どが揺れを感じ、ブルドーザ5mレベル。 |
65 | 震度2 | 屋内にいる人の多くが揺れを感じる。電灯などの吊り下げ物がわずかに揺れる。アースドリル, 機械プレス(5m) |
55 | 震度1 | 屋内にいる人の一部が、わずかに揺れを感じる。 |
45 | 震度0 | 人は揺れを感じない。一般の道路。 |
出典:岐阜市HP資料:http://www.city.gifu.lg.jp/secure/6589/sindkiso.pdf
減退の意味と種類~距離減退の意味を知る
「振動の大きさは、遠くへ伝わっていく間にだんだん小さくなる」これを「距離減衰」といいます。
一般に、振動の発生源(振動源)から受振点までの距離が 100m 以内の場合は、表面波と実体波の複合波とし、近距離(20~30m)は表面波の減衰量に近似します。
表面波
受振点(m) | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 | 50 |
減衰量(dB) | 3 | 6 | 9 | 12 | 15 | 17 |
実体波
受振点(m) | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 | 50 |
減衰量(dB) | 6 | 12 | 18 | 24 | 30 | 34 |
複合波
受振点(m) | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 | 50 |
減衰量(dB) | 5 | 9 | 14 | 18 | 23 | 25 |
出典:岐阜市HP資料:http://www.city.gifu.lg.jp/secure/6589/sindkiso.pdf
また、土質, 地層, 地下水, 振動数, 振動, 方向, 障害物などの状況により振動の大きさは変化します。
土質による減衰
土質の減衰定数は一般に 0.01~0.04 の範囲にあり、平均的には振動源から受振点までの距離が 40m 以内の場合は 0.025、それより遠い距離では0.02 とされます。
周波数による減衰
高い周波数ほど早く減衰し、また伝わる速度が大きい地盤(固い地盤)ほど減衰量が小さい。なお、地盤は固有の周期の振動を持っています。この振動数に近い振動数を持つ振動が加わると共振することにより、距離による減衰量が小さくなります。
木造二階建ての場合、2 階は 1 階より 4~5dB大きくなる。
障害物による減衰
主要な振動は、地表に沿って伝わると考えられるため、溝のようなもので遮断する(防振溝)、塀のようなものを地中に埋め込んで遮断する(防振塀)ことにより振動を小さくすることができます。しかし、振動の波長が長いほど、溝の深さや塀の厚さを大きくする必要があり、一般に振動の周波数は低いので(波長が長い)実用的ではありません。
弊社ジムのウエイトリフティング用プラットフォームには防振工事が施されています(プラットフォーム下を掘っています)。
その他の減衰
機械等の振動源からの振動を制御して減衰させるものとして、ゴム、ばね、フェルトなどの振動絶縁材料と制振鋼板、アスファルトシートなどの振動吸収材料があります。
弊社ジムのウエイトリフティング用プラットフォームには、防振防音用ゴムを1枚追加しています。
振動源の制御と減衰量
制御の方法 | 減衰量(dB) | 内 容 |
加振力の低減 | 0~20 | 加振力そのものの低下(機械改良) |
基礎の防振 | 0~5 | ダンピング |
弾性支持 | 15~30 | 動吸振 |
0~3 | 機械基礎の厚さ・重量等増 | |
0~6 | ゴム板やパットを敷く | |
5~25 | 板ばね, 皿ばね, コイルばね, 空気ばね, ゴムばねによる防振 |
出典:環境庁「振動規制技術マニュアル」