ウエイトトレーニング

【ウエイトトレーニング】ルーマニアンデッドリフトとスティッフレッグドデッドリフト

2018年11月26日

ヒップヒンジは、股関節の屈曲・伸展運動のことであり、トレーニングにおいて重要です。ヒンジ(Hinge)は蝶番を意味します。

ヒップヒンジの代表的なエクササイズであるルーマニアンデッドリフト(RDL)とスティッフレッグドデッドリフト(SLDL)は非常に似ていますが、果たしてその差は何なのかを考えたいと思います。

有賀誠司教授(東海大学)の見解

私自身は、大恩ある東海大学有賀誠司教授より、今で言うRDL(膝を軽く曲げ、その状態を固定して股関節のヒンジ運動のみ行う)をSLDLと、RDLはDLとSLDLの中間という位置付けで教わりました。以下詳細、

DL:膝および股関節の位置は移動し、角度も変化する。
SLDL:膝および股関節の位置は固定し、膝関節の角度も固定、股関節の角度のみ変化する。
RDL:膝関節の位置は固定、股関節の位置のみ移動する。角度は両関節が変化する。

石井直方研究室(東京大学)の見解

谷本道哉氏や荒川裕志氏等石井直方先生の研究室出身の先生方は、上記のように膝をやや屈曲させた状態でのヒップヒンジをRDL, 膝を完全伸展した状態でのヒンジ運動をSLDLと仰っています。結果、SLDLの方がよりハムストリングをストレッチすることができますが、柔軟性が無いとフォーム維持は難しく、腰の負担も大きくなります。重量はRDLの方が大きくすることができます。

NSCAの見解

NSCAでは、最近改編された書籍(第4版)において両者を載せていますが、その違いは微妙です。両者ともに膝はやや屈曲位で行うが、SLDLは1回1回床にプレートが付くまで下ろすとあり、その際、バーを身体(大腿から脛)の接触に関しては触れていません。

一方、RDLは膝下まで下ろし(身体は床と平行)、その際バーと身体は常に接触とあります。また、RDLに関してはクリーングリップとスナッチグリップのバリエーションがあります。

NSCAの書籍は大変優れたものではあるが、この差(RDLとSLDL)については、述べてはおらず、チェックリスト形式の単なるHow toで終わっているのは残念です。解剖学的なことは理解せよということでしょうか??

主働筋、協働筋に関しては両エクササイズは同じ筋肉です。

Muscle&Fitnessの見解

少し古いですが、Muscle&Fitnessがまとめた書籍では、膝の状態は共通(伸展またはやや屈曲)ですが、バーの軌道が違います。NSCAと同様にRDLは脚部に接触させ、SLDLでは離すとあります。モーメントアームの差からRDLの方が高重量を扱えます。なぜか、難易度はSLDLは3でRDLは5です(ちなみに通常のDLは4, トップサイドDLは1, ワイドDLは3)。5が最高難易度。その判断基準がわからん??

まとめ

両者の違いは、大きなものではなく、効果の差異は少ないと思われます。より安全にかつ高重量を扱える、スタンダードなRDLがベストの選択と考えられます。但し、RDLをSLDLと言ったり、その逆も特に大きな問題では無いと思います。

引用・参考文献
・ストレングストレーニングとコンディショニング第4版(NSCA)
・筋トレまるわかり大辞典(谷本道哉)
・世界一使える筋トレ完全ガイド(荒川裕志)
・強く大きな体をつくる(Muscle&Fitness Japan)
・JATI Express No59 P27-29(有賀誠司)

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